あの美女をも悩ませたニキビ
10代に入ると、おでこや口元にポツポツと姿を現すニキビ。見た目が悪く人前に出るのが恥ずかしいと思う事さえあります。また、周囲からは『思春期にはいったから仕方がないよ』とあっさり言われ、お年頃の人にとっては悩みの一つとなっています。
そんな現代人を悩ますニキビはいつから始まったのでしょうか。遡っていきますと、世界三大美女の一人『クレオパトラ』もニキビで悩んでいたそうです。当時は今みたいに立派な治療施設が整っていなかったのでニキビ治療は大変だったと思われます。
一体どんな治療法を行なっていたのでしょうか。その歴史を辿ってみたいと思います。
ニキビ治療の歴史を辿る
現代の治療法
レーザー治療
最近の治療で用いられているのはレーザー治療です。2011年には『CO2フラクショナルレーザー』という治療器具が発表されました。これは2種類の波形を用いて皮膚に細かい孔を何個もあけ、ニキビ跡を縮めて治すという目的で開発されました。
この2種類の波形が傷の深い位置に直接作用し出血や痛みが少ない治療を可能にしました。治療後は治療部分に赤みがでますが1日も経てばすっかり消え元通りになります。日常生活に支障を来たす事がない治療法として注目されています。
ちなみに日本でレーザー治療が開始されたのは1990年の事です。
外用レチノイド
2008年から日本でも保険適応となり使用されてきている『レチノイド』はニキビ治療に効果的とされています。
軽傷のものから中度のニキビにまで効くそうです。ただし、全ての人に合う訳ではなく医師の正確な判断が無ければ難しいものです。また、かゆみや赤みなどの副作用も懸念されています。
治療クリーム
CMでもよく見るようにニキビ治療用のクリームも有効な手段です。結構前から販売されていて愛用者も多くいます。クリーム内に含まれる成分がニキビに“口”を作り、それによりニキビの原因となる“アクネ菌”を殺し、肌の炎症を抑えるのが目的です。
1900年代初期
ニキビ治療の為に色々なものが導入され始めました。『放射線による治療』『緩下剤の使用』『過酸化ベンゾイルの使用』。これらはこの頃に誕生した治療法です。
江戸時代
密陀僧(みつだそう)
江戸時代の女性もニキビ(当時は『面胞(めんぽう)』と呼ばれていた)で悩んでいたそうです。
そして、その治療方法については、『密陀僧(一酸化鉛)を粉末にし母乳で溶かして顔に塗る』という方法がとられていました。
金化粧
他の治療法としては金化粧という方法が用いられていました。『唐の土+酒+水』を混ぜ合わせ顔に塗っていたそうです。
馬歯莧(ばしけん)
当時、馬歯莧という植物に含まれている成分がニキビ治療に効くとされ用いられていたそうです。『馬歯莧を煎じた水』で洗顔をする事で肌をキレイにしていたそうです。
1800年代
硫黄
この頃ニキビの治療薬として用いられてきたのが硫黄です。現代でもニキビ治療として硫黄成分を含んだ医薬品を使用する事があります。これには痛みや炎症を抑える働きがあり効果的とされているからです。硫黄を用いた治療の足掛かりとなったのが1800年代です。
平安時代
日本で一番古いニキビへの言及は平安時代にまで遡ります。平安時代の中頃に書かれた『和名類聚抄(わみょうるいじゅしょう)』の中に『邇岐美(にきみ)』という名称でニキビの事に言及した個所を見つける事ができます。残念ながらどんな方法で治療していたのかは不明ですが、日本ではこの頃からニキビが女性を悩ます種になっていたようです。
古代ローマ
湯治
古代ローマにおいてのニキビ治療は主に入浴でした。といっても、普通の水に入ったところで治せません。硫黄+ミネラルウォーターのお風呂に入浴する事でニキビの治療に専念したそうです。当時すでにミネラルウォーターが存在していたのが驚きです。
古代ギリシア
ハーブ
『ヘリクリサム』というハーブは古代ギリシアで良く使われていた薬です。このハーブは患部に塗る事で傷を修復する能力を発揮していました。その為、ニキビ以外の治療にも用いられたそうです。
万能薬の様な役割を担っていたことが解ります。
古代エジプト
ケミカルピーリングの元祖
ケミカルピーリングとは、皮膚に薬品を塗り再生化をはかる医療方法です。最近では良く用いられる療法ですが、その起源は古代エジプトにありました。
約5000年も前の事です。三大美女の一人と称されているあのクレオパトラはニキビで悩んでいました。
その治療法として、クレオパトラはサワーミルクのお風呂に入浴し肌の再生化を促していました。サワーミルクに含まれる乳酸が肌の角質を柔らかくし再生化をするため、ニキビ治療に高い効果を生み出したと考えられます。
当時のエジプトで行なわれていた治療法は、意外にも現代的な治療方法だったのです。