家族に残すために正しく知りたい、遺言の種類|トピックスファロー

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2015年2月18日
家族に残すために正しく知りたい、遺言の種類

個人が遺言を残すとき、遺言を開封する際の手続きなどから、3種類の方法に分類されます。どの方法を使って遺言を残すかは、最終的には個人の考えによるところが大きいです。そこで、遺言を残す方法についてまとめてみました。

ファイナンシャルプランナー(AFP)兼WEBライター
  

自分が死んだときに、家族に残すメッセージ

はじめに
突然ですが、質問です。
あなたは、自分が亡くなった後のことを考えたことはありますか?
「こんな病気で亡くなったら支払う治療費は膨大になるよな」とか、「この家は誰に渡るんだろう」とか・・・
注:保険がきく治療なら、地域の役所に届け出ることで一定の金額以上の治療費は払わなくて済むようになります。

考え出すと気が重いし、「正直、縁起が悪い」と思うかもしれません。どうも日本人は「自分が死んだ後のことを考える」ということに対してアレルギーがあるようです。
でも、ちょっと視点を変えて考えてみてください。あなたは「死んだ人が何を考えていたか」ということはわかりますか?

「自分は霊と話をすることができる」という人くらいしか、そんなことわからないですよね。
もちろんこれは冗談です。しかし、オカルトな話を持ち出さなければいけないほど、「亡くなった人が何を考えていたか」ということはうかがい知ることはできないのです。

それでも、遺言状があれば、「亡くなった人が何を考えていたか」ということは少しでもわかりますよね。
ここまで読んで、「それでは、自分はせめて周りの人に何を考えているかわかるようにしなければ」と思ったかもしれません。
ならば、ぜひとも「遺言状を書く」ということにトライしてみて欲しいと思います。

遺言状

遺言には三種類ある

遺言作成の資格

まず、大前提として、「どんな人が遺言を残すことができるのか?」ということについて触れたいと思います。
実は「15歳以上であること」これが唯一の条件です。 つまり、「いい年した大人」なら誰でも遺言を残すことができます。

遺言の形式

そして、遺言は亡くなった人の意思を表す手段として、とても重要な書類です。
そのため、定められた形式が守られていない場合、遺言そのものが無効=無かったことにされてしまうこともあります。 また、遺言には普通方式と特別方式があります。
普通方式とは、死の危険が無い場合に、事前に定められた様式に従って遺言を残すことをいいます。
特別方式は、船舶が遭難した場合など、死の危険が目前に迫っているときに遺言を残すことをいいます。
今回は、普通方式を説明させていただきます。

普通方式

民法では、普通方式の遺言について、3つの形式が定められています。
「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」です。

自筆証書遺言

自筆証書遺言の方式は、遺言を残そうとする人=遺言者が、遺言の全文、日付、自分の氏名を自分で書き、押印をする方法です。 証人もいらないし、遺言状自体に封印をする必要もありません。 また、誰かに何かを頼む、ということもないので、費用もかかりません。

しかしいざ遺言者が亡くなった場合、家庭裁判所の「検認」という手続きが必要になります。 これは遺言が偽造、変造されていないかを確かめるための手続きです。
この手続きを経ないと遺言通りに財産を分けることもできません。

メリットとしては、先ほどもあげたように、費用がかからないことがあげられます。また、誰にも知られずに遺言を作ることができるので、内容を秘密にすることもできます。

一方、デメリットもあります。
まず誰かが遺言の存在を知ったとき、偽造、変造されるリスクがあります。また、遺言は決められた形式で作成されていないといけないため、形式を誤った場合には遺言自体が無効になる可能性もあります。

公正証書遺言

遺言状2

公正証書遺言の方式は、遺言者が公証人役場に出向いて証人2人以上の立会いの下で一定の手続きに基づいて遺言を作成する方法です。 具体的には遺言者が遺言の趣旨を公証人に伝え、それを基に公証人が内容を筆記し証人の立会いのもと遺言書を仕上げていくというやり方です。

遺言作成のプロである公証人に頼むことになるので、自筆証書遺言のように遺言が無効になるリスクは限りなく低いです。
メリットとしては、先にも述べたように、確実に法的に有効な遺言を作成することができることがあげられます。また、作成した遺言は公証人役場に保管するので、変造、偽造のリスクが限りなく低いです。

そのため、先に出てきた検認の手続きがいりません。「確実に有効な遺言状を作りたい」という方にはオススメです。
しかし、デメリットもあります。まず、公証人役場で遺言状の作成を行うため、一定の手数料がかかります。

また、遺言を行ったという事実が証人に知られるため、「遺言をしたことを秘密にしたい」という人には向きません。ただし、自分が亡くなったときに遺言があることを遺族が知らなかったというリスクは避けられます。

秘密証書遺言

秘密証書遺言も公証人役場で行う遺言ですが、遺言書自体は遺言者が作成します。 その遺言書に封をして、公証人に「これは自分が作った遺言状である」という旨を申告します。そこから一定の手続きを行い、法的に有効な遺言状にしていく、という手続きです。

この方法のメリットですが、公証人には封をした遺言書を提出するため、遺言の内容を誰にも知られることがありません。また、書類自体は手書きでも、ワープロや点字でもかまいません。

一方、デメリットもあります。証明をしてもらった封書を持っているのは遺言者本人です。そのため、偽造や変造のリスクは避けられません。遺言を開封するときは家庭裁判所の検認の手続きが必要になります。

また、公証人役場で行うことなので、作成手数料がかかります。費用をかけたくない、という人にはあまりオススメできない方法でしょう。

まとめ

遺言の作成方法についてまとめてみました。どの方法を選ぶのがいいのか、ということはかけられる費用と遺言を残す目的によって大幅に異なってきます。
余裕があるうちに、どの方法をとるか、ということは冷静に考えておきまし

著者:松沢未和

ファイナンシャルプランナー(AFP)兼WEBライター
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2014年にファイナンシャルプランナー(AFP)の資格を取得した兼業WEBライターです。もともと文章を書くことが大好きなので、この仕事を兼業として選びました。相続や保険の分野のお話をわかりやすくまとめてお話できればと思っています。これ以外にも、たくさん資格は持っているので、資格の取り方の話しもしたいところです。また、食べ歩きと旅行とコスメ研究が大好きです。日々の研鑽の成果!?を文章にぶつけていきたいです。至らない点がいろいろあるかと思いますが、よろしくお願いいたします。