鍼灸師も立派な国家資格!取得方法、仕事の内容とは?
今や医療の主流は西洋医学となっていますが、昔ながらの東洋医学も見直され医療の一部として活用されています。漢方薬などはその代表格と言えます。
そして、漢方薬とならんで東洋医学を代表する治療法が鍼やお灸です。ツボに鍼を打ちお灸を据える事で気の流れを整えて病気や身体の不調を治すという鍼・灸にも医療資格が必要なのです。
鍼・灸での医療行為を行うための資格
基本的に、自分自身を対象にして鍼やお灸を含む医療行為をすることには資格は必要ありませんが、誰か別の人に対して医療行為を行う場合には医療資格を持っていなければなりません。鍼やお灸での治療を行う場合、「鍼灸師」の資格が必要になります。
鍼灸師の資格を取得するためには、鍼・灸・あん摩マッサージ資格を扱う専門学校に三年間通い卒業資格を得た上で国家試験を受験しなければなりません。
鍼・灸・あん摩マッサージは複合出来る資格
鍼灸師は一般に鍼治療と灸治療の両方が出来る事を指しますが、法律上では「鍼灸師」という資格はなく「はり師きゅう師」という二つの医療資格を取得している人を鍼灸師と呼んでいるのです。
鍼治療に必要な資格である「はり師」、お灸での治療に必要な資格である「きゅう師」、さらに指圧マッサージの資格である「あん摩マッサージ指圧師」を加えた三つの資格は複合して取ることが出来るのです。
鍼・灸・あん摩マッサージの資格を全取得した人は「鍼灸マッサージ師」または「三療師」と呼ばれます。
視覚障碍者でなくても資格取得できる
時代劇や小説では視覚障碍者が按摩師として出てくる事が多く、お年寄りなどには「あん摩・鍼灸=視覚障碍者の仕事」と考えている人が多いものです。
実はごく最近の1970年頃までは、あん摩マッサージ師の資格は視覚障碍者でなければ取得できないものとして制限がかけられていたのです。このような制限は、さかのぼれば平安・鎌倉時代ごろにルーツがあるといわれています。
江戸時代末期までは視覚障碍者が一種の特権階級として、あん摩や楽器などに関する職業を独占していた名残りから、「あん摩・鍼灸=視覚障碍者」という認識が形成され受け継がれてきたのです。
現在では、「視覚障碍者のみ」という制限が外され健常者でも鍼灸・あん摩の資格取得および開業が出来るようになっています。
鍼灸はどんな病気にも効く?
鍼灸の要点は、「気」の流れである経絡に関連するツボを鍼または灸で刺激する事で気の流れを整え、身体が本来持っている自然治癒力を高めて病気や不調の治りを早めるというものです。
つまり、患者自身の身体が持っている力を高めて回復を早めるのが鍼灸の目的で、薬も手術も効かない末期の病でも治るというわけではないのです。
しかし、漢方薬や鍼灸などの東洋医学に対しては実体以上の期待がかけられてしまいがちなものです。そういった過剰な期待がかけられてしまうことも認識した上で開業しなければならないのが、鍼灸師の難しい所なのです。