日本のメンタルヘルスには改善が見えない
2011年12月に臨時国会に提出された、職場のメンタルヘルス対策の義務化(衆院解散と共に廃案)。
2013年の5月には、求職者の42%がうつ病の精神疾患となっている事が問題とされた企業が、衆院予算委員会で取り上げられました。
また日本の自殺者数は2012年の調査では27,766人。
1997年から15年ぶりに3万人を下回ったと言っていますが、人口10万人に対する自殺者の比率では、世界で8番目。
依然として高い位置にある事に変わりはありません。
管理職には、部下の精神的な健康管理が求められている
厚生労働省の調査では、新卒採用後3年以内に退職する割合は28.8%。
これは、新入社員の採用から研修、その間に支払っていた給料の約3割が無駄になったという事です。
これらの事からも分かるように、上司には部下を辞めさせない能力。
職場環境からくるストレスや、そのストレスの原因になっているものを見抜き、人的資源が組織的に働ける職場作りを行う事が求められています。
企業から注目を集める『メンタルヘルス・マネジメント検定試験』
そんな中、2006年からの7年間で受験者数を3倍以上に伸ばし、様々な企業から注目を集めているのが、大阪商工会議所が実施している『メンタルヘルス・マネジメント検定試験』です。
メンタルヘルス・マネジメント検定試験はビジネスマンの為にある資格
いままで臨床心理士に代表されるメンタルヘルス系の資格との違いは、会社で働くビジネスマンによるセルフケアから始まり、その上司が職場の環境改善や復職への支援などに重点が置かれている事にあります。
つまり、『臨床心理士』は医者に近い立場から精神病の患者の社会復帰を支援します。
対して『メンタルヘルス・マネジメント検定試験』では、会社内におけるストレスの感じない職場環境づくりや、不調の部下の早期発見など、精神病を予防する方法を学んでいきます。
取得難易度が低く、取得しやすい
臨床心理士指定大学の卒業が条件となる臨床心理士に比べ、メンタルヘルス・マネジメント検定試験は受験資格が無く、誰でも簡単に受験ができます。
また合格率を見た場合、
- 1種:マスターコースが約10%。
- 2種:ラインケアコースが約50%。
- 3種:セルフケアコースが約80%。
1種こそ難関資格と言えますが、2種と3種に関しては合格率の高い資格と言えます。
メンタルヘルス・マネジメント検定試験の有効性
受験者数が増えているとはいえ、まだまだ知名度の低いマイナーな資格と言わざるを得ません。
この資格を持っているから採用という事にはならないでしょう。
ただしこれから管理職を目指す人や、転職で人を使う立場になる人。
人事部への配属を希望する人にとっては、持っていて損をする資格ではありません。
メンタルヘルス・マネジメントは会社の業績を上げる一つの方法
メンタルヘルス・マネジメントがしっかりと行われた場合、その効果は新入社員の定着だけにとどまらないでしょう。
欠勤率の低下はもちろん、働きやすい環境下では仕事のミスやクレームの減少も見込めます。
新型うつ病の増加などにより、企業でもようやく心の健康ケアの重要性が理解されてきました。
この先、メンタルヘルス・マネジメントを積極的に取り入れていく企業が増加すると共に、有資格者の重要性は増えていくものと考えられます。