時間との勝負!相続税の申告・納税は自分でできるか?|トピックスファロー

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2015年3月9日
時間との勝負!相続税の申告・納税は自分でできるか?

人が亡くなることと相続の手続きは、切っても切れない関係です。しかし、いざ相続が発生すると、あわててしまうばかりで何をすればいいのかわからない、という方が多いと思います。そこで、相続のタイムスケジュールについてまとめてみました。

ファイナンシャルプランナー(AFP)兼WEBライター
  

相続の手続きは時間との勝負

当たり前のことですが、人間いつかは天に召されます。それはとても悲しいし、寂しいことですが、避けることはできません。そして現実は厳しいもので、「ゆっくり悲しみに浸っている暇なんてない」と言うのが、人が亡くなった後に待っている現実です。お葬式をどうするか、お墓をどうするか・・・考えることや、やるべきことがとても多いのです。

お寺

そのひとつに、「相続」があります。でも皆さん、「相続っていったい何をすればいいの?」と聞かれて答えられますか?何をすればいいかをスラスラ答えられる方は、もうこの文章は読まなくても大丈夫です。

わからない方は先へ進んでみてください。相続の一連の手続きと、やらなくてはいけないことについてご説明します。

相続のタイムスケジュール

では、いったいいつから相続が始まるのか、ということについてご説明します。大まかに言えば「相続人が亡くなったことを知った日」からです。まずは相続のタイムスケジュールを見てみましょう。

その前に、どんな用語が何を指すかをきちんと押さえておきましょう。ここでは、亡くなった人の財産(=遺産)を相続する権利がある人を「相続人」、亡くなった人(=遺産の持ち主)を「被相続人」と呼びます。

さて、相続のゴールは「相続税の申告と4納付」が原則といわれています。それに至るまでいったい何をしなければいけないか、箇条書きにしてみました。

1.被相続人の死亡に伴う一連の手続き・・・相続人の死亡=相続の開始
2.相続に関する意思決定・・・相続放棄か?限定承認か?単純承認か?
3.相続人の準確定申告
4.相続税の申告と納付

たいていのケースでは、この4つのステップをクリアする必要があります。しかし、ゴールの「相続税の申告と納付」まで行っても、その後にやらなければいけないことはまだまだたくさんあります。

また(言い方は良くないですが)あまり来て欲しくない税務調査が入ることもあります。では、それぞれのステップで何をすればいいかをみてみましょう。

1.被相続人の死亡に伴う一連の手続き

被相続人が死亡したら、最初にやることは死亡届を提出することです。病院に入院していたなら書類の作成は病院がしてくれますのでお任せしましょう。それをお願いしている間に、ご遺体を家に戻し、葬儀社に葬儀の手配をお願いする必要があります。

被相続人が生前予約で葬儀の形式を決めていたならそれに従えばよいですし、決めていない場合には親族で話し合いましょう。また、遺言書にあたるものがないかどうか確認する必要があります。最近はやりのエンディングノートがあるかないかもこの段階で確認したほうがよいでしょう。

そして、「自分たちだけで相続税の申告までできる自信がない」という人は、迷わず税理士の手配をしましょう。自分の家の近所で、相続税の案件に強い税理士がいないかどうか確認してください。その上で、「誰が相続人になるのか」ということを明らかにしましょう。これをはっきりさせないままでは相続の話し合いをしようとしても、話し合いを始めることすらできません。

お金

2.相続に関する意思決定

ここまでのプロセスを経た結果、あなたが相続人になっている場合、どのように相続するか、もしくはしないのかを決める必要があります。相続に関する意思決定には、単純承認、限定承認、相続放棄の3つがあります。
・単純承認
被相続人の資産および債務のすべてを相続すること。
・限定承認
相続財産の範囲で債務を精算し、それでも資産が余っている場合に相続すること。
・相続放棄
被相続人の資産も債務も一切相続しないこと。

被相続人の資産と債務の状況により、被相続人は上記の3つの方法を選ぶことができますが、注意しなくてはいけないポイントがあります。それは、限定承認と相続放棄の場合は、家庭裁判所への申し立ての手続きが必要になるということです。自分はどうすればいいのか、他の相続人ときちんと話し合うことが大事です。

なお、この家庭裁判所への申し立ての手続きは相続開始から3か月以内に行わなくてはいけません。まごまごしているとあっという間に時間が経ってしまいますので気をつけましょう。

3.相続人の準確定申告

申告相続税の申告とは別に、やらなくてはいけない大事なことがあります。被相続人が個人で事業をしていたり、不動産収入があったなどの理由で、生前に所得があった場合、亡くなった年の所得を確定させる手続きをしなければいけません。
これを準確定申告といいます。

