【第1回】ヨーロッパで訪れたい世界大戦の戦争遺跡|トピックスファロー

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2014年9月12日
【第1回】ヨーロッパで訪れたい世界大戦の戦争遺跡

ヨーロッパで訪れたい世界大戦の戦争遺跡 シリーズNO1
ヨーロッパは建築、芸術、音楽、文学など、あらゆる分野で長い歴史があります。 その輝かしいヨーロッパの歴史の裏で、戦争を何度も繰り返してしまいました。その悲惨な戦争の歴史を忘れないための痕跡がヨーロッパ各地には数多く残っています。

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ヨーロッパで戦争の歴史を学んでみる

ヨーロッパは、国同士が陸路で繋がっているし、通貨も統一されているので、国境を越えて旅行するのはとても容易です。
しかし、ヨーロッパには、国家間で戦争を繰り返してきた暗黒の歴史があります。
20世紀に世界中の国々を巻き込んだ2度に渡る世界大戦も、ヨーロッパが舞台でした。
その歴史を忘れない為のモニュメントがヨーロッパ各地にはたくさんあります。

たとえば、観光地となっているポーランドのアウシュビッツ強制収容所跡、オランダのアンネフランクの家などには世界中から観光客が訪れます。

そんなわけで、観光地のど真ん中にあったり、気軽に日帰りで往復できたりと、あまり知られていない欧州の世界大戦の戦争遺跡を紹介します。
ヨーロッパ周遊しているついでに立ち寄って、戦争の歴史をほんの少し学んでみてはいかがでしょうか。

~イギリス ロンドン~ チャーチル戦時内閣執務室

チャーチル戦時内閣執務室のチャーチルの寝室の再現 第2次世界大戦中、ヨーロッパの大陸の国々がナチスドイツに屈服する中、イギリスはチャーチル首相の強いリーダーシップによって、痛手を負いながらの孤軍奮闘の末、勝利しました。
勢いの増すドイツ軍の空襲を避けるためには、政府機能を地下に移さなければならなかったといいます。
その地下壕が記念館として公開されています。

会議室や閣僚の寝室が再現され、チャーチルの生い立ちも詳しく紹介されています。
場所はロンドンを訪れた旅行者なら、必ず立ち寄る国会議事堂(通称ビッグベン)のすぐそばにあり、ウェストミンスター寺院やバッキンガム宮殿も歩いて行ける距離にあります。

~ベルギー イープル~ イン・フランダース・フィールズ博物館

イープル繊維会館 イープルはフランスと国境が近いベルギーの西フランドル州にあり、首都のブリュッセルからは列車で1時間半程で到着する小さな街です。
この、一見するとのどかな街も第1次世界大戦中、激戦地となり徹底的に破壊されました。
イープルの戦いでは、次の世界大戦を起こすことになる人物、アドルフ・ヒトラーも下士官としてドイツ軍に従軍していました。
街の中心部のマルクト広場にそびえる繊維会館の中にある「イン・フランダース・フィールズ博物館」は、当時の様子が模型、ビデオ、写真などで紹介されてります。
2014年は第1次世界大戦が勃発してから100周年になります。開戦した6月28日には、当時の交戦国だったヨーロッパの首脳がイープルに集まり式典が行われました。
日本では第二次世界大戦がメディアでよく取り上げられますが、ヨーロッパの人達にとっては、最初の世界大戦の傷跡も大きかったのが感じられます。

~ドイツ ワイマール~ ブッフェンバルト強制収容所跡

ブッフェンベルト強制収容所の門 ドイツの中央部のチューリンゲン地方に位置するワイマール。
詩人ゲーテ、シラーなどの文化人のゆかりの地として、ドイツの精神文化の源とも言えます。

ここは町並みも美しく日本人観光客にも人気のある街です。
そんなワイマールの中心部からバスで20分程の場所に、ナチス時代に25万人のユダヤ人が収容された「ブッフェンバルト強制収容所」があります。「ブッフェンバルト強制収容所」には見張塔、移送駅、火葬場などが今なお残っています。

ドイツ国内にはたくさんの強制収容所跡が残っていてその多くは、記念館として無料で一般公開されています。
ところが、その大半は日本語の表記やパンフレットがほとんどありません。
でも、ゲーテ街道の街として知られるワイマールは日本人観光客も多いこともあり、日本語のオーディオガイドがあります。日本語で説明を聞きながらじっくり周ることができます。

世界的に有名な「アウシュビッツ強制収容所跡」は、日本から直行便が飛んでいない東欧のポーランドにあるのでアクセスがよくありませんが、「ブッフェンバルト強制収容所跡」はドイツの首都、ベルリンからも日帰りでワイマール観光と兼ねて行くことができます。

