むずかしい? むずかしくない?? 英語で日常会話|トピックスファロー

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2014年8月12日
むずかしい? むずかしくない?? 英語で日常会話

日常会話はいくつかのフレーズを覚えるだけでいいからむずかしくない、と書いてある本やサイトは山のようにあります。 英会話教室を訪れる人も、「日常会話ぐらいはしゃべれるようになりたい」と考えている人は多いでしょう。 ところが何年外国にいても、「日常会話が一番むずかしい」とため息をつく人は少なくありません。 いったいどこがむずかしくなくて、どこがむずかしいのでしょう?

翻訳家
ライター
  

1.すぐに使える「場面」のフレーズ

日常会話のフレーズ集は、たいてい場面ごとに編集してあります。

初対面の人に会ったときには
“Hi, I’m Emiko. It’s nice meeting you.”

いつも会う人なら
“Hi, how are you doing?”

道を聞かれてわからなければ
“I’m sorry. I’m not from around here.”

レストランで水がほしければ
“Can I have water?”

両替してほしければ
“Can you give me small bills?”

紙に記入するよう言われてわからなければ
“Could you show me how to fill out this form?”

こうした場面に応じたフレーズを覚えておけば、さほど迷うことなく、すんなり言葉が出て来るはずです。
そうして相手に自分の言葉が通じ、用が足せれば、自信が生まれ、英語にも慣れていくことでしょう。 おそらく「むずかしくない」という人のいう「日常会話」は、このようなものなのかもしれません。

でも、レジで精算を終えて、
“Thanks.”
と言ってそこを離れようとしたら、そこにいたおばさんに
“I’ve seen you before. Have you been here recently?”
(前にもあなたを見たことがあるわ。最近、ここに来たの?)
と声をかけられたら、どうします?

あらかじめストックしておいたフレーズでばかり会話しようとしていると、想定外の場面に出くわしたとき、とまどったり、対応できなくなったりするかもしれません。

ストックフレーズで対応できるのは、観光旅行まで。
そこで出会う人は、用さえ足りればそれでおしまいの人ばかりですし、相手も「あなた」という人と話をしようとは思っていません。

でも、そこで出会った人から不意に何か話しかけられたとき、こちらからコミュニケーションをとりたくなったとき、ストックフレーズの組み合わせでは足りない領域に入っていきます。

むずかしい、というのは、そこから先の話なのです。

2.動詞が大事

親しくなれそうな人と会いました。
初対面のあいさつを交わし、どこから来たか、自己紹介もすませ、相手の出身地や仕事も聞きました。
でも、そこから先は、いったい何を話せばよいのでしょう?

日本語の日常会話なら、私たちは頭の中でほとんどあらかじめ考えることなく、話ながら考えてしゃべっています。
でも、英語ではこれができません。
というのも、英語と日本語では語順がちがうから、思考と言葉を同期させられないのです。

日本語は動詞が最後にやってきます。ですから、
「昨日、あれがああなって、それからこうなって、そうなったから、びっくりした」
と、一連の出来事を頭の中で再現しながらしゃべることができます。

ところが英語だと
「私は驚いた、というのも、あれがああなって、それからこうなって、さらにそうなったからである」 というふうに、まず結論が頭の中になければいけません。

英会話教室の日本人が、よくやってしまうまちがいのひとつに、「動詞のない文章」を言ってしまう、というのがあります。
日本的思考のまま、英単語に置き換えていると、つい、忘れてしまうのかもしれませんが、英語ネイティブにとって、動詞は文章の核心。それが文章なんて、理解しがたい間違いなのです。

英語で話すためには、頭の中を英語的思考にする。
その一番簡単な方法が、「自分は何の話をしようとしているのか」を文章の核心の「動詞」で決めていく、というやり方です。

思考:”like”の話をしよう→音楽でいこう
“I like music.”
(音楽が好きなの)
とまず言ってみます。
すると相手は
“What kind of music do you enjoy?”
(どんな音楽が好き?)
と聞いてくれるでしょう。
そこから自分の好きなミュージシャンの名前を挙げ、相手のすきなミュージシャンを聞き、と、会話を広げていくことができます。

こうやって、「英語で考えること」に慣れていけば、考えながら話すことができるようになるはずです。

日本語で交わしている私たちの日常会話だって、うまく話がはずむこともあれば、はずまないこともあります。
「日常会話」というのは、もともとそういうものなのかもしれません。
うまくやろうとせず、不調に終わっても、失敗しても、会って話していることそのものを楽しんで。 回を重ね、経験を積む。
それしか上達のコツはないのですから。

著者:西アズマ

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