もしも住宅ローンが返済不能に陥ったら…
長年掛けてようやく手に入れた夢のマイホーム。新居生活と同時に始まる長期ローン返済生活。
定年まで働いて、ボーナス・退職金を振り分ければ年金生活に入っても余裕で返済できる…そんな取らぬ狸の皮算用。
ところが、景気の冷え込みが進んで定年まで働けない。そしてローンを返済すれば子供の学費も学校に着ていく服を買うお金も出せない減収のダブルパンチ。ローンを返せなくなるのも時間の問題だろう…。
…というような光景は現代ではあまり珍しくないものになってきました。
もしもこの光景のように住宅ローンが返せなくなった時、どうなってしまうのでしょうか?
返済不能と同時に差し押さえに動き出す
住宅ローンが返済不能になったと見做されるのは、ローン返済の延滞が3ヶ月続いた時です。 4ヶ月目に突入する前に、住宅ローンの審査を行なった信用会社もしくはローンの契約元である銀行などの金融機関が動き出します。
何のために動き出すかと言うとローンの一括返済請求、一括返済できなければ抵当に入っているマイホームの差し押さえと競売を行なうためです。
返済不能に陥ったローンは金融機関が嫌う「不良債権」そのものなので、金融機関は出来るだけ傷が浅い内に債権の回収に乗り出してくると言うわけです。 そして、差し押さえられ競売に掛けられたマイホームは、所有権が金融機関に移譲されているため遅かれ早かれマイホームからの退去を通告されることになってしまうのです。
ローン返済が出来なくなったらどうするべきか
住宅ローンの返済が滞り、念願だったマイホームを手放さざるを得なくなった家庭は年々増加しています。 もしも、あなたが住宅ローンの返済が困難になった場合、どのような手段をとるべきなのでしょうか。
ローンを組んだ銀行等に相談する
まず、第一にするべきことはローンの契約元である銀行等の金融機関に返済が困難であることを素直に告げることです。 多くの人は返済が困難になっても「大丈夫です」と虚勢を張ってしまい、取り返しの付かないところまで事態が進行するまで有効な手を打つことが出来ないものです。
金融機関側にしても、苦楽を共にした契約者の住宅を断腸の思いで競売に掛けているので、出来るだけ早く苦境を伝えて欲しいものなのです。 返済が困難であれば金利を引き下げる、有利なローンへの借り換えを進めるなどの金融機関側の打てる手を最大に開示して、完済できるようにプランの見直しを図ってくれます。
競売に掛けられる前に任意売却する
返済不能による住宅物件の競売は、持ち主にとっても金融機関にとっても打ちたくない悪手と言えます。 なぜなら、競売に掛けた物件は市場価格の8掛け以下の低価格が付くため売却できても債務回収に繋がらないことのほうが大きいからです。
つまり、競売で住宅を売ると元持ち主にはローン残高、金融機関は債務の完全回収が不可能になるというデメリットがあるのです。
「マイホームを売るのであれば出来るだけ債務の圧縮を図れるようにしたい」、そう考えているのであれば競売よりも先に不動産業者に任意売却を持ちかけるのも手です。 ただし、ローンの借入先によっては任意売却自体がダメということもあるので、やはり金融機関に前もって相談しておかなければなりません。
個人民事再生手続きを行う
一昔前は、返済しきれない大型の負債を抱えた個人は自己破産してマイホームを手放さなければならなかったものですが、現在は会社法人と同じように民事再生手続きを取ってマイホームを維持することが出来るようになっています。
個人民事再生手続きを取り承認されれば、返済しきれるように債務を圧縮することが可能です。ただし、自己破産のように債務が完全にゼロになるわけではないので注意しなければなりません。
また、「債務残高が5000万円以下」「一定の収入が継続して得られる見込みがあること」などの条件を満たしていないと個人民事再生が利用できません。