弁護士との相談費用を抑えるためには?
個人が持っている借金、すなわち「個人債務」の問題は法律問題となり、その問題を解決するためには自分で何とかしようとするよりも法律の専門家である弁護士に相談するのが間違いない方法です。
しかし弁護士に相談すると少なくない費用がかかってしまうことも間違いない事実で、なるべくならその費用を抑えたいものですよね?
そこで、弁護士費用を抑える方法としては
- 費用の少ない法律事務所を探す
- 相談時間をなるべく少なくする
という二つが考えられます。
そして、ここで採用するのは二つ目の方法です。
具体的には、債務整理に関する知識を事前にある程度知っておき、弁護士に説明してもらう時間を大幅に短縮するということになります。
「○○って何ですか?」
「△△ってどういう意味でしたっけ?」
という質問をなるべく少なくすることで余計なやりとりを減らし、相談費用を安く抑える効果が期待できます。
債務整理の関連用語まとめ
以下、債務整理に関連する用語の意味を簡単に説明しているので、参考にしてみてください。
自己破産
債務の支払いが不可能になった場合に債務の支払いを免責(免除)してもらうことです。自己破産を認めてもらうためには、所有財産を処分することや借金の理由や返済不能であることが裁判所で認めてもらわなければならないなどの条件があります。自己破産をすると官報や貸金業者のブラックリストに載り、資格制限によって職業を続けられなくなることもあったりと多くのデメリットがあるので、自己破産は債務整理の中でも最後の手段として位置づけられています。
過払い金返還請求
貸金業者が貸金業を行う上で守らなければいけないのが法定金利です。本来は利息制限法で定められている上限金利までの利息分を債務者が支払えばいいのですが、貸金業者によっては利息制限法の上限金利を超えた金利で利息を請求していることがあります。こうした高金利の利息分は本来返済する義務がないお金「過払い金」と呼び、本来の上限金利で引き直し計算をすることで借金を減額したり、返済済みの場合は過払い金の返還請求をすることができます。
貸金業法
貸金業法とは、全ての貸金業者の貸金業を取り締まる法律です。2010年6月に改正され、それまで過払い金の原因として問題になっていたグレーゾーン金利の廃止や、年収の3分の1までしか借金ができない総量規制、多重債務問題を解決するために貸金業者が債務者の信用情報を共有する信用情報機関制度などが導入されました。
民事再生
民事再生とは、個人民事再生、個人再生とも呼ばれる民事再生法に基づく債務整理方法です。民事再生は自己破産と違って借金が帳消しにならず、借金の20%程度の額を三年間で支払うというものです。自己破産のように100%の免除ではなく「80%の減額」というのが特徴で、財産を処分する必要がない、資格が制限されない、などのメリットがあります。ただし、民事再生が受けられる条件として、借金の総額が5千万円以下で全額の返済は不可能となるおそれがある、安定した収入が見込めるといったものがあります。これを満たし、再生計画(返済の計画)が裁判所に認められた場合に初めて適用となります。
グレーゾーン金利
グレーゾーン金利とは、利息制限法で定められた法定金利(15~20%)と出資法で定める上限金利(29.2%)の間の金利のことを言います。出資法を違反すると罰則があるのに対して利息制限法ではそれがなく、二つの法律のすき間(グレーゾーン)を狙って法定金利よりも高い金利が設定されている場合があり、問題となっていました。
しかし、2010年6月の貸金業法改正によって出資法の上限金利が29.2%から利息制限法と同じ20%に引き下げられたことでグレーゾーン金利はなくなり、法定金利を超える金利については過払い金返還請求を行うことができます。
多重債務
複数の貸金業者から借金をして債務が多重に存在している状態を多重債務といいます。増えすぎた借金を返済するために別の業者から借金をし、その業者の借金を返すためにまた別の業者から借金をするという「負のスパイラル」によって借金の総額が膨れ上がるというのが多重債務問題です。
2010年の貸金業法改正によって新たに指定信用情報機関制度が設けられ、全ての貸金業者は借り手の信用情報を信用情報機関を利用して共有し、借り手の総借入額を把握できるようになりました。この仕組みと収入の3分の1までしか借入できない「総量規制」によって多重債務問題が解決すると考えられています。
任意整理
裁判所を利用せず、債務者と債権者の交渉によって債務の整理を行う方法です。実際の交渉は債務者本人でなく弁護士や司法書士が代理人として行い、債務内容や取引履歴をもとに過払い分の減額や返還のための引き直し計算が行われます。引き直し計算によって減額された借金を三年程度で分割返済する計画を立て、債権者に認められれば減額された借金を利息分なしで返済していくことができます。
特定調停
こちらも任意整理と同様に、債務者と債権者が交渉し、借金の減額をして三年程度で返済する方法です。任意整理と違うところは債務者と債権者の間に簡易裁判所が入って仲介するところです。借金の減額は任意整理同様に法定金利以上の過払い分を計算することで行われ、返済プランが債権者に認められれば調停が成立します。任意整理と大きく違うところは裁判所が間に入ることで返済の強制執行があり、約束どおり返済しないと差し押さえなどの措置がとられることになります。