その一言が経済を左右する『証券アナリスト』
証券アナリストとは、株や債券といった証券を分析し、投資家へアドバイスをする金融のスペシャリスト。
業界の動向を見極め、その中で企業の未来を予測し、「売り」や「買い」といった証券価値の分析を行います。
その証券アナリストの発表は、そのまま投資家の意思決定を左右する重要な指針となり、証券アナリストの分析が経済に与える影響は計り知れません、
業務や所属によって呼び方が変わる
一口に証券アナリストと言っても、扱う商材や所属する企業によって、呼び方が変わるのも特徴です。
よく知られているのは『セルサイド・アナリスト』と『バイサイド・アナリスト』でしょう。
ざっくり分けると、証券会社に所属するアナリストを『セルサイド・アナリスト』。
投資信託や生命保険などの運用会社に所属するアナリストを『バイサイド・アナリスト』と区別します。
また仕事の傾向として、『セルサイド・アナリスト』は特定の業界や企業に特化。
『バイサイド・アナリスト』は、より広範囲の分析を行う傾向にあります。
他にも、債券の信用調査を主な業務とする『クレジット・アナリスト』。
個別の企業に関する収益や経営戦略、人事などを分析する『企業アナリスト』。
銀行や保険会社で資金運用を行う『ファンドマネージャー』には、バイサイド・アナリスト経験者が多いようです。
証券アナリストになる代表的な資格
影響力の大きな証券アナリストですが、国家資格は存在せず、全て民間の資格。
フリーの証券アナリストはほとんど存在せず、多くが証券会社や銀行などの金融企業へ就職しています。
仕事に必要な国家資格はありません。
しかし就職に必要な資格はあります。
国内証券アナリストの基本資格『証券アナリスト(CMA)』
日本で単純に証券アナリストといった場合、日本証券アナリスト協会が認定する『証券アナリスト(CMA)』を意味します。
CMAは日本で最も認知度と信頼性が高い、国内で活躍する証券アナリストの基本資格と言える資格と言えるでしょう。
受験方法と合格率
試験は1次と2次の2回に分けて行われます。
受験資格に関して、学歴や実務経験は問われません。
ただし、日本アナリスト協会が実施する通信教育を受講する必要があります。
- 1次試験の合格率は46.3%(2006年~2010年)。
- 2次試験の合格率は40.0%(2006年~2010年)。
1次通信講座から1次試験へ。合格したら2次通信講座から2次試験へ。
さらに試験に合格した後、日本証券アナリスト協会へ検定会員として入会するには、3年の実務経験が必要。
合格率は高くても、資格取得まで時間がかかる資格です。
ただし、あくまで国内で通用する資格であり、海外でのCMAの知名度は高くありません。
海外で通用する上位資格『国際公認投資アナリスト(CLLA)』
スイスに本部を持つ『ACIIA』が管理し手いるのが『国際公認投資アナリスト(CLLA)』
日本をはじめとして、アジア、ヨーロッパ、中南米、アフリカの計35協会が参加。今後も参加国が増えていく事が予想されています。
取得方法
日本証券アナリスト協会の検定会員ならば、日本で受験する事が可能。
CMAの上位資格として認知されています。
世界で最も信頼されている『CFA協会認定証券アナリスト(CFA)』
CMAやCLLAがアジア・ヨーロッパを中心に展開する資格なら、アメリカを中心に展開するのが『CFA協会認定証券アナリスト(CFA)』。
金融の中心地といえば、もちろんニューヨークのウォール街。
英国証券アナリストとも呼ばれ、アメリカで高いシェアを誇るCFAは、そのまま証券アナリストの中心的な資格となっています。
取得方法
試験会場は世界185都市に及び、当然日本でも受験する事が可能です。
ただし、すべて英語による受験の為、語学力も必要になります。
資格取得までの平均年数は4年。
これから金融業界で働く人向けではなく、ビジネスマンがキャリアアップの為に取得を目指すケースが多いようです。
外資系なら年収1000万円も夢ではない
日系証券会社の平均年収は500万円から1000万円。
外資系証券会社では、年収が800万円から1500万円と言われています。
個人の資質に寄るところが多く、ヘッドハンティングが盛んに行なわれ、給料の大幅アップが見込めるのも、この業界の特徴と言えるでしょう。
また、証券アナリストとして有名になれば、テレビのコメンテーターや出版、講演といった収入を得る事もできます。
資格の取得は簡単とは言えないでしょう。
しかし日本のわずか4%にあたる年収1000万円を目指すことが出来る、数少ない資格の1つである事には変わりありません。