現実と非現実の世界が曖昧になる統合失調症
「皆が自分の悪口を言ってる」とか「誰かに追われている」などの激しい妄想をするようになったり、独り言を頻繁に言うなどの症状が見られたら、それは”統合失調症”の始まりかもしれません。統合失調症は、約100人に1人が発症すると言われている、比較的発症頻度の高い心の病気です。一般的には、10代後半から30代前半までの若い年齢層に発症するケースが多くなっています。精神病性障害のうちの一つで、症状が出ているにも関わらず放置していると、日常生活にも大きな支障をきたすおそれがあるので、十分な注意が必要です。
症状が発症する前には、必ず何らかの前兆があるはずです。いくつかの前兆を挙げてみましょう。
- 不眠
- 昼夜の生活パターンが逆になる
- 性格の変化
- 集中力が低下して、すぐイラつく
- 人間関係に問題が出てくる
- 変な話し方や行動をするようになる
2種類に分かれる統合失調症の症状
上記のような何らかの異変に自ら気づいたり、または家族など周囲の人がおかしい・・・と思い、病院に行って心の病気が判明することも少なくありません。統合失調症にかかる人の中には、日頃の心の不調をどうしていいか分からず、結果としてそれが病気からくる暴力などに繋がってしまう人もいるようです。なので、そのような深刻な状態に陥る前に、早めに症状に気づくことが大切なのです。
そこで、統合失調症の主な症状を見ていきましょう。
残念ながら、統合失調症がなぜ発症するのか・・・そのメカニズムはハッキリと解明されていません。
ただ、何らかの精神的ストレスが引き金となることは確かなようです。
症状は主に、”陽性症状”と”陰性症状”の2種類に分けられます。
陽性症状
- 幻聴や幻視といった幻覚
- 妄想
- 思考障害
- 激しい興奮
- 強いイライラ感
陰性症状
- 意欲低下
- 引きこもり
- 感情の平坦化
- 趣味や食事などにたいする無関心
- 身だしなみに構わない
統合失調症の改善には治療が不可欠
幻覚や妄想などが特徴的な統合失調症は、激しい意欲低下や不眠などによって普通に生活することが難しくなります。しっかりと現実の世界を取り戻すためにも、できるだけ早く治療を始めなければなりません。
症状から統合失調症が疑われる場合には、主に抗精神病薬療法が行われます。激しい幻覚や妄想が起こる急性期は、入院治療の措置をとることが多いでしょう。このような急性期の症状は、投薬によって治りやすいのが特徴です。
急性期に起こる陽性症状が治まったら、今度は通院治療がメインになります。陽性症状の再発を防ぐために、薬の服用が続ける必要があります。これまでは陰性症状に有効な薬はなかったのですが、近年、非定型抗精神病薬という治療薬が開発されるようになりました。
また、陰性症状の改善には、病院での治療以外に周囲の理解やサポートが不可欠です。家庭はもちろん、学校や職場などからの協力が得られるかが、穏やかな日常生活を取り戻し、社会復帰するためのカギとなるでしょう。デイケア・センターに通うなどして、徐々に普段の生活に戻るトレーニングをすると良いでしょう。