家族崩壊の引き金になる!?家族介護の現実|トピックスファロー

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2013年4月22日
家族崩壊の引き金になる!?家族介護の現実

歳を取るにつれ、だんだんと自分の身体が思い通りに動かせなくなり、寝たきり状態になると生活のすべてに介護者が必要になってしまいます。しかし、「家族の絆、家族愛」という名目で家族介護に踏み切る家庭も少なくありませんが、介護はそんなに甘いものではないのです。

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思っていた以上に甘くない、家族だけでの在宅介護

どんなに健康な人であっても、歳を取れば老化によって身体が弱り、いつも通りの日常生活を送ることが難しくなっていくものです。不断の努力で健康を維持し、介護不要の生活を送れるようになったとしてもいつかは介護が必要な生活へと向かっていくことになるのです。

そして、高齢者の介護は新たな社会問題として深刻な悩みを多くの家庭にもたらしています。特に専門家の力を借りずに家族だけで何とかしようという家族介護は、時に家族離散の原因にさえなってしまうのです。

では、家族介護にはどのような問題があるのでしょうか?

家族で介護しても出費が無くなるわけではない

もしも家族に介護が必要になった時、「24時間体制の完全介護が受けられる介護老人ホームへの入居」という選択肢が浮かんできます。しかし、介護老人ホームは入居希望者が多い上に費用が高いのが難点と言えます。

その為、介護費用がゼロまたは少額で済むものと考えて自宅での家族介護を選ぶ家庭も少なくないのですが、それは大きな間違いです。

自宅での介護ならば、介護費用は全く掛からないというわけではありません。介護用ベッドの導入や手すり・段差なしのバリアフリー化、おむつなど介護する家族が快適に生活できるようにするための設備や介護用品を購入する費用が必要になるのです。

介護に使う労力が際限なく求められる

「老人ホームに入れる」というと「親を見捨てた」、「自宅で介護する」と「親孝行だ」という風潮は昔からありますが、実際の介護は親孝行とかそういうレベルで語られるものではありません。

介護が必要になった高齢者を介護するということは、介護する側に途轍もない労力が求められることになります。例えばベッドから起き上がる際や車いすに乗り降りする際の介助は、ぎっくり腰の原因になることさえあるほど介護者に肉体的負担がかかります。いかに老人と言えども40~50kg程度の体重があるので、身体を抱えて持ち上げるだけでも負担は大きいことが容易に想像できます。

また、トイレや食事、お風呂も一人では行えなくなっているので全て面倒を見なければなりません。食事やお風呂はともかく、トイレはスケジュール通りにはいかないので、介護者は被介護者からの要求にいつでも応えられるような体制を取っていなければなりません

専属で介護する家族を作らなければならない

自宅での家族介護でも、介護施設と同じような介護体制が必要になってきます。簡潔に言えば、学校も仕事もプライベートも諦めて家族の介護だけに従事する家族が居なければ家族介護は成立しないということです。

介護施設では介護士が交代制で24時間完全介護を実現していますが、家族介護では家族=介護要員となります。「家族で分担して介護する」というのが家族介護の理想ですが、介護をする一方で生活費・介護費用を捻出するために働きに出る家族も必要だし、家事をする家族も必要になります。

つまり、家族全員と言いつつも家族の中から誰か一人、介護専従者にしなければならないのです。

家族介護が家族離散の原因になることも

このように、家族介護はどうしても介護に専念する人を作らなければ上手く回りませんが、大抵の家庭ではお母さんが介護専従者になるケースが多いようです。

中にはお父さんや息子・娘が介護に専念するケースもありますが、多くの場合はお母さんにお鉢が回ってくることになります。

高齢者の介護というのはデリケートなものです。頭はしっかりしていても身体が付いてこないから介護が必要になるので、被介護者は恥ずかしい思いや何やらの感情を抱え込むことになります。

そして介護する側も好きで介護しているわけではなく、「家族だから」である意味仕方なく介護しているものです。

家族介護では「昔はあなたのおむつの面倒を見たのだから今度はあなたが面倒を見てあげなさい」というご高説を賜ることがありますが、それこそ余計なお世話というものでしょう。

そして介護を行うお母さんが被介護者の娘ならまだしも、嫁という立場になると話はまた違ってきます。「私がこの家に嫁いできたのは舅・姑のトイレの世話をするためではない」という複雑な感情を抱くことになり、被介護者の実子である夫の無責任さや身勝手さに嫌気がさしてくるようになるのです。

このように、家族介護でのトラブルが原因となった熟年離婚は少なくないもので「介護離婚」とも呼ばれています。

介護に必要なのは理想ではなく現実

このように家族介護に踏み切ることは、時として取り返しのつかない結末を迎える原因にさえなってしまいます。しかし、身近に家族介護の失敗例があっても「自分たちならもっと上手くできる」と家族介護に踏み切って失敗してしまう家庭も少なくありません。

介護に必要なのは綺麗ごとではなく、汚れもすればストレスもたまる人間相手の現実に向き合える強さや覚悟です。覚悟が無いのならば介護施設への入居を優先した方が丸く収まるというものです。

著者:海老田雄三

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芸能、アニメ、ゲーム、音楽あたりが得意分野のはずが、気が付けばなんでも書くライターになっていました。アニメ、ゲームなどのサブカル誌によく寄稿しています。