その節約術今は時代遅れかも!「コンセントを抜く節約術」のリスク|トピックスファロー

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2015年6月16日
その節約術今は時代遅れかも!「コンセントを抜く節約術」のリスク

節約の基本である、「コンセントを抜く」という方法。この方法をずっと実践している、という人も多いのではないでしょうか。でも、現在の技術力では、逆にリスクとコストが高くなることも!「コンセントを抜く節約術」の実態を探ります。

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抜く?抜かない?コンセントの電源について

かつては、「使っていないときは、家電製品の電源を抜く」というのが、節約のための常識でした。毎回毎回さしなおすのは面倒ですが、「常にスタンバイしている」という状況は、多くの電力を食うため、電気代にもエコにも優しくない、と考えられていたからです。 コンセント

しかし、これは現在でもそうなのでしょうか?今回は、「コンセントを抜くべきか、抜かざるべきか」を、データから見ていきましょう。

待機電力が占める割合はなんと消費電力の6%!

省エネルギーセンターが、平成20年度に発表した「待機時消費電力調査報告書」によれば、待機電力が電気の総消費量に占める割合は、6%程度になる、ということです。

年間の消費電気料金が12万円だとした場合、7200円が、待機電力によるものだということです。

この数字だけを見ても、待機電力がかなり大きいものだということがわかります。ただ、家電製品のなかでも、待機電力が大きいものと小さいものがあります。それを、省エネルギーセンターが発表した「平成24年度エネルギー使用合理化促進基盤整備議場(待機時消費電力調査)報告書」から見ていきましょう。

待機電力がもっとも大きいのは今も昔も「給湯器」

家庭のなかで、もっとも待機消費電力が大きいのは、「石油給湯器」です。その次が「ガス給湯器」です。

これらは、まったく使用していなかったとしても、7~8Wもの電力を消費します。

電気料金は、季節などによっても違いがありますが、中国電力の金額などから換算してみると、だいたい0.1円~0.2円程度です。

テレビなどの場合は、約0.8W程度です。電子レンジ(オーブン)の場合は約1W、パソコンの外付けモデムなどは、約5.9Wです。洗濯機は0.47Wと言われています。 給湯器

起電力と待機電力について

ただし、だからといって、単純に、「電源を抜いてしまえば節約できる」とは言い切れません。なぜなら、家電製品を動かすときには、「起電力」がかかるからです。

起電力っていったいどういうもの?

起電力というのは、「電力がまったく通っていないときに、それを0から1にまでに引き上げるときの電力」を指します。当然ながら、このときに使う電気量というのは非常に大きく、電気料金を大きく跳ね上げてしまいます。

「起電力がいくらくらいなのか?」ということは、「どんな電化製品か?」だけでなく、「どんなメーカーか?」「どのような使い方か?」によっても大きく変わってきます。

そのため、一概には「○○円だ」と言い切ることはできないのです。しかし、「電源を入れたときに、もっとも多くの電気量を消費する」という考え方は、どの電化製品でも共通しています。

このため、「頻繁にコンセントを抜き差しする」ということは、それだけで、この「もっと電気料金がかかる行動を繰り返している」ということになるのです。

技術革新と待機電力

上記では、「待機電力はいくらくらいか」ということに触れました。もっとも商品電力が高いものであっても、その金額は1円にも満たないものである、というのはすでに述べた通りです。 かつてはこの「待機電力」は非常に大きな割合を占めていました。

しかしここ10年ほどの間に、テレビは半分以下に、洗濯機も半分以下に、電子レンジやオーブンなどは約3分の1にまで待機電力は減っています。プリンターの場合は減り幅が極端に大きく、5分の1程度にまで抑えられました。

自宅でパソコン

パソコンや外付けモデムなどは、逆に10年前に比べて待機電力が増えています。これは、これらのアイテムの容量やできることが増えたため、電気量がかかることになったから、と考えられています。

いずれにせよ、現在は、昔に比べて待機電力が低くなっています。技術の革新とともに、電気料金を抑える技術も発展していったからです。

エアコンなどは特にそうなのですが、頻繁につけたり消したりを繰り返していると、機械は「もっと冷やさなきゃ」「もっと暖かくしなきゃ」と感じ取り、予定の気温になるまで、ものすごくたくさんの電力を消費してしまいます。一部のエアコンメーカーなどは、「1日つけっぱなしにしていた方が、逆に電気料金は安くなる」と断言しているほどです。

また、抜き差しを繰り返すことによって、設定がリセットされるなどの弊害もあります。待機電力がわずかであること、そして起動するときに大量の電気を消費することなどを併せて考えると、

「何でもかんでもコンセントを抜く」という考えは、今や時代遅れである、と言えるでしょう。

使用頻度によって抜き差しをコントロール

確かに、待機電力というのはとても大きいものです。しかしながら、起動するときに大量の電気を使うこと、今の待機電力は非常に少なくなっていること、設定がリセットされることなどの弊害を考えれば、「すべての電源を抜く」ということは、決してプラスの意味ばかりを持つものではない、と言えます。

「ほとんど使わないもの」の場合はコンセントを抜くことをオススメしますが、それ以外の場合は、コンセントは差しっぱなしでもよいでしょう。

【参考URL】
http://www.meti.go.jp/meti_lib/report/2013fy/E003416.pdf(P65)
https://funtoshare.env.go.jp/setsuden/home/saving02.html
http://www.energia.co.jp/elec/h_menu/pricelist/pricelist3.html
http://www.kodomonokagaku.com/hatena/?9cc058ecbd313250fde52599881a1ee2

著者:鍋谷萌子

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美容記事を3000記事以上、オリジナルレシピを150以上、福祉と医療関係の記事を1000以上書いてきたフリーライターです。フードコーディネーター、フードアナリスト、コムラードオブチーズの資格持ち。
糖尿病の家族の食事管理を行い、半年で血糖値を50以上下げた実績もあり。高血圧対策レシピなども作成できます。
介護―看護職の家族を持つため、正確な医学的知識に基づいた取材を行います。
また、葬儀会社の勤務経験を活かし、葬儀の常識から裏事情、葬儀の金額のカラクリなども解説できます。
18回の引越しを経験したこと、注文住宅を建てた経験と、建築業の専門的知識を持つ家族がいるため、不動産や建築事業に関する記事も多数執筆できます。