万が一の事態のために…同棲カップルの生命保険の利用法
同棲中のカップルは入籍していない以外はもはや夫婦同然なので、そのまま籍を入れないまま何十年と内縁関係のまま生涯を共にするカップルもいたりするものです。
しかし、実態はどうあれ法律上では入籍済み・未入籍は明確に区別されていて、未入籍カップルは入籍済み夫婦に比べて相続など様々な場面で不利になることの方が多いのです。
結婚前の同棲カップルも未入籍という一点においては「長年連れ添った内縁関係の夫婦」と変わりないのですが、「結婚を控えている」という点においては入籍済みの夫婦と同じくらいにパートナーの身を案じていなければならないのです。
万が一の事が起こっても生命保険が受け取れない?
愛する人と結婚し子供を授かり家族と過ごすことはごく一般的な幸せの形であるといえますが、そんなささやかな幸せは、家庭の生計を支えている夫・妻の突然の死によって失われてしまうということはよくあるものです。
このような万が一の事が起こり、生計を立てられなくなった時のためにも生命保険に加入することが求められてきます。保険金が受け取れれば、遺された家族は不自由のない生活を送ることが出来るようになるからです。つまり、生命保険の加入は家族への愛情の示し方の一つでもあるのです。
しかし、同棲中のカップルがお互いのために生命保険に加入しても保険金の受取人になれないことがあるのをご存知でしたか?
受取人は親族じゃないとダメ
生命保険契約においては、契約を結び保険料を支払う「名義人」、契約内容の対象となる「被保険者」、保険金を受け取る「受取人」を揃えなければなりません。
この受取人として指定できる人間は、多くの保険会社では「被保険者の2親等以内の親族」、つまり親・兄弟・祖父母が該当することになっているのです。会社や保険内容によっては3親等以内になっている事もありますが、血縁の無い他人は対象外になっています。
そのため、血縁関係のない同棲しているカップルがお互いを受取人にして生命保険契約をすることが出来ないのです。
同棲カップルでもお互いを受取人に指定するには?
このように、生命保険の受取人指定は融通が利かない所がありますが、「保険金目当ての犯罪を抑止する」という意味があります。
しかし、結婚を視野に入れた交際の結果、同棲しているカップルにとっては愛の障害とも言えます。
同棲カップルがお互いを保険金受取人に指定するためには、次のような方法を使わなければなりません。
契約成立後、受取人名義を変更する
生命保険に加入するだけなら、受取人に親を指定するのが一番手っ取り早い方法です。実際、結婚後も受取人名義を親にしているという人は少なくないからです。
そして、受取人の名義は契約の時点で指定した人から変更することが出来るのです。つまり、親に協力してもらって保険契約をし、その後にパートナーを受取人に指定すればいいのです。
ただし、この場合でも同棲中のパートナーを受取人に指定するには「合理的な理由」が必要になります。保険会社にもよりますが「1年以内に結婚する予定がある」「婚約済みで既に同居して数年たっている」というような合理的な理由を提示する必要があります。
遺言書を作成し、受取人を指定する
このように、名義人を成立後に変更するという方法もあるのですが法律的に配偶者になっていない場合、変更を拒否されることも充分にあります。また、同棲相手ではなく「以前お世話になった方のご子息」というような変則的な相手に保険金を残そうとすることも、受取人変更では実現できません。
このような同棲相手を含む他人を保険金受取人にするには、「遺言書で保険金の受取人を指定する」という方法があるのです。
この方法を使えば保険契約相手である保険会社の意志に関わらず受取人名義を一方的に変更できるのです。
ただし、遺言書の中で「対象となる保険契約の証券番号、契約した保険会社、変更前の受取人名義」などを明示した上で、遺言書としての体裁が整っていなければなりません。
法的に効力のある遺言書は弁護士・司法書士にお願いしてもらうのが確実ですが、その分お金が掛かってしまうのが難点です。