子供や孫に財産をどう残す?教育資金の一括贈与について|トピックスファロー

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2015年5月1日
子供や孫に財産をどう残す?教育資金の一括贈与について

昔の言葉で「子孫に美田を残すべからず」という言葉があります。これは、子孫に裕福な思いをさせるとろくな育ち方をしない、という教訓によるものです。しかし、現実の相続税法では「教育費を生前贈与すると相続税法上有利だよ」という規定があります。

ファイナンシャルプランナー(AFP)兼WEBライター
  

実際、教育費はいくらかかるの?

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皆さんに質問です。「子供が学校に通い、最終的に大学を出て就職するまで、教育費はいくらぐらいかかると思いますか?」私もわからなかったので、調べてみました。一番多い進学パターンの「小学校から高校まで公立、大学は私立」という場合でいくらかかるかというと・・・

「962万3979円」(文部科学省「平成24年版 子供の学習費調査」、独立行政法人日本学生支援機構「平成24年度学生生活調査結果」による)が答えです。約1000万円、と考えておくといいでしょう。もちろん、私立に行けば行くほどその金額は上がります。

「小学校から大学まで全部私立」だった場合、金額は「2059万8858円」、「小学校から大学まで全部公立(国立)」だった場合、「703万9979円」となります(文部科学省「平成24年版 子供の学習費調査」、独立行政法人日本学生支援機構「平成24年度学生生活調査結果」による)。

どういうルートをたどるにしても、それなりのお金がかかることは覚悟しなければいけない、というのが真実であるようです。

教育にはお金をかけたいんだけど・・・

さて、先に書いたとおり、教育を受けさせるにはそれなりのお金がかかります。「できることなら、子供の特性にあった教育を受けさせたい」と思うのは、親になった人なら誰しも抱く気持ちでしょう。お子さんがどういう特性や夢をお持ちかによって、進ませるべき進路は異なってきます。

どんな進路をたどったとしても、「教育費が0円で済む」ということはまれです。例外として、大学で防衛大学校や防衛医科大学校に進学した場合は学費がかからないどころか給付金(幹部自衛官候補生として国家公務員扱いになるため)を受け取れますが、そう簡単に進める道ではありません。

つまり、たいていの場合では「教育資金を準備しなければならない」のです。子供ができたら、教育費はどうするかを真剣に考えなければいけないでしょう。貯金をしたり、学資保険をかけたり、と方策はありますが、進路によっては、「自分たちの力だけではどうにもならない」こともあります。

教育にかかるお金を残す方法がある!

では、そういう場合はどうすればいいのでしょうか。考えられるのは、「自分たちの親から教育資金を工面してもらう」ことです。一般的には、贈与という形でお金を工面してもらうことになるでしょう。しかし、ここで覚えておくといいポイントがあります。

この教育資金の贈与、うまく使えば相続税対策にもなるのです!言い換えれば、相続税が安くできるチャンスなのです!!「自分たちの子供や孫の教育費も工面できて、相続税も安くなる」なんて素敵な話だと思いませんか?その方法について今からお教えします。

教育資金の一括贈与とは?

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「そんなおいしい制度があるの?」とお思いでしょうけど、あるのです。

相続税法の「教育資金の一括贈与」という規定がその制度に当たります。でも、制度の名前だけではいったい何がどうなっているのかわかりませんよね。

大まかに言ってしまえば、こんな制度です。「子や孫1人につき、最大1500万円までの教育資金を一括贈与することができる制度」です。なお、子や孫の人数に制限はありません。何人でも大丈夫です。つまり、「教育費として贈与した分だけ、相続財産が減るので相続税が安くなる」のです!

どう手続きをすればいいのか?

これは見逃せない制度ですよね。「でも、贈与だけしていればいいの?」と思われるかもしれません。そこで、具体的にはどうすればいいのか、ということを箇条書きでご説明します。

  • 対象となる期間
    1. 2013年4月1日~2015年12月31日。時限立法(期間が決まっている法律)ですので、ご希望の方はお早めに!
  • 対象となる贈与の相手
    1. 30歳までの子・孫・ひ孫
  • 制度を利用する方法
    1. 贈与する人(祖父母など)が、贈与を受ける人(子、孫など)の名義の専用口座を金融機関に開設し、一括して入金する。一度にやらないとダメです!
  • 非課税となる金額
    1. 1500万円まで。ただし、「学校」以外の費用(塾、習い事)に使えるのは500万円まで。
  • 使い道を確認する方法
    1. 金融機関に領収書を提出する。領収書は大切に保管しましょう!

ここで問題となるのが「学校」の定義です。学校には以下に掲げるものが含まれる、とされています。
・日本の教育機関:幼稚園、認定こども園、保育所、小学校、中学校、高等学校、高等専門学校、大学、大学院、専修学校、各種学校、特殊支援学校
・外国の教育機関:日本人学校、外国人学校、外国大学の日本校、国際連合大学、インターナショナルスクール

つまり、日本にあるほとんどの学校がこの制度の対象となると思っていていいでしょう。「孫に教育資金を用意してあげたいけど・・・」とお思いの方は、ぜひこの制度を活用してみてください!

子孫にいい教育を受けさせることは、最大の遺産になる

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文中でも書いてきたように、教育を受けさせることは場合によってはとてもお金のかかることです。現在は名門私立小学校でもいじめが問題になるくらいですから、「お金をかける=いい教育が受けられる」という図式は崩壊しつつあるように思います。

「いい教育」の定義がどんどんあいまいになってきている、と言ってもいいでしょう。しかし、お子さんやお孫さんが毎日幸せに学校に通い、充実した生活を過ごせる環境を作ることが大事になっているのは紛れも無い事実です。

無節操に教育にお金をかける必要はありません。しかし、本人が「これがやりたい」ということを可能な限り実現してあげられるだけの資金を用意するのは、親、祖父母の責任であるはずです。相続税対策をしつつ、お子さんやお孫さんのために教育資金を準備できるこの制度を是非活用して欲しいと思います。

著者:松沢未和

ファイナンシャルプランナー(AFP)兼WEBライター
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2014年にファイナンシャルプランナー(AFP)の資格を取得した兼業WEBライターです。もともと文章を書くことが大好きなので、この仕事を兼業として選びました。相続や保険の分野のお話をわかりやすくまとめてお話できればと思っています。これ以外にも、たくさん資格は持っているので、資格の取り方の話しもしたいところです。また、食べ歩きと旅行とコスメ研究が大好きです。日々の研鑽の成果!?を文章にぶつけていきたいです。至らない点がいろいろあるかと思いますが、よろしくお願いいたします。