サブプライムローンが何を引き起こした?(下)|トピックスファロー

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2012年6月21日
サブプライムローンが何を引き起こした?(下)

不動産バブルに沸くアメリカで一世を風靡したサブプライムローンは、やがて未曾有の経済危機の引き金を引くことになります。サブプライムローンの破綻とリーマン・ブラザーズの崩壊は何故起こってしまったのかを再検証していきます。

WEBライター
  

サブプライムローンの破綻とリーマンショックの影響を振り返る

日本の「失われた二十年」の一因となったリーマンショック。そして、その原因となったサブプライムローン。
アメリカで起こったリーマンショックが何故日本に大きな経済的影響を与えるに至ったのでしょうか?

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サブプライムローンの破綻と不動産バブルの崩壊

サブプライムローンは、家を持つことが出来なかった低所得者に夢を与え、投資家にも夢を与えることに一時は成功したといえます。

しかし、ローンを利用していた人たちの返済は案の定というか次々と焦げ付いていきました。
ローンの返済先である銀行は「返せないなら物で返せ」と購入した住宅を取り上げて万々歳、というわけには行かなかったようです。

アメリカでは、「ノンリコースローン」といって融資を受けて不動産などを購入した場合、返済不能になったら不動産を手放せば残りのローンの返済義務が消滅する仕組みのローンがあります。
サブプライムローンはノンリコースローン形式だった為、利用者は住宅を手放せばローンが残っていても返済しなくていいけれど、ローンを組んだ銀行には回収不能となった負債が残ってしまうのです。
このようなサブプライムローンの焦げ付きによって発生した不良債権は総額で1000億ドル以上といわれています。

そして、止めとなったのが2006年の不動産バブルの終焉。
バブルがはじけたということは、これ以上不動産価格は高騰せず、下落する一方。つまりサブプライムローンを利用して住宅を購入しても初期のような財テクは使えないし、利用して住宅を買った債務者も金利アップで債務超過に陥り家を手放す。
この悪循環がサブプライムローン制度を崩壊させていくことになったのです。

なぜ不動産バブルははじけるのか?

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1980年代後半から1990年代初頭にかけての日本のバブル景気とその崩壊も、不動産価格の高騰と下落が原因の一つといわれています。

ではなぜ、不動産バブルははじけてしまうのでしょうか。それは「需要と供給」、そして「価格」の三つが大きくかかわっています。
よく言われる需要と供給のバランスは「需要が供給に対して大きいと価格が高騰し、供給が需要に対して大きいと価格が下落する」というものです。つまり、需要と供給の差が商品の金銭価値を決定しているというわけです。

しかし、価格は需要と供給のバランスに左右されるだけの指数ではありません。価格は需要に大きな影響をもたらします。
需要の増大によって価格が暴騰を続けていくと、「そんなに高いならいらない」「購入金額分の元が取れないから考え直す」という気持ちが強まり、買い控えによる需要の減少が起こります。

買い控えによる需要の減少は、需要と供給のバランスを逆転させてしまうほど強烈に進行します。供給する側は商品が手元に残りっぱなしになっている状態を好まないので、価格を大幅に引き下げてでも売りさばいてしまおうとします。

そして需要と供給のバランスがつりあう頃には価格は下落しきっていて、毎日のように価格が高騰を続けていたバブルはまさに泡のように弾けた後、というわけです。

そしてリーマンショックへ

アメリカの不動産バブルの終焉とサブプライムローンの破綻はアメリカ経済を、そして世界経済を揺るがす大きな混乱を引き起こすことになります。

サブプライムローンの破綻は、ローンを斡旋していた銀行よりも融資で運転資金を集めていた証券会社や投資銀行が大きなダメージを受ける結果を招きます。

サブプライムローン証券は元々リスクが高い投資商品ですが、証券会社や投資銀行は他の証券と抱き合わせにしたり格付けで下駄を履かせたりしてローリスクハイリターンに見せかけていたのです。
サブプライムローンの破綻が広まると、サブプライムローン証券の価格は急落し不良債権化が進んでいきました。

この影響を受けたリーマン・ブラザーズの株価は大暴落を起こし、2008年9月に連邦倒産法第11章に基づく手続きを申請し、事実上の倒産を迎えることになります。
アメリカ政府や銀行によるリーマン・ブラザーズへの資金注入による救済策も模索されましたが、余りにも負債が大きすぎて共倒れになる可能性が高かったため、最終的には倒産せざるを得なかったということです。

日本へのリーマンショックの影響

日本におけるリーマンショックの影響は、リーマン・ブラザーズの倒産よりもリーマンショックに関連して起こった超円高のほうが大きかったといえます。

2008年7月の時点では1ドル110円前後で推移していた為替市場が、リーマンショック後の2008年12月の時点で90円台前半と、一気に円高ドル安が進んでいったのです。
円高が進むと、日本の経済を支えている輸出産業の勢いが冷え込み、営業利益の低下につながります。
こうなると人件費のカットや事業規模の縮小、会社の整理が進み国内消費が冷え込んでいくことで不景気が進んでいくというわけです。
リーマンショックによる超円高のあおりは、日経平均株価にも大きく影響し、1万2千円台から7千円台にまで急落してしまいました。

なぜ円高が進んだのかというと、「リーマンショックからアメリカドルへの不信感の高まりによる日本円買い」が原因といわれています。リーマンショックがアメリカ経済に与えた被害総額は、アメリカの純資産の4分の1に当たる1000兆円。これは日本政府がしている借金の総額とほぼ同じと言われています。

世界中の投資家はアメリカドルの持っていた信用が失われつつあるので日本円などの有望かつ安全度の高い通貨に切り替えたことで急速に円高が進み、日本経済を直撃したということなのです。

サブプライムローン問題から何を学ぶべきか

リーマンショックを引き起こしたサブプライムローン問題は、アメリカならではの金融システムによって起こるべくして起こった人災とも言えます。
ノンリコースローンだから焦げ付いても利用者は損をしない、ローンを証券化して投資家からお金を集めたから銀行は損をしない、他の証券と抱き合わせにしたから投資銀行は損をしない…というように自分が損をしないように他者に転嫁し続けた結果なのです。

サブプライムローン問題から学ぶべきことの一つは、「自分の身の丈にあわない借金はしない」ということです。自分の収入や生活を見直し、どれくらいの額なら毎月無理なく返済できるのかを考える事が大事なのです。

著者:伊藤義雄

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書きたいものがありすぎて書かせてもらっているライターです。趣味は鉄道旅行、写真を撮ることもあるが実際に乗車して車両の個性を体験したいタイプ。尊敬する人は宮脇俊三さん。目標は全国鉄道制覇