賃貸住宅紛争防止条例、賃貸における東京のルール
各都道府県や自治体では、その場に適した『条例』というものを制定しています。それがある事で、その地方では生活がしやすくなり、問題の軽減がされています。
例えば、“タバコを吸いながら歩く事を禁じる条例”や“嫁不足解消のため、お嫁さんを他の県などから貰えたらお金を給付するという条例”“朝ごはんを食べる事を推奨する条例”があります。
こういう独自の条例は、その土地に根差しているのでとても重要視されています。
そんな数ある条例の中に『賃貸』に関して定めた、東京の『賃貸住宅紛争防止条例』というものがあります。
名前を見ると『賃貸?』『紛争?』『防止?』とあるので、何かとんでもなく重い内容が書いているかのように思えるかも知れませんが、内容を紐解くと納得できる事が書いてあります。
今後、就職や進学で上京する予定がある人は、是非とも知っておきたい条例です。
これを知らないと、東京での生活で大変な思いをする事になるかも知れません。
この条例ができた背景は?
『賃貸住宅紛争防止条例』とは略称であって、正式名称は『東京における住宅の賃貸借にかかわる紛争の防止に関する条例』と言います。
正式名称を見ると、何となく内容が理解できるかと思います。要約しますと、“賃貸トラブルを防止するための条例”という事になります。
でも、なぜこのような条例が必要になったのでしょうか?
それは、入居中の管理や退去時にトラブルや相談が絶えなかったからです。
例をあげるとこんな事がありました。
入居中に修繕が必要になったのですが、賃借主は修繕を請け負ってくれる所を知らず、そのままオーナー側とトラブルになってしまったのです。
さらに、賃借主が退去する際に原状回復をする必要があるのか?しなくて良いのか?でトラブルになったという事もあります。
こういう賃貸トラブルをなくそうという理由で、この条例ができたのです。
上京予定の人は知っておくべき、賃貸住宅紛争防止条例
賃貸住宅紛争防止条例とは一体どのような内容なのでしょうか?
《説明》
- 時間の経過に伴う損耗に関しては、賃貸主が費用を負担します。例えば、日光による壁の変色や、長年家具を置いてあった所の変色がそれにあたります。しかし、故意や過失による損耗に関しては、賃借主が費用を負担し原状回復をします。何かの作業中に作ってしまった壁や柱の損耗や、ペットがつけた傷は賃借主の責任になるのです。
- 生活において必要な修繕は、賃貸主が費用を負担します。雨漏りや建具の修理、長年の使用による器具(ボイラーなど)の修理は賃貸主が修理する事になります。しかし、故意や過失または賃借主に明らかな責任が見られる場合の修繕は、賃借主が費用を負担します。窓や壁を損傷または破壊した場合や、時間の経過以外での器具(ボイラーなど)の故障は、賃借主が責任を負う事になります。
- これについては、賃貸主と賃借主の間でかわされる特約の事です。原状回復に関し、賃借主が費用を負担する状況を具体的に記さなければなりません。ただし、合理的なものに関してのみであり、客観的に見ておかしい内容に関しては無効化される場合があります。
- 賃貸主は賃借主に、修繕や維持管理をする人や事業所の連絡先を伝えておかなくてはなりません。
記された4つの決まりごとは、良い賃貸契約を結ぶための優れた規範
賃貸住宅紛争防止条例は、一見とても難しく息苦しい条例に思えるかも知れません。しかし、これがあるおかげで賃貸トラブルに見舞われる事がなくなるのです。内容自体もかわった事を言っているわけでは無く、筋が通った事を言っています。
ですから、初めて東京暮らしをする人でも、『条例』という言葉に身構える事はないでしょう。
賃貸住宅紛争防止条例は東京独自のルールですが、良い賃貸関係を行なうための優れた規範なのです。