ストレス度満点!安さには「音」の落とし穴があった
筆者は大学時代の4年間、親元を離れ2階建ての木造ハイツに住んでいました。学生という身分から家賃を抑えるため、相場より1万円ほど安い物件を契約。住人のうち女性は筆者のみで、あとは全員男性でした。
家賃の割には、白を基調とした内装はかなりおしゃれで文句なし。間接照明やロフトまで付いており、2階の部屋だったので、天井も高く解放感も抜群でした。しかし、入居後すぐに思わぬ事態が待ち受けていたのです・・・。
木造はすべての音が筒抜けなのです
筆者が部屋探しの際、入念に確認したのが、敷金、礼金、家賃、周辺環境、外観、内装。すべてがパーフェクトではないにせよ、内覧に行った5物件の中では断トツでした。
しかし、確認し忘れていたのが「壁の厚み」。
木造を完全になめていました。テレビを見ていると、出演しているお笑い芸人が面白いことを言う度に、隣室から聞こえてくるのは「あはははは~」という笑い声。あ、同じ番組見ているんだな、そんなことがわかってしまうほどの声量で聞こえてきたのです。
ココロも折れる学生街のパーティーナイト
大学生の本業は勉強です。テストにレポート、資格勉強も頑張った4年間。筆者の性格上、カフェやファミレスなどのガヤガヤした空間では勉強ができません。実家に住んでいる時は、しーんとした部屋の中で黙々と勉強をしていました。
しかし、木造ハイツにそんな空間は存在しません。テレビを消し、勉強を始めたわずか5分後・・・
玄関外の通路から聞こえる複数の足音。それとともに近づいてくるのが、スーパーの袋がこすれるカサカサという音。この段階までくると嫌な予感は確信に変わります。
「おっじゃましま~す」はい、きたーそうです。その後、始まったのはお金のない学生あるあるの「宅飲み」です。うんうん、楽しいよね、楽しいよね。でもこっちは明日、大事な単位のかかったテストなんだけど・・・残念ながらそんな心の声は届きません。
この物件に住む際、敷金・礼金で合計40万円ほどかかったため、更なる引っ越しをするとなると、両親にもかなりの負担をかけてしまいます。「迷惑をかけられない・・・」そんな思いもあり、卒業までの4年間、引越しができませんでした。
このとき学んだのは「社会人になってからは、絶対に大学や専門学校が近くにある物件には住まないこと」です。
毎晩帰宅が遅い隣人のせいで、あわや不眠症に
疲れているのに、なかなか寝付けない・・・明日の朝も早いのに。この状況にイライラして更に眠れない。そんな経験ありますよね?その2時間後、ようやく寝付けた!それも束の間・・・浅~い眠りの中から、すぐに引きずり出されます。
「ガチャガチャ、ばたーん!」隣人が帰宅したのです。
隣のベランダに干されているおしゃれなダーツBARのTシャツから推測すると、そこでアルバイトしていると思われる隣室の住人。仕事柄、仕方ありませんが毎晩とにかく帰りが遅いんです。それからまた眠りにつくための長~い旅を始めるのかと思うと、怒りで余計に眠れません。
この時、学んだのは「部屋探しの際に、不動産屋で隣人の生活スタイルを聞いておくこと」です。
耐えに耐えた、ラブラブカップルからまさかの逆恨み?
