【社会復帰の第1歩】精神のリハビリ『精神科デイケア』って何?|トピックスファロー

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2013年5月14日
【社会復帰の第1歩】精神のリハビリ『精神科デイケア』って何?

精神科デイケアとは、精神障害者の為のリハビリ施設の事。しかし一般にはその存在すら知られていません。そこで精神科デイケアの目的や、そこで行われる治療法。さらには精神科デイケアが抱える問題点をまとめました。

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精神科デイケアとは?

統合失調症やボーダー、うつ病のなどの精神障害者を対象にした社会復帰を目指すリハビリテーション施設。
精神保健福祉センターや市町村などの行政が運営している施設と、民間の精神科に併設して運営されているものの2種類があります。

また、精神科デイケアの利用には保険が適応され、3割負担の場合では1日に1000円~2500の費用が必要となります。

参加理由

入院の必要があるほど症状は重くない。しかし社会に出て学校や会社に通うのは困難という人が対象となっています。
その為、自宅に引きこもらないようにすると共に、生活リズムを治す事。誰かと会話する事病気の再発の防ぎ方や、付き合い方を学ぶ事が主な参加理由となっています。

デイケアの目的

復学や就職、復職が最終的な目的とされており、その為のプログラムが行われます。
しかし現状では、精神障害の再発や再入院の予防、慢性患者の心の拠りどころとして利用されているのが現状でしょう。

社会復帰までのプログラム内容

精神科デイケアの場合、日祝日は基本的に休館。
1日6時間のグループワークを基本としたプログラムが行われますが、その全てに参加する必要はありません。
参加するのは週1日が41.9%と最も多く、逆に週5日通っているのは2.9%しかいません。

また他にも午後4時以降から開始される「ナイトケア」。実施時間が10時間の「デイナイトケア」。3時間の「ショートケア」など、プログラムの実施時間により4つに分類されています。

プログラムは医師や作業療法士、看護師などがチームを組み、その指導の下で行われます。
細かい内容は、その施設ごとに異なりますが『作業療法』『レクレーション活動』『スポーツ』『創作』『生活指導』『病気への理解と対処法』に関わる内容が行われており、具体的な例では、音楽、陶芸、卓球、手芸などをプログラムに取り入れる場所が多いようです。

また、プログラムを行っていない時間に何をするかは、利用者の自由とされており、セルフワークに取り組む事も、他の利用者と会話をする事も、1人で読書を行う事も問題はありません。

精神科デイケアの問題点

精神障害者の社会復帰を目的としていますが、その成果が思うように上がっていない事が最も大きな問題と言えるでしょう。

復学・復職率はわずか5%

2008年の厚生労働省の発表によれば、その年の4月から9月までの間に卒業した28施設481名において、『復学・復職』を理由に卒業したのは、わずか5%の24名。
対して、『再入院』した割合は47.2%の227名
さらに通うのが困難になった、通所する必要性が無くなったなどの『本人意思』による卒業者124名を合わせると、その数351名となり、目標である社会復帰を果たせないまま終了した割合は全体の73%にも及びます。

参考資料:厚生労働省-今後の精神保健医療福祉のあり方等に関する検討会-
(http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/06/s0604-7.html)

この結果だけをみれば、精神科デイケアが機能しているのか。本当に必要なのか。通う事にメリットはあるのかという疑問が湧いても仕方がないでしょう。

社会復帰は精神科デイケア施設の差によって大きく変動する

しかしこの発表とは大きく違う成果を出す施設も存在します。
東京都世田谷区にある『東京都立中部総合精神保健福祉センター』では、2009年~2011年までの平均復職率は91.3%。平均就職率は75.7%と非常に高い成果を上げています。

これは疾患・目的別にコースを分け、パッケージ型認知行動療法を取りいれた結果と考えられます。

参考資料:東京都立中部総合精神保健福祉センター- For Work 就労を希望される方のためのパンフレット-
(http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/chusou/jigyo/daycare/index.html)

精神科デイケアは精神病と向き合う一つの手段

精神科デイケアに通うようになったからと言って、すぐに社会復帰できるとは限りません。
しかし、在宅療法ではできない、人と触れ合うリハビリテーションが行える事は確かでしょう。
また医療スタッフや利用者によって、その施設の雰囲気は大きく変わり、通所したくても馴染めない事も珍しくはありません。

一方で、着実に成果を出し、多くの人を社会復帰させている施設も存在しています。
精神科デイケアは、精神病治療の1つの方法として考え、なにかを始めるきっかけとして利用してみてはいかがでしょうか。

著者:渡辺芳樹

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学生時代からライターとして活動。小さな会社に就職したおかげで、ライター以外に、編集からWEBサイト製作など、幅広く経験。現在はフリーランスとなり、いくつかの会社と契約を結んで執筆活動してます。