~ドイツ ベルリン~ ウィルヘルム通り(旧ナチス時代の官庁街)

ウィルヘルム通り ベルリンというと冷戦時代、東西に街が分断されていた「ベルリンの壁」を思い浮かべる人も多いと思います。
実際にベルリンには、壁の一部が残っていたり、「ベルリンの壁」があった時代の記念館や博物館がたくさんあります。
それと同じくらいナチス時代の遺跡も多く眠っているのがベルリン。
最大の観光名所であるブルンデンブルク門から伸びているウンター・デン・リンデン通りはいつも観光客で賑わっています。

そのブランデンブルク門を背にしてウンター・デン・リンデン通りを歩き、最初の右手の道を曲がると「ウィルヘルム通り」という観光客の姿があまり見えない通りがあります。
この一帯はナチス時代、総統官邸、外務省、宣伝省など、ナチスの官庁街でした。
通りにある建物は殺風景なマンションといった感じですが、各所に小さい看板で当時の建物の歴史を示す英語とドイツ語表記の看板があります。

ウィルヘルム通りを1KMほど歩けば、ナチス時代の歴史を紹介した記念館「テロのトボクラフィー」があります。
また、すぐ近くには空襲で焼け落ちた駅舎がモニュメントとして残っていたり、お化け屋敷として一般公開されている防空壕跡もあります。
それ以外にもベルリン市内や郊外には、ナチス時代の痕跡が数多く残っています。

旅行中に戦争の歴史にも触れてみよう

EUというヨーロッパ連合共同体は、戦争を繰り返してきた歴史の反省から誕生しました。
通貨もユーロで統一され、国境を越えてもパスポートチェックもない現代のヨーロッパ。

そんな先進的であるヨーロッパ諸国には、戦争を忘れない為の世界大戦の戦争遺跡がこんなに沢山あります。
戦勝国、敗戦国、双方の立場、世界大戦に関することなど、様々な視点から歴史を眺めることができます。
有名な観光地のど真ん中に残っていることも多いので、街歩きをしていて偶然発見することもあり、頭の片隅で歴史に関することを覚えておけば発見する可能性があがります。
旅行中に今のヨーロッパを理解する上で、忘れてはならない戦争の歴史に触れてみるのも有意義ですね。

同シリーズが「ヒトラー 野望の地図帳」として書籍化

同シリーズが書籍化され、各書店の歴史の棚の世界史やドイツ史のコーナーに置かれています。web記事とは違う語り口で執筆していて、読者の方々からは、時代背景が簡潔でわかりやすい、学者とは違うテイストが新鮮、という感想をいただいております。

歴史好きはもちろん、ちょっとマニアックなヨーロッパ旅行をしたい方々の旅のお供になる本です。

ヒトラー 野望の地図帳

「ヒトラー 野望の地図帳」
著者名:サカイ ヒロマル
出版社:電波社     
価格 :1,512円(税込) 

【連載】ヨーロッパで訪れたい世界大戦の戦争遺跡(第1回~第100回)

著者:ヒロマル

戦争遺跡ライター
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1979年神奈川県生まれ、神奈川県逗葉高校、代々木ゼミナールで1浪、立教大学経済学部卒業。

大学在学中からヨーロッパ、アジアなどを海外放浪してハマってしまい、そのまま新卒で就職せずフリーターをしながら続ける。その後、会社員生活をしながらも休み、転職の合間を利用して海外放浪を続ける。50ヶ国以上訪問。会社の休暇を利用して年に数回、渡欧して取材。

2012年からライター業を会社員との二足のわらじで開始。
2014年からwebメディア(株)フォークラスのTOPICS FAROで2つのシリーズを連載中。

▼もんちゃんねる(You Tube)
https://www.youtube.com/channel/UCN_pzlyTlo4wF7x-NuoHYRA

▼「ヨーロッパで訪れたい世界大戦の戦争遺跡」シリーズ
https://topicsfaro.com/series/warruins
ヨーロッパ各地を取材し、第二次世界大戦に関する場所を紹介。
軍事用語などは極力省き、中学レベルの社会の知識があれば楽しめる記事にしています。
同シリーズが2017年に書籍化。
「ヒトラー 野望の地図帳」(電波社)から全国書店の世界史コーナーで発売中。

▼「受験に勝つ!世界史の勉強法」シリーズ
https://topicsfaro.com/series/wh
2018年から主に世界史を中心とした文系の勉強方法について執筆。
大学受験だけでなく、大学生や社会人の大人の教養としての世界史の勉強方法にも触れて、
高校生、大学生、社会人とあらゆる世代を対象としています。

世間の文系離れを阻止して、文系の学問の復権に貢献することが、2つの連載の目的です。

▼ご依頼、ご質問はこちらのメールまたはツイッターから
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