虫歯は命を脅かすこともある!?
虫歯で歯が痛むと、同時に頭も痛くなることがありますよね。特に上の奥歯の虫歯だと、頭痛も感じることがしばしばあります。どちらか片方でも十分苦しいのに、歯痛と頭痛のダブルパンチ。考えただけで、こめかみの辺りがズキズキしてきそうです。こんな時はすぐ歯医者に行くか、行けない時は鎮痛剤を飲んで安静にしているしかありません。
ただ虫歯の痛みが頭に伝わっているだけなら、それほど心配はいりません。辛いですが、早目に歯医者に行って治療を受ければ、それで難なく解決できるのですから。たとえ行くのが遅れてしまったとしても、抜歯や抜髄という治療方法があります。痛みや精神的苦痛はもちろんありますが、少しの間我慢すれば、後は晴れやかな気分で帰宅することができます。
しかし!このような一時的な苦痛では済まされない場合もあります。
虫歯を限界まで放置し、頭痛も生じているのに無視し続けると、辛い治療が待っているどころの騒ぎではなく、もっと深刻な事態に発展する恐れがあります。
虫歯菌が体の重要な組織に侵入し、命が脅かされることもあるのです!
脳静脈血栓症で亡くなった男性、原因は…
たかが虫歯が命に関わる…ちょっと信じられない話ですよね。でも、虫歯による頭痛がきっかけで命を落とした方は実在します。その方は当時40代の男性で、どこにでもいる普通のサラリーマン。テレビで紹介されたこともあり、大きな話題となりました。
その男性のエピソードをお話しながら、どう虫歯が命に関わるのかを解説していきます。
その男性は、会社でのストレスをお酒で発散するのが日課。そんな生活を続けていたある日、左奥歯に痛みを感じます。明らかに虫歯が原因ですが、常時痛むというわけではなかったので、特に何もせずにいました。
しかし次の日になると、嘔吐や、頭のてっぺんを針で刺されるような頭痛も生じるようになりました。
やがて…
その男性は、病院で息を引き取りました。
死因は“脳静脈血栓症”。
脳静脈血栓症とは呼んで字のごとく、脳の静脈が血栓で詰まることで脳細胞が壊死してしまう病気のこと。なんと患部からは、虫歯菌が検出されました
一見関係のなさそうなただの虫歯が、なぜこんな恐ろしい病気の引き金となってしまったのでしょうか?
虫歯菌が血液に侵入、脳の静脈まで到達
最悪の事態を招いた原因は、男性が虫歯を放置し続けたことにあります。
虫歯は知っての通り、治療せずにいるとどんどん穴が深くなってしまうもの。この男性の場合、虫歯の穴が血管にまで達するほど悪化していました。
そして、ついには虫歯菌が血管に侵入してしまいます。
虫歯菌は血液の流れにのり、脳の静脈にまで到達。
通常であれば、免疫の働きによって侵入した虫歯菌は途中で排除されます。しかしこの男性の場合は、不健康的な生活を続けていたために免疫力が著しく低下していました。脳の静脈まで届いた虫歯菌は血管に付着し、炎症を引き起こします。
不健康的な生活のせいで、この男性の血液はドロドロの状態。血液はやがて血栓となり、炎症により狭まった静脈血管を塞いでしまいます。血液は体の各組織の活動と維持に不可欠な、いわば生命の源。その血液が脳まで届かなくなると、脳細胞が壊死してしまいます。
恐ろしい静脈血栓症の発症です。
これが、虫歯がこの病気の引き金となり男性の命を奪った一連の流れです。
頭のてっぺんに刺すような痛みがあったら病院へ
いかがでしたでしょうか。決して人事とは思えない、恐ろしい話ですよね。
虫歯の悪化が、そのまま脳静脈血栓症に繋がるわけではありません。
しかし、この男性のように虫歯に日頃の不摂生が重なった場合は、最悪命を落とすこともあるのです。
この男性は、脳静脈血栓症を発症するまえに“嘔吐”や“頭のてっぺんに針を刺されるような頭痛”という症状を訴えています。
もし虫歯に加えてこのような症状がみられたら、この病気のサインととらえましょう。大げさな…と思うかもしれませんが、明日はわが身です。ぜひ覚えておいてください。
いち早く異変に気が付き病院で治療を受けることで、大切な自分の命を守ることができるのです。