禅とは?
鎌倉時代に中国から日本に伝わった仏教の宗派である禅は、南インド出身の僧侶達磨が中国で広めたといわれています。日本では、達磨が座禅をする姿を模した置物の「だるま」が知られているように、座った状態で精神統一を行う「座禅」は、禅には欠かせない修行法の1つです。
禅の語源となっているサンスクリット語の「ディヤーナ」が、”瞑想”を意味するように、禅では、姿勢・呼吸・心を調(ととの)える「調身・調息・調心」によって、疑心に向き合うことで、最終的には自己との対峙が叶うと考えられています。
禅が“Zen”になった
20世紀になり、日本の禅は、仏教学者の鈴木大拙(1870-1966)によってアメリカやヨーロッパに紹介され、「Zen」という言葉が世界的に知られるようになったのです。
特にアメリカでは、1960年代以降、宗教としてよりもむしろ文化や思想としての人気が高まり、多くの著名人が影響を受けました。そして、その中でもっとも有名なのが、2011年に亡くなったアップルの創始者の1人スティーブ・ジョブズ氏です。
ジョブズ氏は、10代で禅と出会い、そして仏式で結婚式を挙げるなど、禅に熱心に傾倒していたことから、無駄を排した洗練されたアップルのデザインは、シンプルで奥深い禅の影響ではないかと指摘する声もあがっています。
その他にも、格闘家のヒクソン・グレイシー、アクションスターのスティーブン・セガールなどが、禅の精神に傾倒した海外の著名人として広く知られています。
気軽にできる「禅体験」
日本の禅宗には、曹洞宗と臨済宗、そして臨済宗から分派した黄檗宗の3つの宗派があり、これらの宗派のお寺は総じて「禅寺」と呼ばれています。
そして最近は、その禅寺での座禅体験や、宿泊しながら修行できる禅寺体験が、静かなブームになっています。
静けさの中で、足を組んで静座することによって、普段は聞こえない音や、気が付かない雑念に気付くことでしょう。そして、「調身・調息・調心」によって精神を集中することで、心が解放されるのです。
心を調えたいという方は、ぜひ、お近くの禅寺に問い合わせてみてはいかがでしょう。