生命保険控除とは
1年間に支払った金額に応じて、「所得税」と「住民税」が安くなる減税措置です。
会社勤めの方は「年末調整」において、個人事業主の方は「確定申告」する事で控除を受ける事ができます。
対象となる3つの保険と控除額
一口に生命保険と言っても、その保険契約によって3つに分類されています。
この3つそれぞれに支払っている金額から控除額を計算し、最終的にその合計金額によって、控除額が決められます。
保険の区分
計算の元となる保険は以下の通りです。
しかし、1つの契約の中に2つの内容が混在している物もあり、一応の目安と考えた方が良いでしょう。
また、保険の主契約は「一般生命保険」であっても、特約部分が「介護医療保険」とされることもあります。
さらに、名称は「一般生命保険」であるにも関わらず、国税庁の分類では「介護医療保険」に分類される事すらあります。
もし判断に迷う場合は、保険会社へ確認を取った方がいいでしょう。
一般生命保険
いわゆる死亡保険。生存、または死亡によって給付金が出る保険の事。
定期保険や死亡保険、養老保険がここに入ります。
介護医療保険
入院や通院によって給付金が支払われる保険の事。2012年より一般生命保険と差別化。
入院保険、がん保険、介護保険、就業不能保険などが、ここに分類されるようです。
個人年金保険
「個人年金保険料税制適格特約」を付けた契約による、個人年金の保険。
それぞれの控除額
「所得税」と「住民税」により、計算方法と控除の上限額が変化します。
計算方法の基本:(一般生命保険+介護医療保険+個人年金保険)×所得税率
ちなみに所得税率とは、所得に応じて変化する税率の事で、数値は以下の通りです。
所得金額 | 税率 |
---|---|
195万円以下 | 5% |
195万円超~330万円以下 | 10% |
330万円超~695万円以下 | 20% |
695万円超~900万円以下 | 23% |
900万円超~1,800万円以下 | 33% |
1,800万円超 | 40% |
所得税の場合
それぞれの上限は、一律で4万円。最大控除額は12万円
支払い金額による控除額は以下の通りです。
年間の保険料合計金額 | 控除金額 |
---|---|
2万円以下 | 払込保険料全額 |
2万円超~4万円以下 | (払込保険料÷2)+1万円 |
4万円超~8万円以下 | (払込保険料÷4)+2万円 |
8万円超以上 | 4万円 |
モデルケース
年収420万円。一般生命保険:70,000円。介護医療保険:53,000円。個人年金保険:68,000円。
一般生命保険料控除=37,500円
介護保険料控除=33,250円
個人年金保険料控除=37,000円
合計控除額=107,750円。
しかし、この控除額の全額が、そのまま還付金として返金される訳ではありません。
ここに、所得金420万円の所得税率20%を掛けた結果、「21,550円」が返ってくることになります。
住民税の場合
それぞれの上限は、一律で2万8千円。最大控除額は7万円
支払い金額による、控除の計算式が所得税とは変わる事に注意が必要です。
年間の保険料合計金額 | 控除金額 |
---|---|
1.2万円以下 | 払込保険料全額 |
1.2万円超~3.2万円以下 | (払込保険料÷2)+6千円 |
3.2万円超~5.6万円以下 | (払込保険料÷4)+1.4万円 |
5.6万円超以上 | 2.8万円 |
上記のモデルケースに当てはめると。
一般生命保険料控除=28,000円
介護保険料控除=27,250円
個人年金保険料控除=28,000円
合計控除額=83,250円。ただし、最大控除額を超えている為、最終控除額は70,000円
この7万円に所得金420万円の税率20%をかけ、還付金は「14,000円」となります。
このモデルケースの場合では、所得税「21,550円」と住民税「14,000」の合わせて「35,550円」が、減税される事になります。
面倒でも申請を忘れずに
税金や書類の手続きは面倒なものですが、申請をしないのはもったいないとしか言いようがありません。
保険会社から送られてくる「生命保険料控除証明書」を無くしても、再発行は可能です。
また、書類の提出を忘れて控除が受けられなかった場合でも、翌年に確定申告を行えば、さかのぼって控除を受ける事も出来ます。
税金で損をしない為にも、年末調整や確定申告は忘れずに行いましょう。