節電を考えて家電を買い替えるのはエコではない?|トピックスファロー

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2012年10月4日
節電を考えて家電を買い替えるのはエコではない?

物を大事に使うことはエコロジーであるといわれますが、その一方で消費電力が大きく節電には寄与しないものと言われています。最新家電に買い替えることはエコではないといえますが、消費電力を抑えられ節電に寄与するといわれます。家電を買い替えるのと大事に使い続けるのはどちらがエコなのでしょうか?

WEBライター
  

もったいない?もったいなくない? 家電買い換えによる節電

私たちの生活を便利にしてくれる家電製品は、毎月のように新製品が続々登場しています。古くなったり壊れたりした家電の買い替えを考えるとき、新製品の存在はとても心を動かす魅力的なものに見えます。
その一方で、既に生産メーカーが消滅してしまっているほど古い家電を大事に使っている人もいます。
物を大事にすることは良いことですし、エコロジーに通じます。しかし、節電という観点からみると新製品に買い替えてしまった方が良かったりすることもあるのです。

家電は新製品の方が節電できる?

家電の買い替えは、なぜか「物を大事に扱わない」と批判を受けることが良くありますが、実際には節電に多大な効果をもたらしてくれるものです。
家電を構成している数々の部品は、すべて同じように見えますが中身は全然違うものになっています。技術的な問題や加工精度の向上などによって、同じ働きをするものであっても性能そのものは大きく違ってきます。特に部品あたりの電気消費量は新しい物ほど低くなっているのです。
特に現在の主流であるマイコン内蔵型の家電はこの電気消費量低下の恩恵を強く受けているため、昔の家電よりも遥かに節電に貢献できるのです。

古い家電は治すのも一苦労

世の中にはお爺ちゃんお婆ちゃん世代が嫁入り・自宅新築の時に買いこんだ家電を後生ずっと大切に使っているという家庭も少なくありません。
このように、何世代にわたって家電や家具を大事に使うのは良いことですが、タンスや卓袱台などの家具と違って家電は乱暴に使っていなくてもいつか壊れてしまうものです。
「メーカーに頼めばお金が掛かるものの治してもらえるだろう」と考えているかもしれませんが、あまりに古い家電だと、製造元のメーカーにも補修用の部品が残っていないことも十分ありうるのです。
一定期間を超過した家電の補修用部品は、メーカーは早急に処分してしまうものです。なぜなら、補修用部品の生産ラインの維持や保存用のスペース確保などで経済的負担が発生してしまうからです。

つまり、所有者が長年使っていて愛着がある古い家電の修理は、生産元でも匙を投げざるを得ないことがほとんどなのです。

多機能すぎて使い辛い最近の家電

古い家電を修理できなくなるまで長い間大事に使う理由の一つには、「最近の家電は次から次に新しい機能が盛り込まれて操作が覚えきれない」ということが言えます。
例えば、ビデオ録画の場合だと昔はタイマー録画すらありませんでした。そして、タイマー付きビデオデッキが登場した後、チャンネル設定ミスによる見逃しを防ぐため、Gコード予約が登場しました。そして現在は地上デジタルテレビとの連動で、見たい番組の録画は番組表から予約できるようになっています。
しかし、世の中にはGコードどころか手動設定によるタイマー録画で知識が止まっている人も少なくないのです。
つまり、最近の家電に付いていけないから買い替えを考えないという人もいるということが言えるのです。

古い家電はシンプルで強い

古い家電は、技術がまだ発展途上の過程にある時代に作られているせいか、現代の家電と比べて構造や機能がシンプルで、正直見劣りさえします。
しかし、構造や機能がシンプルということはデメリットばかりでなく多くのメリットがあります。まず、シンプルさゆえに簡単には壊れないということ、古いからこそ修理のためのノウハウが蓄積されている、その気になれば専門家でない消費者でもメンテナンス・修理が出来る、というように長く使い続けることに適したメリットがあるのです。

買い替えるべきか?買い替えざるべきか?

家電の買い替えは、どの機種を選ぶか・どこで買うかということ以前に「買い替え自体をするべきか」という課題に決着を付けなければなりません。
買い替えなければエコロジーであるといわれるものの、耐用年数を超過していればいつ壊れてしまうかにビクビクしながら使い続けなければなりません。
買い替えれば「もったいない」と周囲から口出しされるものの、新品だからしばらくの間は壊れる心配もありません。

個人的には、今まで使っていた家電が故障した、修理用部品が手に入らない、というような差し迫った状況でない限りは買い替えないことも選択肢に入れていても構わないと思います。
そして、家電の故障によって早急に買い替えなければ生活に支障をきたすにもかかわらず「もったいない」と口出しする他人は無視してしまって構わないでしょう。

「もったいない」の行き過ぎは資源の無駄遣いになる

「もったいない」という言葉とその意味するところの精神は、とても素晴らしい物であると思います。
しかし、なんでもかんでも「もったいない」を振りかざせばいいというものではありません。

例えば、交通量が多く既にあちこちに錆や破断が見受けられる鉄橋があったとします。この鉄橋の架け替え工事を「もったいない」「まだ使える」と中止させることはエコロジーであり、「もったいない」の精神にそぐう行動であると言えるでしょうか。
架け替えなければならないほどに老朽化した鉄橋は、どんなに修理を重ねても近い将来、必ず崩れ落ちてしまいます。家電も同じことで「これ以上使い続けるのは困難である」と判断したのなら、周囲の「もったいない」に惑わされずその判断を貫くべきなのです。

壊れているもの、何度も修理しているがすぐに壊れるものを大事に使うことは、正しい形で「もったいない」の精神を実践していません。替え時を逃せば、買い替えるよりもはるかに多くの資源を無駄遣いすることになってしまい、なおさら勿体ないことになるのです。

著者:塩屋 謙

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職業は編集・校正、そしてWEBライターでもあります。興味の範囲を広げつつ、様々な記事を書いています。