溌剌とした老後は毎日の運動で築かれる
個人差はあるものの、多くの高齢者は筋肉も骨も弱っていて若いころにできたことが出来なくなってしまうものです。例えば信号の変わり目に急いで渡ってしまうとか、階段を二段飛ばしで駆け上がるといったような日常生活では当たり前にあったことが、歳を重ねるたびに出来なくなってしまうのです。
歳を問わず筋肉や骨を強くするには毎日の運動が欠かせませんが、高齢者の運動は若者と同じような内容にするわけにはいきません。
高齢者はどのような運動で、骨と筋肉の維持に努めるべきなのでしょうか?
しっかり準備運動して運動に適した状態をつくろう
若い頃は準備運動もそこそこに激しい運動をしてもなんとかなるものですが、歳を重ねるごとにしっかりと準備運動をして体を温めておかないと怪我しやすくなってしまいます。
特に高齢者は筋肉だけでなく心肺機能も衰えてきているので、準備運動もろくにせずに運動すると心臓に強い負担を掛けてしまう恐れさえ出てきます。
高齢者は運動よりも準備運動に時間を割いて、身体を運動しやすいようにしっかり温めなければなりません。身体が充分に温まっていないと関節が固いままで、思わぬ怪我をしやすくなってしまうのです。
時間を掛けてゆっくりできる有酸素運動で体力作り
高齢者は若者に比べて体力がないため、運動時間は短くなる傾向にあります。運動で身体を鍛えるためには、出来るだけ長時間の運動で筋肉や心肺に負荷を掛けることが大事なのですが、運動時間が短いと十分な負荷が筋肉や心肺に掛からず運動の効果が発揮されないのです。
その為、高齢者の運動は運動負荷の強さよりも運動時間の長さを重視しなければなりません。その為、高齢者には長時間続けられる有酸素運動であるウォーキングが最適と言えます。
基本的には普段からしているような散歩でも十分なのですが、「歩行速度を一定に保つ」「歩く時間を最初に決める」といった工夫をすることで運動効果を高めることが出来ます。
関節に掛かる負担が小さい水泳もおすすめ
そして、高齢者に人気の高い運動の一つが水泳です。水泳も有酸素運動の一つで、屋内プールが身近にないとなかなか出来ないのが難点です。
しかし、水泳は浮力によって腰や膝に掛かる負担が地上よりも小さくなるため、足腰が弱っている高齢者にとっては非常に都合の良い運動となります。
また、水泳はゆっくりと時間を掛けて行うことで血圧を低下させる効果が得られるため、血行が高くて困っている人にも最適なのです。
毎日の筋力トレーニングも大事
加齢による身体の老化が顕著に出るのは、何と言っても足腰です。腰は曲がってまっすぐ背筋を伸ばしにくくなるし、足は立つだけでも膝が痛いし運動どころの話ではなくなってしまいます。
若い人は見栄えの良い身体づくりのためにと筋力トレーニングに積極的ですが、むしろ高齢者こそ筋力トレーニングに積極的に取り組むべきなのです。
特に、道具を使わずに足腰の筋肉を鍛えられるヒンズースクワットは高齢者に向いたトレーニング法です。筋力トレーニングには、鉄アレイやダンベルなどの重量のある器具の付加を利用する方法と自分の体重だけで筋肉に負荷を掛ける方法がありますが、器具を使う方法は一定の筋力があることが前提条件となります。高齢者ともなると、器具を持ち上げる筋力自体が衰えているので自分の体重を使った筋力トレーニングの方が負担が小さくなります。
筋力トレーニングは回数が少なくても毎日続けていくことが大事なので、時間は掛かってもいいのでしっかりと行うように努めましょう。