集中とは、脳が動いていない状態の事だった
電車の中で本を読んでいたら、降りるはずの駅を乗り過ごした事はないでしょうか?
もしくは、友達と一緒にいたはずなのに、気が付いたら誰もいなくなっていた、という経験はないでしょうか?
これらはボーっとしていた訳でも、注意力が足りない訳でもありません。
脳科学的には、『集中』していたから起きた現象なのです。
『集中』とは機能の「偏り」である
人が集中している時、脳のどの部分が活動しているかを調べた実験があります。
その結果、通常時の脳は広範囲にわたり、あらゆる部位が活動しているのですが、集中すると作業に必要な一部のみが活性化し、他の部位は活動が低下している事が分かりました。
つまり、『集中』とは脳の活動を低下させ、一点に集中する事で起きる現象だったのです。
脳とメモリの関係
脳を一つのメモリと考えてみましょう。
「見る」「聴く」「話す」「判断する」「歩く」「記憶する」「計算する」など、様々なタスクを同時に処理すると、メモリは分散され、動作は遅くなります。
しかし、いらないタスクを停止させ「記憶する」だけを残すと、全てのパワーを「記憶」にのみ特化する事が可能。
シングルタスクの時、私たちは『集中』しているのです。
集中力を高める方法
マシンスペックが不満だからと言って、脳はメモリのように載せ替える事はできません。
ならば、いらないタスクを減らし、今あるメモリの容量を増やす(集中)しかないでしょう。
その為の手軽な手段として、3つの方法があげられます。
(1)環境音で雑音をカットする
家庭や職場では集中できないのに、電車の中では集中できるという人も多いのではないでしょうか?
たとえば、雑踏の中でも自分の名前は聞こえるように、人は自分に関係のある「音」に関しては、無意識に注意を向けてしまいます。
電車内で知り合いに呼ばれる機会は少ないでしょう。
ですが、知り合いや自分と関係するものが多い、自宅と職場は集中しにくい場所と考える事ができます。
雑音で雑音を潰す
また、電車がレールの上を走る変化のない一定のリズムに対して、脳は聞こえていても反応しません。
このような「脳が反応しない音は環境音」と呼ばれています。
そこで、ホワイトノイズに代表される環境音を使い、自分の“注意を引く音を潰す”事で、余計なタスクの発生を防ぐ事ができるのです。
(2)自己報酬神経群を逆手に取る
自己報酬神経群とは、目標を達成した時にもらえるご褒美を目指して、活発に活動する脳の部位。
目の前のエサに向かって走る原動力となる場所です。
しかし、この自己報酬神経群は、「目標を達成した時」ではなく、「達成が見えてきた時」に活動を停止します。
ゴールを一歩、奥に設定する
オリンピック金メダリスト「北島康介」選手が、ゴール直前のタイムを伸ばすために、壁にタッチする事がゴールではなく、タッチの後で電光掲示板を見る事をゴールとした、というのは有名な話です。
1日に英単語100個を覚える事をゴールとすると、後半で集中が切れるでしょう。
ならば、100個の英単語を覚える為に、ノルマを150個とした方が科学的には理にかなっていると言えるでしょう。
(3)飽きは脳の疲れである
集中が切れる事を「飽きた」といいます。
この「飽き」とは脳が疲労している状態なのです。
疲労回復には休息が一番
フルマラソンの後で100mを走ってもいい記録が出ないように、飽きた(疲労)している状態でいくら頑張っても身に付きません。
疲労から回復するには、10分から20分の仮眠を取る事をおススメします。
勉強内容を変えるのも効果的
「追い込みで5分の時間すら惜しい」という時には単語の暗記からリスニングへ変えるというように、勉強内容を変える方法もあります。
限界まで腕立て伏せをした後でも、腹筋やスクワットは出来ますよね。
同じように、暗記と聞き取りでは使用する脳の部位が変わるため、飽きずに続ける事ができます。
それでも、長くは続きませんので、おとなしく休憩を取る方が効率的という事はよくあります。
脳をだまして集中するのは難しくない
錯視やトリックアートの例を出すまでもなく、私たちの脳は高性能な割に、非常にだまされやすい性質を持っています。
脳の性質を理解すれば、集中力は単純な方法で、意外なほど簡単にアップするのです。
脳の特性を理解し、集中力をアップさせる方法のまとめ
- ホワイトノイズで雑音を塗りつぶす。
- 目標は、少し遠くに設定する。
- 飽きたら休む。
- 休めないなら、別な勉強に切り替える