太陽光発電、電気買取制度の見直し後の電力事情!|トピックスファロー

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2015年5月26日
太陽光発電、電気買取制度の見直し後の電力事情!

電力会社は電気代値上げを進め、家計を圧迫しています。 太陽光で売電すれば、電気代節約可能と思っていたら、最近買取制度の見直しが政府から発表されたばかり。 我が家の電力節約はどうすれば一番いいのか?改めて家庭の太陽光発電を一から検討してみよう。

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発電した電気の買取制度が始まり

太陽光発電、電気買取制度の見直し発表後の電力事情

再生可能エネルギー普及の狙いがあった

再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)の目的は、日本のエネルギー事情を改善するために始められました。これが家庭で太陽光発電が普及し始めたきっかけです。
現状、日本のエネルギーは、石油、石炭、天然ガスなどの化石燃料にほとんどを頼っており、その96%(2010年:エネルギー白書)が海外からの輸入に依存しています。

一方、日本には太陽や風、水、森林が豊富にあり、再生可能エネルギーを今度活発に利用するために作られた制度が固定価格買取でした。

利用されていない自然エネルギー

日本は世界の中でも、比較的日照条件に恵まれた土地が多く、風力に恵まれた海岸や、火山による地熱など、利用可能な自然エネルギーが豊富です。

しかし、2012年の再生可能エネルギーの利用量は、全電力量のわずか1.6%(電気事業連合会「電源別発電電力量構成比」、大型ダムによる水力発電除く)にしか過ぎません。

その原因は、設備のコスト高にあります。
ソーラーパネルが安くなったとはいえ、太陽光発電で得る電力1kw当たりの設備価格は約30~40万円にもなります。
家庭用電気は電力会社から買うと約26円前後(契約内容による)と、買ったほうが安くなるため、再生可能エネルギーはあまり利用されませんでした。

買取制度で負担を減らす狙い

そこで、国がコスト部分を肩代わりするかっこうでスタートしたのが、固定価格買取制度です。平成24年から始まりました。

その内容は、太陽光の場合、設置後の決まった期間に発電した電力を、電力会社が高い価格で買取ることです。価格も変動せず長期にわたることで、その間に建設コストも回収できる、との考え方です。

二つの買取り制度

事業用と家庭用に買取期間、価格に違い

太陽光の買取制度には、設備の規模によって、買取価格、期間が決められています。
ソーラーパネルの総出力が10kw以上の場合は、発電した電気の全量買取となり、電力総量が売電できます。

固定買取期間は20年、価格は1kw当たり32円(平成26年度)です。

ソーラーパネルの総出力が10kw未満の場合は、余剰電力買取となります。

これは、発電された電力量から、家庭で使用した電力量を引いて余っていればその電力量を買い取る仕組みです。
固定買取期間は10年で買取価格は1kw当たり30円(平成26年度)です。

買取り価格は年々減少

買取制度がスタートした平成24年度では全量買取の固定価格は1kwで40円でした。

それが、平成26年度では32円まで下がっています。
これはソーラーパネルなどの設備コストの減少を踏まえて決められたためです。現在の32円は平成27年3月31日まで適用されます。4月1日以降はまだ決められていません。

全量買取は事業向けが一般的

出力規模が10kw以上と大きく、買取期間が長い20年、高価買取となる全量買取は、一般的にメガソーラー事業を行う会社や広い工場の屋根を利用する会社など法人が参画するケースが多くなっています。

一般的な個人住宅では屋根にパネルを設置しても約5kw程度となり、余剰電力買取制度が適用されます。

それでも、個人宅で全量買取のメリットを活かそうと駐車スペースなどにパネルを設置して10kw以上とする家もあります。

全国で150万戸以上が設置

ソーラーパネル設置について平成25年度までは、国や地方自治体から補助金制度があり、設置戸数は年々上昇しました。

平成25年の総務省の調査結果によると、全国で太陽光発電システムを設置している家は157万戸となり、全体の3%強となっています。平成20年と比べると3倍まで伸びました。

普及率7.5%と全国1位の佐賀県や、6.7%の宮崎県などの九州各県が高くなっています。
北海道、東北は冬季間に積雪で日照がさえぎられるため、まだ普及は低い状況です。

昨年後半に暗雲が

太陽光発電、電気買取制度の見直し発表後の電力事情

制度の欠点が見え始める

順調に普及が進むと見られた太陽光発電ですが、平成26年後半に思わぬ衝撃が走りました。

電力各社から、再生可能エネルギーの新規受け入れを中断するとの通達が出されたのです。
電力10社の中で、受付を中断しているのは北海道、東北、四国、九州、沖縄の5社です。

理由は、電力各社の設備の事情によります。
このまま、受け付けを継続すると、来年初夏の晴れ間など太陽光発電効率が高まる時期に、送電網に瞬間的に送電量を上回る発電量が流れ込む怖れが出てきました。
そのため需給バランスが崩れ、周波数の乱れが発生し、安定した供給ができなくなる可能性があります。
精密機械の生産工場などで生産ラインが乱れたり、発電所の発電機の負荷が大きくなり、大規模停電が多発することも考えられます。

太陽光発電の買取制度が普及すれば、容易に予測できる事態でした。

再生可能エネルギー発電が普及している世界の各国、北欧諸国やアメリカ、オーストラリアなどは、送電網が充実している特徴があります。

家庭用は小規模であれば、今のところセーフ

メガソーラー事業者には大きな痛手となる、受け入れ中断の発表でした。
受け入れの再開時期も未定のままで、業界に不安が広がっています。

一方、10kw未満の家庭用について北海道、四国、九州電力各社は、従来同様受け入れることを発表しました。

ただし、家庭で10kw以上の設備にして全量買取による電気代節約を考えている人は対象外となります。
東北電力は50kw未満まで受け入れるとしています。

国も固定価格買取制度見直しを発表

平成26年12月に資源エネルギー庁から、固定価格買取制度の運用見直しが発表されました。
太陽光発電に関しては、設備認定の見直しや設備、仕様の変更について記載されていますが、平成27年4月以降も前年同様の制度なのか、買取期間、価格について変更されるのかについてはまだ明記されていません。

推移を見守るのが重要

新たな価値観も浮上

これまでの太陽光発電に関わる経緯を見てきましたが、今後の展開についてはまだ明確になっていません。
太陽光発電を住宅に導入するかは、経済的なメリットを第一に考える場合、今後の固定価格買取制度がどうなるかを見極めて考慮する必要があります。
平成27年4月以降の制度が決まったら、実際にシュミレーションして経済的なメリットを確認しましょう。

非常用電源としての利用

ここで、太陽光発電のもう一つの価値が今後クローズアップされてきています。

現在、東京湾北部、東海、中南海での巨大地震の危険性が叫ばれています。
大地震の発生は、確実に地域の送電網、発電所に影響を与え、長期の停電が予想されています。4日間から1週間ほど通電しないことも想定されます。

こうした非常時対策として、太陽光発電による電気の利用が考えられています。
この場合、夜間は発電できないので、昼間の発電した電気を貯める蓄電池や、雨天などが続いた場合のリスクも考慮しなければなりません。

これからの太陽光発電は、単に売電による利益追求よりも、エネルギーの自給自足、非常用電源の確保、との価値が高まってくるでしょう。

著者:メイフライ

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スポーツ関連や、バイオマス、太陽光などのエネルギー関連で取材、ベンチャー企業の企画室での職務経験があります。