近年請求が増加している「労災」とは
労災とは、「労働によってこうむった災害」のことであり、業務中や通勤でのケガや病気のことです。また、労災補償とは労災によって仕事が出来なくなった場合の補償(休業補償など)のことを言います。
労災補償のことを「労災」と呼んでいる場合もあります。
労災認定とは、疾病やケガが労災であるかどうかを認定することです。これは会社ではなく、労働基準監督署が認定しますが、特に精神疾患の場合は、会社や本人への調査など審査に時間がかかってしまうケースが多いです。
近年精神障害の労災請求が増加していることを受けて、平成23年12月に認定基準が変わり、審査がスムーズに行われるように改善されています。今までは労災の審査に平均で約9ヵ月も要していたのです。
労災と認定されたら
労災認定を受けると、給与の約8割が休業補償として支給されるほか、治療費がかからなくなります。
また、療養中(休職中)は解雇されることはありません。(さらに復職後30日間も解雇できないことになっています。)
労災が認定されたということは業務がうつ病発症の原因だということ。
労災認定には、会社への調査なども入ります。中には、労災を認めたくないために協力的でない会社も少なくないようです。
労災が認定されたということは、会社や会社での業務がうつ病発症の原因だと、労働基準監督署に認められたということになります。
業務が原因のうつ病発症に対する損害賠償を請求したい
会社には、病気やケガが業務によって生じたものであり、会社に安全配慮義務違反があった場合に、損害賠償責任を負う必要があります。
これは、うつ病をはじめとする精神疾患の場合にも同じです。うつ病の発症で損害賠償を請求した事例に「電通事件」がよく知られていますが、この事件をきっかけに心の健康に対する企業の責任が問われるようになりました。
労災と認定されていれば損害賠償請求できる可能性がある
労災と認定されたということは、労働基準監督署が認めたということであり、同時に会社もうつ病の発症と業務の因果関係を認めているということになります。
反対に、労災と認定されていない場合には損害賠償請求も難しいと言えるでしょう。
しかし、労災と認められた=損害賠償請求が認められる とは限りません。事例によって会社の責任の重さは違ってくるとされています。
賠償請求をする際には、弁護士や専門家に相談すると安心でしょう。弁護士への相談は費用がかかりますが、無料で相談できる窓口もあります。上手に活用して納得のいく対処方法を見つけることが大切でしょう。