遺産を相続する前に知っておくべきこと
亡くなった親の遺産を相続するということは、貯金・株・土地・建物などの資産を受け継ぐというような、良いイメージが強いのですが、実はそれと同時に、借金や未払い金などの負債を受け継ぐことにもなります。
民法では、亡くなった人の親族が法定相続人として定められていることから、その法定相続人には遺産相続の権利が発生するのです。法定相続人は、被相続人(亡くなった遺産を相続される側の人)の配偶者が筆頭となり、さらに以下のような順位の規定があります。
第1順位
被相続人の子(婚外子を含む)や養子、またはその代襲者(被相続人の孫、ひ孫)
第2順位
被相続人の直系尊属(両親、祖父母)
第3順位
被相続人の兄弟姉妹、またはその代襲者(被相続人の甥、姪)
借金を返すことができない場合の対処法
父親が残した借金を、家族ではどうしても返済することができないという時は、遺産の相続放棄の手続きをすることで、資産と負債の両方の遺産相続を放棄することができます。
この手続きは、民法では「自己のために相続の開始があったことを知った時」から3ヶ月以内に、家庭裁判所に申し立てを行わなければならないという規定があるため、一般的には、被相続人が亡くなってから3ヶ月以内に行う必要があります。
もし、父親が亡くなったことを知らされていなかった場合は、「知った時から3ヶ月以内」という規定の通り、亡くなった事実を知った日から3ヶ月以内に手続きをすれば、相続放棄が認められるのです。
ただし、法定相続人が連帯保証人の場合は、ご注意ください。
相続放棄をしても連帯保証人としての返済義務は残ることから、保証人としての返済義務を免れるためには、さらに自己破産や調停などの手続きが必要になるのです。
相続放棄の手続きをするには
相続放棄は、被相続人が亡くなった当時の住所を管轄する家庭裁判所に申し立てを行います。
手続きには、裁判所で用意している相続放棄申述書と800円の収入印紙のほかに、被相続人の除籍謄本と住民票の除票、相続人の戸籍謄本と認印が必要です。
その際、注意しなければいけないのが、被相続人の配偶者や子が相続放棄をした場合、遺産相続の権利が第2、第3順位の法定相続人に移行するということです。
自分が相続放棄をすることで、亡くなった父親の両親や兄弟姉妹に、返済義務を背負わせることになり兼ねないのです。そのため、手続きをする場合は必ず、相続放棄をする旨をしっかり連絡しておく必要があります。
そして、3ヶ月以内に相続放棄の手続きをするよう、祖父母やおじ、おば、いとこなどに勧めることも忘れないでください。