知っておきたい交通事故での過失割合の決め方|トピックスファロー

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2012年7月11日
知っておきたい交通事故での過失割合の決め方

交通事故はいつも加害者とされる側のミスで起こるというわけではありません。時には被害者とされる側のミスが事故を誘発することもあるのです。事故の当事者のどちらに過失があるのかを判定する過失割合はどのように設定されているのでしょうか。

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事故の過失割合はどうやって算出されるのか?

交通事故の当事者になった人たちの多くは、事故に遭う直前まで「自分は事故と無縁である」と思っているものです。

しかし、実際には事故の原因になりうる気の緩みや注意力散漫、自分への過信から来る運転マナーの欠如などが見られます。
もちろん車の運転手だけでなく歩行者や自転車にも同じように気の緩みや交通マナーの欠如が見られるもの。

交通事故が起こる原因は、当事者それぞれに潜んでいるものなのです。では、交通事故を起こした責任の割合の目安となる過失割合はどのように算出されているのでしょうか?

過失割合の基準はまとめられている

交通事故における過失割合は、基本的に同様の事故の判例を基準として判断・算出されます。基準となっているのは判例タイムズ社が発行している別冊判例タイムズ「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」(以下:別冊判例タイムズ)という書籍にまとめられています。

別冊判例タイムズは、東京地裁に所属する民事訴訟担当の裁判官、それも交通事故裁判を担当している裁判官が過去の判例をまとめて考えられる全ての交通事故のパターンを網羅している実践的な内容で、自動車保険を扱う保険会社の担当者は持っていないほうがおかしいというくらいに普及しています。

判例だけで判断されるわけじゃない

別冊判例タイムズに記載されている過失割合の基準は、考えうる限り全ての事故のパターンを網羅していますが、実際の過失割合の算出も基準どおりというわけではありません。

自動車側の信号は赤か青か、対向車や歩行者をどの位置から認識できていたか、左右前方の確認はしていたか、法定速度以上にスピードが出ていたのか、自動車の整備は正しく行なわれていたのか…など、事故に関わる様々な要素を調べ、基準と合わせて総合的に判断していくことになります。

そのため、別冊判例タイムズに収録されているのと同じような内容の事故であっても過失割合が異なってくることが多々あります。

賠償金に関わる過失相殺

交通事故での過失割合を正確に算出することは、後の補償に大きな影響を与えることになります。
当事者同士の過失割合が100:0以外の場合、過失の重い方が支払う損害賠償・慰謝料などの賠償金は相手側の過失割合の分だけ減算されることになるのです。これを過失相殺といいます。

つまり過失割合が車10:歩行者0の場合、自動車の運転手は歩行者に対して賠償金を支払額の100%支払わなければなりませんが、車6:歩行者4の場合は運転手は歩行者に対して賠償金の支払額から60%分支払えば充分となります。

車の方が過失責任が重い?

過失割合の基準では、基本的に歩行者・自転車相手の場合は自動車・二輪車の過失責任が大きくなるように設定されています。

これは自動車・二輪車の運転には運転免許が必要なことが大きく関わっています。
要するに、運転のように日常で何度も反復して行なわれる行動は「業務」と見做され、業務を遂行している最中である以上は他の自動車・二輪車・歩行者・自転車の存在や動きに気を配り、交通事故が起こらないようにすることが免許取得者の義務だからです。

つまり、事故を起こした段階で運転手は事故回避の義務を怠ったものと見做され、重い責任が問われることになるのです。

著者:佐久間和夫

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