子宮頸がんとは
子宮の入り口の「子宮頸部」にできるがんです。
性行為やそれに準ずる行為によって、ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)に感染して発症する性感染症です。
そのため、遺伝はまったく関係なく、ウィルス感染を予防することで、防ぐことができるがんです。
性交渉の経験のある女性の80%が、一生に一度はHPVに感染するといわれていますが、感染した女性の全員が子宮頸がんを発症するわけではありません。
100種類以上存在するHPVは、低リスクタイプと高リスクタイプの2つに分類されます。
高リスクのHPVに感染後、何らかの要因によって「前癌病変」(がんになる前の状態)の異型細胞へ進行し、さらにその一部が子宮頸がんに進行すると考えられています。
子宮頸がんの症状
初期状態では自覚症状がないため、進行して初めて気づくケースが多いのが特徴です。
進行すると、不正出血や、性交時の出血、おりものの異常、腰痛、腹痛などが見られます。
子宮頸がんの病期について
前癌病変から進行した子宮頸がんは、0~Ⅳの5つの病期(ステージ)に分類されます。
ステージ0
がん細胞が、子宮頸部の粘膜上皮にとどまっている。
ステージⅠ(Ⅰa1、Ⅰa2、Ⅰb1、Ⅰb2)
がん細胞が、子宮頸部にとどまっている。
ステージⅡ(Ⅱa、Ⅱb)
がん細胞が、子宮頸部の周辺に転移している。
ステージⅢ(Ⅲa、Ⅲb)
がん細胞が、膣の下の方や、骨盤壁に転移している。
ステージⅣa
がん細胞が、膀胱や直腸などの子宮周辺の臓器に転移している。
ステージⅣb
がん細胞が、子宮から離れた他の臓器に転移している。
子宮頸がんの治療
子宮頸がんの治療には、手術治療、放射線治療、抗がん剤による化学療法があります。
がんの進行や部位、年齢などによって、治療法が決まります。
手術には、子宮頸部の異常な組織を円錐形に取り除く「円錐切除術」や、「子宮全摘」、卵巣・卵管を含む子宮全体を取り除く「広汎子宮全摘出術」などがあります。
ステージⅠのIa期では、出産を希望する場合は円錐切除術が可能ですが、Ⅰb期以降は、広汎子宮全摘出術の対象になります。
HPVワクチンによる子宮頸がん予防
HPVに対するワクチンは、接種することによって体内に抗体を作ってHPVの感染を予防します。
あくまでもHPVワクチンは予防のためのもので、子宮頸がんの治療薬ではありません。
ワクチンの接種に加えて、子宮頸がん検診の受診や、避妊具による性感染症の予防が必要です。
子宮頸がんの検診
各地方自治体や市町村役場、保健所で検診を受けることができます。
検診の開始時期は、初性交渉から5年をめどにし、年に1回の受診が望ましいでしょう。
子宮頸がんの検診には、問診、内診、子宮頸部細胞診、経腟超音波(エコー)検査などがあります。
子宮頸部細胞診は、内診台に上がった状態で、子宮頚部を綿棒で軽くこすって細胞をとります。
また、エコー検査は、膣に棒状の器具を差し込んで、子宮の状態を調べます。