技術の分野で人気の『工業英検』
正式には『工業能力測定試験』なのですが、『工業英検』と呼ばれる事が多い資格。
エンジニアが使用する、専門的なマニュアルや仕様書を和訳するのに必要な英語力が備わっている事を証明する試験。
基礎的な4級から、プロとして商品に関する文書を分かりやすく作成(テクニカル・ライティング)する事ができる1級までの4段階に分かれています。
一般的な認知度は低く、工業高校の生徒やエンジニア以外にはあまり知られていません。
しかしエンジニアの現場では、必須とも言われているほど注目を集めている資格です。
工業英検と英検やTOEICとの違い
英検やTOEICなどの、一般的な英語では内容が分かれば細かいニュアンスや解釈に幅があっても許されます。
しかし、工業英語では、同じ文章を100人が読んだ時に、解釈は1つでなければいけません。
また限られたページ数に収まる様に、正確な内容を簡潔に、和訳・英訳できる能力が求められます。
なぜならば、人によって翻訳にブレがあると、重大な作業ミスを起こす可能性がある為です。
工業英検に合格する難易度
平均的な合格率は、以下の通り。
- 1級: 9%
- 2級: 38%
- 3級: 44%
- 4級: 58%
1級を除けば、合格率は比較的高いと言えるでしょう。
特に3級以下であれば、中学レベルの基礎英語ができれば問題はないと言われています。
ただし受験者のほとんどが工業高校の学生や現役のエンジニア。
また、日常会話ではほとんど使う事の無い、専門的な語彙が必要になります。
TOEICの高スコア所持者であっても勉強無しで合格するのは難しいかもしれません。
工業英検の試験内容
試験内容は、3・4級では技術的な文章を正確に読み取ることができるか?
2級では、それに加え技術論文のスタイルに合った文章を正しく書く事ができるか?
1級では、さらにリスニング能力を求められます。
また3級と4級が全てマークシート方式なのに対して、2級以上では全問記述式になっているもの大きな特徴と言えるでしょう。
工業英語能力検定は、どこから就職に有利なのか
就職や転職を考えた場合、この資格は一般企業ではそれほど高評価の対象にはなりません。
しかし技術系に進む場合、新卒ならば3級以上。2級以上の資格があれば即戦力と考えるほど、評価は一変します。
ただし資格よりも経験を優先されるケースが多い為、「2級を持っていれば安泰」とは言えません。
また1級取得レベルがあれば、工業系の専門翻訳家として独立する事も可能でしょう。
次々と新しい技術は生まれていますし、専門性の高い分野の翻訳は難しいでしょうが、それだけにやりがいを感じられる仕事と言えるでしょう。
試験日程
3・4級が1月、5月、7月、11月の年4回。
2級が5月、11月の年2回。
1級は5月、11月。合格者のみ1か月後の2次試験(リスニングテスト)を受ける事が出来ます。
工業英検の資格はさらに需要が高まる注目資格
基幹産業として工業を発達させてきた技術立国としての日本の有り方は、この先も変わらないでしょう。
毎日の様に、新しい技術や論文が発表され、ネットを通して簡単に情報がやり取りされています。
工業英検は、今後とも需要の伸びがある資格と言えるでしょう。