B-1グランプリで2度の優勝を誇る
2006年から開催されている『B-1グランプリ』。
地元でしか食べられていない『ご当地グルメ』を来場客が食べ比べ、どこの食べ物が一番おいしいかを競う大会です。
経済効果も高く、町興しや地域の活性化につながり、年々参加団体が増えているイベントです。
そのB-1グランプリの開催年にあたる2006年と翌2007年に優勝し、2008年には特別賞を受賞したご当地グルメが、静岡県富士宮市を中心に愛されている『富士宮やきそば』です。
3年連続で受賞をしたのは『富士宮やきそば』だけです。
その快挙により絶対的な王者となりました。
しかし、それ以降は他のご当地グルメがグランプリをとっています。
富士宮やきそばが王者に返り咲く日は来るのでしょうか?
絶対王者『富士宮やきそば』の全貌
『富士宮やきそば』とは、静岡県富士宮市で良く食べられている料理です。
そんな富士宮やきそばは、一般的に食べられている焼きそばとは違う特徴を持っています。
麺
富士宮市内で製造された麺しか使用しません。
製造方法も一般的な麺とは違います。
一般的な麺は茹であがった後に蒸すという作業を行ないますが、富士宮やきそば用の麺は茹であがった後の蒸すという作業がなく、かわりに急速冷凍し、油を使ってコーティングするという独特の方法によって製造されます。
その為非常にコシの強い麺になります。
油
富士宮やきそばによく用いられている油は『ラード』です。
具材
富士宮やきそばの主な材料は『キャベツ』と『肉かす』です。
肉かすとは、ラードを製造した後に残った部分を油であげた食材です。
これを好みの大きさに刻んでキャベツと一緒に炒める事で、富士宮やきそばの美味しさが引き立っていきます。
味付け
主に辛口のウスターソースを使用しています。
地元では『富士宮やきそば用のソース』が販売されています。
トッピング
富士宮やきそば最大の特徴はトッピングです。
出来上がった後に『イワシのけずり粉』を大量にふりかけ、紅ショウガをのせます。
作る時のポイント
炒める順番は『ラード』を鍋肌になじませ、『キャベツ』→『肉かす』→『麺』の順番で炒めていきます。
さらに、炒めている最中に『お湯』をかけるのもポイントの一つです。
お湯の量は麺がベチャベチャにならないように気を付けてください。
虎視眈々と王者の座を狙う次世代のやきそば達
第2の王者を虎視眈々と狙う『やきそば』は日本各地に存在します。
どんな焼きそばがあるのでしょうか?
上州太田焼きそば
《日本三大やきそばの重鎮》
具材はキャベツのみ。
そして太麺に濃い味のソースをからめたのが特徴です。
群馬県太田市のご当地グルメで、『富士宮やきそば』『横手焼きそば』と共に日本三大焼きそばの一角を成しています。
横手焼きそば
《第1回大会『シルバーグランプリ』、第4回大会『ゴールドグランプリ』》
秋田県横手市で良く食べられています。
その特徴は、焼きそばの上に目玉焼きがトッピングされている事です。
甘めのソース味で、材料にホルモンを使用するものもあります。
ひるぜん焼きそば
《第5回大会『シルバーグランプリ』、第6回大会『ゴールドグランプリ』》
岡山県真庭市蒜山地方の焼きそばです。
味付けにソースを使わず『ジンギスカンのたれ』もしくは『味噌だれ』を使用し、具材に鶏肉を使用しているのが特徴です。
黒石焼きそば
《第3回大会『第9位』、第4回大会『第7位』、第5回大会『第7位』》
基本的に太めの、多くは平たい、うどんのような麺にウスターソースで味付けをした焼きそばです。
オーソドックスに炒めただけのものと『つゆ』をかけた『つゆそば(つゆやきそば)』というものがありますが、圧倒的に有名なのは「つゆやきそば」。
ソース焼きそばベースが基本ですが、注がれる「ツユ」は各店さまざまで、
麺ツユや鶏がらスープなど、それぞれに違った味わいがあります。
なみえ焼きそば
《大会第6回大会『第4位』》
モヤシと豚肉をソースで炒め、仕上げに一味唐辛子でアクセントをつけた福島県浪江町の焼きそばです。
麺も太く食べごたえ抜群の品です。
石巻焼きそば
《第6回大会『第6位』》
宮城県石巻市でこよなく愛されている一品です。
麺を炒める際にだし汁をかけ蒸し焼きにするのが特徴です。
味付けは食べる人が好みでソースをかけるといったスタイルで、
また麺そのものが茶色いというのも石巻やきそばの特徴です。
オホーツク北見塩やきそば
《第5回大会『第10位』》
北海道北見市を中心に愛されている焼きそばです。
材料は肉の代わりにホタテ、味付けは塩だれという様に北海道の味を全面に出した一品です。
糸魚川ブラック焼きそば
《新潟うまさぎっしり博『グランプリ』受賞》
新潟県で行われたイベントで見事グランプリを受賞した作品。
イカ墨をふんだんに使った黒い面を用いた焼きそばです。
絶対的王者『富士宮焼きそば』はどうなる?
過去に行われたB-1グランプリを紐解いていくと多くの焼きそばが出展していました。
まさに『群雄割拠』のような中を勝ち抜き、2度の優勝を含め3度受賞した『富士宮やきそば』は王者なのでしょうか。
いつか王者に返り咲き、『富士宮やきそば時代』が再び到来してもおかしくないだけの力はあると思います。
しかし、それを阻止すべく日本各地から集まった焼きそば達が、『我こそが王者なり』と言わんばかりにグランプリの座を狙っています。
もしくは、全くのダークホースが出てきて、あっさりと王座を仕留めるかもしれません。
日本人の馴染みの深い『焼きそば』が、各地で姿やスタイルを変えて愛されています。
今後どのような展開を見せるのかとても楽しみです。