不老長寿の秘薬?!国家戦略にまで利用される漢方『田七人参』|トピックスファロー

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2013年1月15日
不老長寿の秘薬?!国家戦略にまで利用される漢方『田七人参』

漢方の中でここ数年、世界中から注目を集めている田七人参。本場中国では、明の時代にはすでに活用されていたにも関わらず、なぜ今になって研究されるようになったのでしょう。不老長寿の秘薬とまで言われる田七人参の効果を調べてみました、

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不老長寿の秘薬『田七人参』とは

高麗人参と同じ、ウコギ科人参属の多年生草本。日本でも有名な『霊芝』『甘草』と同等に扱われる程、薬効に優れた漢方と言われています。
その薬効とは、止血に始まり、血液の改善。さらにC型肝炎や肝硬変などの肝臓病に高い効果を発揮すると言われています。

しかし、その貴重性から『金不換(金に換えられない)』とされ、長らく中国政府により輸出が禁じられていました。
その為、日本で紹介されるようになったのは昭和に入ってから。その効果とは裏腹に知名度は高くありません。

田七人参の薬効

もともと、田七人参は『止血剤』として使用されていました。
その効果は「まるで漆で傷口を接着したように血を止める」(止血)とともに、痛みを無くし(止痛)、炎症も起こさない(消炎)漢方薬として愛用され、中国や東南アジアでは広く知られていました。
また、止血とは逆の『血行促進効果』もあり、打ち身や婦人病、循環器系の疾患、内臓の出血にも用いられていました。

注目を集めた肝炎への効果

中国では、1555年頃、田七人参を主成分とする『片仔廣(ヘンシコウ)』という漢方薬が作られて急速に注目が集まりました。
この片仔廣は、肝臓病の特効薬とされ「急性肝炎」や「慢性肝炎」、また日本でも問題になっている「C型肝炎」の治療薬として効果を発揮する事が分かった事に起因します。

研究が進む田七人参の効能

田七人参に肝炎の効果が認められると、世界中の研究者が一斉に田七人参の研究を始めました。
その研究成果により、今まで注目されていなかった効能が次々と発見されることになります。

研究中の物を含めれば、血流改善や血栓の発生を防ぐ事から『心筋梗塞』『脳卒中』の予防と改善。『子宮筋腫』や『生理痛』の軽減。血中コルステロールを減らすことで、『高脂血症』『成人病』の予防。
他にも、『糖尿病』『がん』『エイズを含むウィルスの抑制』『痛風』などなど、まさに秘薬と呼ばれるにふさわしい働きをおこないます。

高い効果を発揮する主要成分『サポニン』

田七人参の主要成分は発泡作用を持つ『サポニン』と呼ばれる成分です。
サポニンの含有量は、高麗人参のおよそ4倍。確認されているだけでも32種類が存在します。

この成分は水と油の両方と親和性が高く、『血糖値の低下に効果がある』とされている一方で、『サポニン単体では効果が見られない』という研究者の声もあります。

むしろその親和性の高さから、『他の有効成分が体内に取り込まれる事をサポートし、有効成分を全身に行き渡らせているのではないか』というアプローチからの研究もされています。

しかしまだその有効成分の特定はされておらず、32種類のサポニンのどれかなのか、もしくは田七人参にしか存在しない『田七ケトン』や『デンシチン』といった成分が働いているのか、その研究が急がれています。

田七人参が今まで広まらなかった理由

これだけの薬効が確認され、古くは中国・三国志の時代には諸葛孔明が戦場で兵士に服用させていたという程、歴史に関わってきたこの田七人参。
これが近年になるまで注目を集めなかった大きな原因は、その収穫量の少なさにあります。

“田七”人参という名前にも表される収穫の難しさ

もともとは、広大な中国にあっても、中国の雲南省、海抜1200mから1800mにある限られた地域でミャオ族という少数民族のみが栽培していました。
しかも、田んぼに種を撒いてから収穫できるまでに7年。その後、同じ場所で栽培するまでにさらに10年以上も田んぼを休ませる必要があるとされていました。
その為に、”田七”という名前が付けられたという説があるほどです。
高い効能に加え、その貴重さから、長く中国政府は禁輸品に田七人参を指定し、守り続けてきました。

栽培方法の向上により規制が解除

現在でも、限られた地域でしか栽培できない事に変わりはありません。
しかし、栽培方法の確立による収穫量の向上と、1972年の日中国交正常化により、ようやく日本でも手にする事ができるようになりました。

安全な田七人参の選び方

田七人参の研究が進み、その効果が立証されれば、その価値が高まり、金儲けの材料としてこの漢方薬に目を付ける人や、より高く売れる田七人参を作る人が増えるのは仕方がないことかもしれません。
しかし、その為に規制の緩い中国に合わせ、危険な農薬や大量の化学肥料を使い栽培された田七人参が市場に出回るようになりました。

飲み続けても副作用の「上薬」に分類されている田七人参であっても、残留農薬を同時に摂取する事になっては意味がありません。
田七人参を選ぶ際は、生産地や生産方法の他に、加工地や成分量などをしっかりと明記してある、『信頼性の高い商品』を自分で探すしかありません。

更なる研究が期待される田七人参

経験からその効果が知られる田七人参ですが、なぜ病気に効果があるかの詳しい事は分かっていません。
その効果が解明され、同じ効果を持つ薬が、より手軽に手に入る様になるかは、これからの研究に期待するしかありません。

著者:海老田雄三

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芸能、アニメ、ゲーム、音楽あたりが得意分野のはずが、気が付けばなんでも書くライターになっていました。アニメ、ゲームなどのサブカル誌によく寄稿しています。