IT技術者が取得している国家資格とベンダー資格はどんなものがあるのか
IT業界にも様々な資格がある。年収アップに直接つながるものもそうでないものもあるかもしれないが、どんなものがあるのか見ていこう。今回はキャリアアップや転職を目指すIT技術者向けの国家資格やベンダー資格などを紹介していく。
ベンダー資格とは、メーカー企業などが独自に制定している資格で、自社製品をきちんと使えるかをテストする資格だ。国家資格も重要だが、このベンダー資格もキャリアアップに欠かせないので紹介していこう。
システムエンジニアの登竜門、基本情報処理技術者
システムエンジニアとしてまず合格を目指すべきは、「基本情報」とも略される基本情報処理技術者試験である。IPA(情報処理推進機構)が指揮を執っている国家資格で、この資格を取ることが必須条件になっている会社も少なくない。
合格率は25%前後で、他の国家資格よりかは合格率が高く、まさに登竜門的な資格である。対象者はシステムエンジニアやプログラマーの卵で、この資格を持っていることはIT技術者であることの認定基準のようなもの。異業種からIT業界に転職することを考えている人は、本格的にトライして間違いのない資格であると言える。
●基本情報処理技術者とは
平成26年度合格率23.8%
応用情報技術者、○○スペシャリスト試験で更なる高みへ
IPAが執り行っている資格は基本情報だけではない。その上位資格に当たる応用情報技術者、そしてネットワークやデータベースなど、専門分野に特化したスペシャリスト試験などがある。
●応用情報技術者とは
平成26年度の合格率は約20%
基本情報の上位資格で、基本情報よりも更に突っ込んだ内容を問われる。セキュリティからデータベース、ネットワークやシステムアーキテクト、IT監査に至るまで広い知識を保有していることが求められる。難易度は基本情報より上だが、下記スペシャリスト試験よりは低い。基本情報に合格した人が受けることが多い。
●ネットワークスペシャリストとは
平成26年の合格率は約14%
ネットワークエンジニア、インフラ系エンジニアを目指す人におすすめなのがネットワークスペシャリストである。システムのインフラを構築するにあたって当然ネットワークの知識は必須になる。スペシャリスト試験なので難易度は高いが、ネットワークに特化した設問が多いので、業務知識がある人は受けやすい。
●データベーススペシャリストとは
平成26年の合格率は約17%
データベースに携わる人なら取っておきたい資格だ。この資格より、下記オラクルマスターなどのベンダー資格の方が良いという意見もあるが、普遍的なデータベースの知識が身に付くと言う意味ではおすすめだ。システムをデータベースの側面からどのように支援・構築するかといった知識が問われる。データベースエンジニアになりたい人は取っておきたい。
どの資格も難易度は高いし、一朝一夕にとれる資格ではない。しかし、この資格を取ったと言うことはそれだけ自分自身を高めるために時間とお金を投資した証でもある。転職などで有利に評価されることもあるだろう。
オラクルマスターやAWS認定プログラムなど
IT業界は国家資格だけではない。ベンダー資格の金字塔とも呼ばれているのが「オラクルマスター」である。
●オラクルマスター
主にオラクルデータベースに関する広範な知識が問われ、データベース技術者なら持っておきたい資格である。幅広いシステムで使われているオラクルの製品に詳しいことの証明になるので、キャリアアップとしても相当な効果が期待できる。
正式な合格率は非公表
●AWS認定プログラム
AWS認定プログラムは、今話題のAWSクラウド環境を構築できる能力が問われる試験である。AWS構築に関するものだけではなく、一般的なITに関する知識やスキルが問われる。注目のクラウド業界の資格ということもあって、持っているだけで他の技術者との差別化になりそうな資格だ。
キャリア形成に役立つ資格とはどのようなものか
結局のところ、どの資格が一番キャリア形成に役立つのかは、一概にはいえない。それは自分がなにを目指そうとしているのかということにも関係する。自分はどんな仕事に向いているのか、なにをやりたいのか、次の選択肢から自分が目指すべき方向性やキャリア形成の枠組みを考えてみてはいかがだろう。
