パーソナリティ障害とは?
パーソナリティといえば、一般的に「個性」「人格」「人柄」など、その人の心の特性を表す言葉として、よく使われますよね?
人は、生まれ育った国・地域や、家庭環境などによって、そのパーソナリティは異なるものになるといえます。さらに、同じ家庭に育ったとしても、同じパーソナリティになるとは限りません。
このように、パーソナリティは、成長の過程のさまざまな要因によって構築されると考えられているのですが、その人のパーソナリティが、属する文化から偏っていることによって、他者との違いに苦痛を感じる、社会や職業の上で障害となる場合、パーソナリティ障害という診断が下されます。
パーソナリティ障害自体は、薬物や身体疾患によるものではなく、人格的な偏りの1つと考えられているのですが、他者や社会との間で生じる軋轢によるストレスから、他の精神疾患を引き起こすという性質があります。
そして、そのパーソナリティ障害の特徴として、3つの”P”が上げられます。
Pathological(病的である)
正常の範囲から外れている。
Persistent(持続的である)
成人期早期(20歳前後)までには始まり、少なくとも5年間以上は頻繁に現れる。
Pervasive(広範である)
複数の対人関係や、仕事、家庭などのさまざまな状況に現れ、役割に限定されることがない。
パーソナリティ障害の3つの分類
パーソナリティ障害は、大きく3つのカテゴリに分けられるのですが、そのカテゴリごとにさらにタイプが分かれます。ここでは、アメリカ精神医学会の診断基準となっている10のタイプを紹介します。
A群~奇妙で風変りなパーソナリティ
ジゾイド(統合失調質)パーソナリティ障害
他者への関心が乏しく、感情表現の範囲が限定されるのが特徴。
非社交的で、社会的な関係を築くのが難しい。
統合失調型パーソナリティ障害
言動や行動が奇妙で風変わりで、適切さに欠くのが特徴。
感情の幅が狭く、急に他者との親密な関係を不快に感じることがある。
妄想性パーソナリティ障害
不信感や猜疑心が強いのが特徴。
他者の言動や行動に強い悪意を感じる。
B群~演技的で移り気なパーソナリティ
演技性パーソナリティ障害
他者の注目を集めるための、派手な外見や演技的な行動が特徴。
オーバーな感情表現がみられる。
境界性パーソナリティ障害
不安定な感情や衝動的な行為が特徴。
対人関係や自己像も不安定になりやすい。
自己愛性パーソナリティ障害
他者から賞賛されたいという欲求が強い反面、他者への共感の欠如が特徴。
自己評価へのこだわりが強く、態度が傲慢で尊大。
反社会性パーソナリティ障害
衝動的で向うみずな、反社会的な行動が特徴。
他者の権利を無視したり、侵害することがしばしばある。
C群~恐怖心が強い内向的なパーソナリティ
依存性パーソナリティ障害
他者への依存心が強いのが特徴。
孤独に耐えられず、他者と従属的な関係に陥りやすい。
回避性パーソナリティ障害
他者からの否定的な評価に過敏に反応しやすく、自己に対する強い不安や緊張が特徴。
困難な状況や、他者との密な接触を回避する傾向にある。
強迫性パーソナリティ障害
完全主義で、秩序を保つことへの強い執着が特徴。
融通がきかないことから、非効率的な状況にあっても譲ることができない。