減り続ける日本の人口が招く遺産相続人不足
2010年の日本の人口は約1億2806万人、2030年は1億1522万人、そして2060年には8674万人になると考えられています。<データ参照:統計局/国立社会保障・人口問題研究所>この数字からも分かるように、日本の人口はこれからも減り続けることが予測されます。
今のような状態が続くと、色々と困ったことが起こりますが、その中の一つに遺産相続人不足が挙げられます。人口が減っていくのですから、そのような事態になるのは当たり前と言えば当たり前のこと。
一人暮らしの高齢者の中には、家族がいない天涯孤独の人も少なくありません。もし住んでいるところが持ち家だった場合などは、その人の遺産ということになりますが、問題は本人が亡くなったとき。今、遺残相続人がいないケースが増えているのです。
空き家や空き地は増加する?!
誰かが亡くなっても、その人が持つ遺産を相続する人がいない場合、財産はどうなってしまうのでしょう?
本当に法定相続人(法律で定められた相続の権利がある人)がいないのを確認した上で、『相続人不在』が確定すれば、そこから3ヵ月間特別縁故者からの申し立てを受け付けることになります。特別縁故者とは、内縁の関係にあった人や療養看護に努めた親族、知人、看護士などのこと。もし名乗り出た場合はその人に財産分与されます。
そこまでの手続きをしない人も…
高齢者の中には「独り身だし、たいした財産があるわけでもないから…」という理由から、相続に関する遺書を残さなかったり、親族がいても皆、遺産放棄して他の相続人を見つける手続きがなされないことも少なくありません。
その結果、増えていくのが空き家や空き地。ボロボロの家や生い茂り放題の庭ばかりが目立つようになります。実はここ10年ほどで、空き家は180万戸も増えているんだとか。加えて、相続人のいない土地も増加傾向にあります。
取り壊さない理由
空き家が増えていく中で、取り壊されずに残るのはなぜ?と思う人もいるでしょう。その理由の一つには、“住宅用地特例”という税金の法律が関係しています。これは『住宅の敷地として利用されている土地は、税金が安くなる』というもの。空き家が取り壊されない理由は、こんなところにもあるのです。
また、どう探しても相続人が見つからない家も。こうなると取り壊しても誰も文句など言わない気もしますが、所有者または相続人の意向が分からない限りは壊せない…というところなのでしょうね。
空き家・空き地はトラブル発生の原因に
相続人のいない空き家や所有者が分からない空き地が増えると、街の活気が失われて寂しくなるだけでなく、様々なトラブル発生の原因になるおそれがあります。
空き家や空き地は、ゴミを不法投棄する場になったり、放火されたり、不審者に侵入されやすくなってしまうので注意しなければなりません。
そういったトラブルをできるだけ未然に防ぐため、各都道府県では様々な空き家対策を講じています。
市区町村レベルで対策委員会などを設置しているところも多いですが、増加のスピードに対策が追い付いていないのが現状のようです。