金融業界を巡るブラックリストの正体
「人から借りたものは必ず返す」、これは守って当然の社会でのマナーです。
「人にお金を貸すときはあげるつもりで貸せ」。これは貸す側の心構えを説く言葉ですが、借りる側が曲解して使うべきではない言葉でもあります。
貸す側は返してくれると思っているからこそお金を貸しているのに、借りた側は貰ったつもりだから返す気がない。これが世の中の当たり前になると銀行も貸金業も成立しなくなってしまいます。
そうならない為に作られたのが「ブラックリスト」なのです。
ブラックリストの正体とは
結論から言えば、金融業界においてのブラックリストは金融機関利用者の中でも信用が極めて薄い利用者についての一覧のことです。
「信用が極めて薄い」というのは「多額の債務がある」「返済の滞納が頻繁に、かつ繰り返し行われている」「破産宣告されたことがある」などの、貸しても返済が見込めないケースに分類されているということです。
本来、お金の貸し借りでは借りる相手に対して何らかの担保を預けなければなりません。でなければお金を貸す側だけが一方的にリスクを背負うことになって不公平だからです。
消費者金融やクレジットカード会社は「無担保消費者ローン」と呼ばれるように、担保なしでお金を貸しているように見えますが実際にはそうではありません。
無担保消費者ローンは目に見えない「信用」を担保にしてお金の貸し借りを行なっているのです。
ブラックリストを纏めているのは誰か?
ブラックリストは、名前からはバインダーに纏めた書類を各金融機関が所有しているようなイメージを受けますが、実際には「これがブラックリストだ!」と明確に示せるような形のあるものではありません。
私たちが銀行や消費者金融でお金を借りると、その情報は「信用情報機関」という会社や団体によって纏められていきます。この信用情報機関の作ったデータベースこそがブラックリストそのものなのです。
信用情報機関には、金融機関を利用した人の借金経歴が数年分纏められています。銀行や消費者金融は専用の情報照会端末を使って、お金を借りに来た人の最新の信用情報を確認することが出来ます。
この信用情報を見ればどこの金融からいくら借りていて、返済滞納がいくらあるかが一目瞭然で判るので各金融機関は情報を書類という形で所有しておく必要はない、ということなのです。
「ブラックリストを消す方法」は存在する?
ネット上では、「ブラックリストにあなたの名前が載っていたらお金を借りることは出来ない」「だからブラックリストからあなたの名前を消す方法を特別価格でお教えします」というような情報商法を見かけることがあります。
しかし、前述したようにブラックリストというものは明確な形であるわけでなく、個人ごとの信用情報から判断するものなので、ブラックリストを消す方法は無いと断言できます。
信用情報機関に保管されている信用情報を消したい、というのであれば借金を整理・返済して、信用情報が保存されている7年から10年の間は一度もお金を借りないのが一番です。