プラセンタ製剤は医薬用医薬品
プラセンタはアンチエイジングや美白、シミ・しわなど美容面で広く効果が期待できるとして多くの女性から脚光を浴びています。
現在、日本においてヒト由来のプラセンタは医薬品として取り扱われています。
注射薬としてのプラセンタ
治療薬としてのプラセンタとしては、メルスモンとラエンネックが厚生労働省の認可を受けています。
- メルスモン:更年期障害・乳汁分泌不全の治療を目的としたプラセンタ注射薬で、50年以上の歴史がある。
- ラエンネック:慢性的な肝疾患における肝機能の治療・改善のプラセンタ注射薬。
※そのほか、シミやしわ、アンチエイジングなどといった美容形成に一部使われていますがこの場合は自由診療となり自己負担となります。
医薬品としてのプラセンタの原料には国内のヒト胎盤が使われていますが、生体由来のため感染症のリスクがある製剤として【特定生物由来製品】の指定を受けています。
また医療用プラセンタの使用に際しては医師による十分な説明と理解の上、使用者のカルテは最低で20年間保存することなどが義務になっています。
原料となる胎盤は核酸増幅検査を受け、HIVなどの感染がないことが確認された後、高圧蒸気滅菌などの安全策がとられていますが、未知のウイルスなどの存在や、クロイツフェルト・ヤコブ病の病原体プリオンのように加熱殺菌により感染性を失わない病原体の存在など、可能性は低いとはいえリスクの完全否定はできないのが実情です。
プラセンタ注射の副作用
医薬品として使われているプラセンタ注射剤の重大な副作用は今のところありません。
しかし比較的軽度の副作用として調査症例中、約20%の副作用の報告があります。
主な副作用の全症例のうち約35%を占める症例は、注射した部位の一時的な疼痛や発赤で、その他の副作用には悪寒・発熱・発疹・悪心が見られたということです。
アレルギーを持つ人が投与する際は慎重に事前に意思に良く相談し、この様な症状に気づいたらすぐに医療機関に相談しましょう。
プラセンタ注射をした人は献血ができない
輸血および臓器移植(ヒトの臓器に由来する)の経験がある人からの献血は制限されています。
医療用プラセンタ注射が輸血や臓器移植と同様ヒト由来の臓器から製造されていること、また、クロイツフェルト・ヤコブ病はいまだ解明されていない部分が多く死に至る重大な感染症のリスクがあること、ヒト由来の医療用プラセンタ注射によるクロイツフェルト・ヤコブ病の感染事例はないものの、理論的にはリスクは否定できないために、ヒト胎盤エキスであるプラセンタ注射剤を受けた人も献血が制限されるようになりました。
日本赤十字社HP「献血をご遠慮いただく場合」
医薬品以外のプラセンタ
医薬品に使用されるヒトプラセンタは医薬品として特定生物由来製品という指定をうけており、使用に際しては様々な義務があるために、市販薬やその他の健康食品などに含むことができません。
医薬品以外の健康食品や化粧品など主に美容目的で使用されるプラセンタエキスは、主にブタや馬、羊の胎盤から採取しています。
もともとは牛のプラセンタが使われていましたがBSE問題から牛の胎盤の使用が禁止されたために、現在は豚の胎盤を由来とするものが一般的です。
サプリメントのプラセンタの効果は?
プラセンタには、更年期障害・冷え性・貧血・美白(しみしわ)・アンチエイジング・疲労回復・強壮等の効果があると言われ根強い人気があります。
しかしプラセンタのサプリメントや健康食品の安全性・有効性を確実にする十分なデータは見当たらないというのも事実です。
プラセンタのサプリメントの副作用
歴史が古い割には効果に関するデータが不足しているプラセンタですが、同時にサプリメントや健康食品に関する副作用のデータも詳細な報告はなく充分ではないところがあります。
ごく稀ではありますが、アレルギーなどの条件によっては、一部使用者の間でプラセンタが関係していると思われるアトピー性皮膚炎などの報告があったそうです。
医薬品ではないから正確な副作用の報告も不明?
医薬品を使い保険治療で副作用が発生した時はその旨を報告し、副作用が重大な場合は救済制度があります。
しかし、サプリメントは医薬品ではないために副作用の発現率など詳細に関して不明な部分が多く、使用に関しては自己責任が伴ってしまいます。
一般的に注射剤と経口摂取では注射剤のほうが副作用の発現率は高くなるとされていますが、プラセンタの場合注射剤とサプリメントなどの経口剤の原料・由来が違うため必ずしもサプリメントが安全とは言い切れません。
また、医薬品プラセンタ製剤がヒト胎盤由来であるのに対し、サプリメントや健康商品のプラセンタエキスはヒト以外の動物の胎盤由来のためしっかりとした比較対象にはならないのだそうです。