寝る前にお腹が鳴っている人は「良質な睡眠」ができている?|トピックスファロー

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2015年5月1日
寝る前にお腹が鳴っている人は「良質な睡眠」ができている?

眠る前には、自律神経を副交感神経優位にして、心身ともにリラックスさせないといけません。飲み会で飲んで食べて、バタンキューだとお風呂に入って身体がリラックスしても、副交感神経への切り替わりが遅いため質の悪い眠りとなってしまいます。

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眠る前には、自律神経を副交感神経優位にして、心身ともにリラックスさせないといけません。
ところが睡眠前に食事をすると胃腸が活発に動き始めて交感神経が刺激され始めるのです。

例えば、飲み会で飲んで食べて、帰ってバタンキューで眠ってしまったりすると、お風呂に入って身体がリラックスしても、胃腸は活発に動いていますので、自律神経が副交感神経に切り替わるのが遅くなってしまいます。

しかも酔って眠りこんでしまっては、胃の働きが進まないまま朝を迎えてしまうので、朝胃がもたれたままの質の悪い眠りとなってしまいます。

空腹のときこそ胃は動く?

胃は、筋肉層でできている袋状の臓器で、身体のほぼ中央にあります。
そして、1分間に3回ほど、ゆっくりとした収縮運動を繰り返しています。

胃

この自律的な動きは自律神経によって支配されています。そして、満腹になると、胃は最大1.5リットルほどの食べ物を入れることができます。
胃の収縮によって胃の中の食べ物を胃の上部から中央へと運び、そして、十二指腸へとつながる幽門(ゆうもん)へと運びます。

胃底部(いていぶ)と呼ばれる胃の上部から胃酸を分泌し、食べ物を酸化して殺菌します。
その後、胃の中央の胃体部(いたいぶ)から出口の幽門まで運ばれる途中で、胃底部から分泌された胃酸と食べ物を混ぜ合わせながら消化していきます。

胃の収縮によって食べ物がドロドロになるまで、食べ物をこねまわしているような感じです。
そして最後に幽門部分で最も大きく収縮して食べ物を完全に粉砕し、消化完了。

皆さんは、このときが、胃が最も活躍している、と思うでしょう。
でも、この胃の収縮は、2番目の活動なんですよ。
胃の収縮命令の調節は自律神経が支配しています。
胃が消化をするときには、自律神経の交感神経の方が活発になってしまいます。
交感神経が活発になるということは、目が覚めてしまうということです。

お腹が鳴るのは胃腸が正常な証拠!

さて、一番胃が活発に収縮するのは、実は食後のお掃除のときなのです。

皆さんは、歯に食べ物が残って虫歯にならないように、食後に歯磨きをしますよね。
胃だって、食後70~80分くらいしてから、消化し終わった胃の内部をキレイにお掃除しているんですよ。


胃の消化が終わると、「胃に内容物が無くなったよ~!消化完了ですよ~!」と脳の迷走神経という所からお知らせがいきます。
すると、胃の筋肉層が一層強い収縮の波を起こします。この強い波は十二指腸から小腸まで連続的に伝わっていきます。

この強収縮は、毎分3回5~10分くらい続きます。
この強収縮で、胃に残った食物残渣(しょくもつざんさ:食べ物のカス)や古い粘膜をそぎ落として胃の内壁をキレイにする働きをしています。

料理をした後のキッチンの後片付けをキレイにして、衛生的にしておくのが、美味しい料理を作る秘訣であるように、胃だって消化の後は、しっかり後片付けにがんばっているのです。

さて、先述した迷走神経とは、脳の延髄から腹部までの全ての内臓に分布している末梢神経で、副交感神経が大部分を支配しています。
ですから、食後、胃の消化が終わった後は、脳神経がリラックスしているのです。

胃が食べ物を消化するときは、交感神経が頑張って、その後のお掃除は副交感神経が支配してリラックスしています。そして、胃の掃除が終わるとグーッとお腹が鳴ってしまいます。

お腹が鳴るということは、「次の食事の準備ができていますよ~」という迷走感神経からのお知らせなのです。

つまり、寝る前に、少なくとも消化が終わって胃のお掃除を開始する状態になるということは、脳内が副交感神経に切り替わっていますから、心身ともにリラックスできている状態だといえるでしょう。

睡眠前の食事は胃腸の掃除を妨げる

仕事が忙しく、気分転換に同僚と飲みに行く、合コンだ、接待だ、といった具合に夜遅くまで飲んだり食べたりして、帰ってバタンキューとベッドへ直行という生活をしている人も多いでしょう。

飲み会

夜寝ているときは、内臓もお休みしていますので、消化しきれずに食べ物が残ったまま眠ることになってしまいます。
でも、胃の中はまだ消化途中なので本来交感神経が活発に働いています。本来副交感神経に切り替わらずに眠れなくなりそうですが、お酒の酔いで眠ってしまうのでしょう。
「寝酒」という言葉もあるようにお酒は眠気を誘うからです。

充分に副交感神経に切り替わらないまま眠ってしまうと、眠りが浅く、夜何度も起きたり、眠りが浅く、朝起きた時も前の日の疲れが残っていたり、寝不足感を引きずったりしてしまいます。だから、寝酒はお勧めできません。

話を消化に戻しましょう。胃の消化が終わらないまま眠ってしまうと、先述したように胃の中に食べ物が残ったままの状態で目覚めてしまいますので、朝から胃がもたれてしまいます。
実は、寝る前に胃の中を空っぽにして迷走神経から「消化完了」の合図を受け取っていれば、睡眠中に強収縮がしっかりと起こるのです。

先述したように、迷走神経から信号が送られるということは、副交感神経に切り替わっているのですから、熟睡できて良質な睡眠に入りやすいということになります。
そして強収縮は睡眠中の内臓メンテナンス中に起こりやすく、空腹中は、90分ごとに胃の強収縮が起こります。
この背中の筋肉も利用して起こる強収縮は、腸まで揺れが伝わり、胃の中をしっかりきれいに掃除した後、朝までに食べ物のカスや古い胃粘膜は大腸まで進みます。

こうして、朝には排便の準備万端に整っているという仕組みです。
このように、朝スッキリ起きるためには、胃を空っぽにしてから眠らなければなりません。
「夜遅くに食事をすると胃がもたれる」と昔から言われているのも医学的な根拠があったわけです。

いかがでしたか?
食後消化が完了して迷走神経の信号が発信されるまで、約80分かかります。
迷走神経は副交感神経が支配していますので、脳が完全に副交感神経に支配されるのは、お腹が鳴る頃、つまり3時間後位です。

眠り

眠くなってベッドに入ってお腹が鳴るような状態がベストな状況かもしれません。
「胃の中を空っぽにして寝る」、それだけで、副交感神経に支配されやすくなりますので、脳がリラックスして、良質な睡眠へと誘われるのです。

でも、もしも1週間以上熟睡できない日々が続く場合は、病気や重篤な睡眠障害である可能性もありますので、専門医に相談することをお勧めします。睡眠障害は、早期治療が大切なのです。

著者:宝生桐子

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法律関係・心理学・メンタル関係の多数の資格を利用して、今までさまざまなコラムを連載して参りました。
わかりやすい文章で、さまざまな生活お役立ち情報をご紹介させて頂きます。どうぞよろしくお願い申し上げます。