このBAR店員さんとは反対側のお隣さん。彼女とかなりラブラブなようで、週に1回は必ずお泊りに。このカップルのおかげで、恐ろしいロフトの秘密を知らされました。筆者の住んでいたハイツは、1階に4部屋、2階に4部屋が横並びにある建物でした。
構造上の問題なのか、横の部屋とロフト部分がなぜかつながっていたのです。そうです。ということは?1部屋がロフトを揺らすと、その階全体のロフトが揺れてしまうのです。
このカップルは大学生。若いがゆえにまあ・・・元気です。夜中に隣のカップルが愛を確かめ合っている行為で起こされる、この感じたことのない不愉快さ。もちろん筆者を挟んだ反対側の部屋の住人もその都度、起床していたのでしょう。筆者がロフト揺らしの犯人だと思い込まれ、かなり激しく壁を叩かれていました。完全な濡れ衣です。
そのうえ、筆者はというと・・・薄い壁を挟んだすぐ隣に真犯人がいるため、声という騒音のオマケ付きです。さすがに我慢ができず壁を叩いて意志表示。「聞こえてますよ」「揺れてますよ」と。しかし始まったものは終わるまでは止まりません。
毎回、耐えるしか方法はありませんでした。起こされる度にテレビを付け、隣人が寝静まるのを待っていました。しかし、不愉快に思っていたのは、揺らしていた二人も同じだったようです。一度、筆者の自転車が不自然にパンクしていたことがあります。
後から知ったのですが、当日の昼間そのカップルが所有しているバイクを洗うため、長時間駐輪場にいたそうです。真実はわかりませんが、不自然なパンクの原因は、そのカップルだった可能性もゼロではないと思います。
確かに、せっかくの楽しい時間を毎回、壁を叩かれて気分を害されていたのでは、嫌な気分になるのかもしれません。
この時、学んだのは「ロフトの部屋はおしゃれだけど、構造を入念にチェックしておくこと」。そして「たとえお互い様であっても、逆恨みされる可能性があること」です。
早朝からの掃除機でストレスはピークに
あまりにそのカップルが迷惑だったのか?BARでアルバイトをしていた住人側の隣室は、とても頻繁に入退去がありました。
そして次に引っ越してきたのも男の子。その彼女はよくお見かけしたのですが、画に描いたような爽やかカップル。これならあのカップルの様な目には合わなくて済む。しかし、それは甘い考えでした。
なぜかその彼女、午前中のかなり早い時間から遊びに来るのです。それに合わせて隣人は、早朝から掃除機をガンガンかけ始めます。筆者は隣室のため音だけでしたが、下の階には足音などもかなり響いていたと思います。
この時、学んだのは「上からの騒音のない最上階に住むこと」です。
ブンブン鳴き続ける屋外洗濯機の輪唱に撃沈・・・
この物件、さらにネックだったのは洗濯機置き場が室内になかったことです。みんながベランダに洗濯機を置いていました。
しかも外に置いてあることで、どの部屋の洗濯機もかなり痛んでいました。脱水をかける度に、今にもどこかに飛び立つんじゃないかというすさまじい音。そして遠心力で倒れる寸前の大振動。
筆者は気を遣い、日中しか洗濯しないように心がけていました。が、住人によって洗濯タイムは異なります。昼夜を問わず洗濯機がブンブン回されていました。ようやく終わった・・・そう思っても、また他の部屋から鳴き出す洗濯機。退去する頃には、誰の部屋の洗濯機の鳴き声か、聞き分けられるまでになっていました。
この時、学んだのは「家賃を上げてでも室内洗濯機置き場のある物件に住むこと」です。
騒音遊園地に足を踏み入れないために事前チェックを
高い天井に間接照明、ロフト付きで利便性も良好、そして低家賃。何の問題もないように思えたこの物件が、実は騒音遊園地でした。
物件選びで大事なのは環境、住人、構造
物件探しで不動産屋に確認するべきたったのは
・学校チェック:周辺に大学や専門学校があり、学生の溜まり場になっていないか
・生活スタイルチェック:住人の年齢層やライフスタイルはどうなのか
・構造、設備チェック:騒音トラブルを招きやすい構造かどうか
だったのです。
この大きな失敗を生かして、次に住んだ物件は
・周辺には教育施設なし(学校チェック OK)
・角部屋かつ隣室はサラリーマン(生活スタイルチェック OK)
・RC(鉄筋コンクリート)造で室内洗濯機置き場有り(構造・設備チェック OK)
の物件です。
また、隣の部屋とは横並びではなく、各部屋がうまくスライドしている構造でした。最上階ではないため、たまに上からの足音は聞こえていましたが、あの騒音地獄からは解放されました。ちなみに家賃は周辺相場相応の物件です。
お金をそれなりに出せば騒音のない快適な部屋には間違いなく住めると思います。しかし、少しのコツを知っていれば、そこまで背伸びをしなくてもワンランク上のお部屋選びができちゃいますよ。