マネジメントか、スペシャリスト、どちらを目指すのか
まずは、マネジメントか、スペシャリストかと言った方向性の違いが考えられる。もし、マネジメントの方に重きをおきたいというのであれば、プロジェクトマネージャやアーキテクト技術者になることが考えられる。そのような資格は既に国家資格にも民間の資格にも存在するので、試してみると良いかもしれない。
●プロジェクトマネージャ試験
その名の通りプロジェクトマネジメントの試験である。論述問題が難関で、過去のマネジメントで起こったインシデントや失敗などとその改善策を記述すると良いと言われている。マネジメント層で活躍したいエンジニアは間違いなく持っておきたい。
●システムアーキテクト技術者
システムの構成やアーキテクチャに詳しい技術者かどうかを見極める資格。技術者向けに見えるが、プロジェクトを高いところから俯瞰してみるためには、そのシステムが構成上実現可能かどうかを見極めるのはマネジメントとして求められる能力である。
マネジメントにとって大事なのは、細かいことを深掘りするのではなく、全体としてできるかどうか俯瞰する力である。細かな最新の技術や、本質的でない部分のシステム構成などは専門の技術者に任せればよく、大事なのはそれがどのくらいのコストで、どうやったら実現可能なのかを考えられる能力だ。また、組織をまとめるためのマネジメント能力も問われる。
スペシャリストを目指すなら、究極的には一番の物知りになれば良いということだ。これには経験がものを言うので、とにかく技術を使う仕事の量をこなすことだ。
資格としては、ネットワークやセキュリティ、組み込みシステムやデータベースなど、専門分野に特化したある1つ2つの領域を極めることになる。こちらもその分野ごとにベンダー資格などがある。
●シスコ技術者認定
ネットワークの導入から、運用、またトラブルシューティングに関わる認定資格。シスコはネットワークの標準的なメーカーなので、この資格から得られるものは大きい。ネットワークに弱いなと思う人も、この資格を取って自分を磨いてみるのも良いだろう。
転職を考えている人は、このマネジメントか、スペシャリストかという点は非常に大事になってくる。IT企業といっても最終的に相手にするのは人。スペシャリストであったとしてもマシンを向いていればいいわけではない。両方経験したことがないという人も多いだろう。
自分がどちら向きなのか、資格の過去問や書籍を読んで、納得するまで考えた方が良い。必要なら、経験者に話を聞いてみよう。やはり現場で働いている人に話を聞いてみるのが一番なので、自分がどちら向きか、考えがあっている方を選んでいきたい。
技術者から営業への転職も
技術者としてスキルアップしたいのであれば考えられないかもしれないが、技術者から営業へ転向するというケースも少なくない。IT企業が人手不足と言われている昨今ではどのような人員配置がなされてもおかしくないからである。
営業をするにあたって一番重視されるのはプレゼンテーション能力である。自社の製品やソリューションがいかに素晴らしいかを伝えなくてはならない。技術者として大事なのは、技術を誇ることもそうだが、技術をわかりやすく一般の人々に提供することである。
自分がもし営業になったときや、営業に転向したいと考えるなら、普段から技術者として、難解な技術をいかにわかりやすく相手に説明できるか整理しておくと良い。
キャリア形成の一つとして資格取得をどう位置付けるか
以上、書いてきたことは一般論であって、結局何に向いているかを判断するのは自分である。会社で働く上では仕事を選ぶことは難しいかもしれないが、それでも会社にこの仕事がやりたいと伝えることはしないよりはした方が良い。
大事なことは、資格取得一辺倒になるのではなく、自分が何に向いているかを比較検討し、実績を積み上げることである。「資格取得のための資格」にならないように、自分の軸をしっかりと据えて、キャリアを積み重ねていきたい。転職を考えているのなら尚更、自分の強みと何がしたいかをはっきりしておきたい。
読者の皆さんも、これを機に、自分のしている仕事、今後何をしたいか、そのために資格取得が必要なのかどうか、一度整理して考えてみてはいかがだろうか。