なぜこんなことをしなければいけないのか、ということについて触れておきましょう。所得税は1月1日から12月31日の間に発生した所得について課税されます。そのため、年度の途中で誰かが亡くなった場合、1月1日から亡くなった日までの所得は被相続人のものです。そこで、「亡くなった日までの所得はこれだけですよ」ということを確定させて、申告する必要があるのです。

さて、そんな準確定申告。これは相続開始から4か月以内に行わなくてはいけません。かなりタイトなスケジュールなので注意しましょう。

4.相続税の申告と納付

ここまできたら、相続はひとまず終わりとなります。所轄の税務署(被相続人が住んでいた家の近くの税務署)に相続税申告書を提出し、相続税を納付すればひとまずこれで基本の4ステップは完了です。お疲れさまでした!

しかし、これで安心してはいけません。やるべきことはまだ残っています。気を抜かずに行きましょう。

家族

相続が終わってからでもよいのでやるべきこと

まず、遺産を分割した場合は、その財産の名義を相続人のものに変えておくことが重要です。これはいつまでにやらなくてはいけない、という期限があるものではありません。しかし、放置しておくと思いがけないトラブルに巻き込まれる可能性もあるので注意しましょう。

そして必ず入るとは限りませんが、入ってしまった場合大変なのが「税務調査」です。通常、個人が税務調査を受けるケースは高額の相続の場合が多いのですが、「うちは相続する財産はあんまりないものね~」という場合でも来る可能性はありますので安心はできません。

調査が入った場合、「どの財産を」「誰に」「どのように」分割したのか、的確に説明できるよう書類の整理はきちんとしておきましょう。

初めから税理士に頼むべきか?

相続にあたり「税理士に頼むべきか否か」という質問はよくあげられますが、個人的には、「相続に強い税理士さんならお願いする価値はあります」ということは声を大にして言いたいです。その理由について触れさせていただきます。

遺族の負担が減る
まず、「相続は人が亡くなってからスタートするもの」です。皆さんも経験はあると思うのですが、人が亡くなると同時進行でいろいろなことをしなければいけないので、本当に大変です。葬儀の手配や、知人への連絡、それが終われば遺品の整理・・・。

書いているだけで疲れてしまうくらい、いろいろなことをしなければいけないのです。亡くなった悲しみより、その後のハードワークで心労が溜まってしまう人すらいます。

そんな中で、相続税の申告を自力でやろうとするのは、ほぼ不可能に近いと言えるでしょう。無理をしないで、プロである税理士に頼むのが一番平和に事を進めることができるのは言うまでもありません。

正しい評価で申告ができる
相続する財産が現金と預金だけ、であれば相続の手続きはさほど大変ではありません。しかし、遺産の中に、土地や建物、有価証券などが入っている場合、それらについて正しい評価をすることは少し難しいケースがあります。

土地や建物の場合その広さによって、また居住の有無によって相続評価を下げてくれる特例があるので、専門家にお任せすることで、相続税の評価を下げることができる可能性もあります。

もちろん自分で調べて計算をすることも可能ですが、果たしてその計算で合っているのか、など心配になることもありますので、お任せできる税理士さんがいる場合お願いした方が無難だと思います。

また、納税後に税務調査が入った場合も税理士がいればあわてることはありません。的確な対応ができるようお手伝いしてくれるはずです。

家

相続の知識は必要

人はいつ死ぬかわからないもの。今日元気だった人が明日も元気、という保証はどこにもありません。それは、「いつ相続が発生するかわからない」ということでもあります。そこで、「相続とはいったい何なのか、何をやればいいのか」を知ることは、とても重要なことだと言い切りたいです。

相続に関する知識が何もないよりは、ある程度の知識があったほうが後々役に立ちます。「ああ、こんなことするのだな」という程度でよいので、心に残していただければ幸いです。

著者:松沢未和

ファイナンシャルプランナー(AFP)兼WEBライター
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2014年にファイナンシャルプランナー(AFP)の資格を取得した兼業WEBライターです。もともと文章を書くことが大好きなので、この仕事を兼業として選びました。相続や保険の分野のお話をわかりやすくまとめてお話できればと思っています。これ以外にも、たくさん資格は持っているので、資格の取り方の話しもしたいところです。また、食べ歩きと旅行とコスメ研究が大好きです。日々の研鑽の成果!?を文章にぶつけていきたいです。至らない点がいろいろあるかと思いますが、よろしくお願いいたします。