インパクトを与えて集客したい時に考えること
アナタはイタリアンのお店のオーナーだとします。
集客が落ち込みなんとか挽回しようとインパクトのあることをして広告を打ち出すことにしました。
そこで考えたのが
◆期間限定で通常1500円の人気パスタを半額で提供します
というもの。インパクトのあることとして考え付く1つの方法かも知れません。
そして、その裏にはこんな意図があるからではないでしょうか?
◆自分のお店の商品は食べてもらえば良さをわかってもらえる。
◆「半額」で引き寄せて美味しさをわかってもらえれば集客に繋がる。
もし、こんなことを安易に考えている場合は注意が必要です。
「半額」の威力と怖さ
最近では5%~10%offの広告は当たり前なので「半額」というキーワードはとても魅力があります。
それなりに広告を打ち出せば半額期間中は店がお客様で溢れる可能性も高くなります。
しかし、賑わいもつかの間、「半額」の落とし穴はその期間が終了した時点ですぐに訪れます。
何故でしょうか?
せっかく赤字覚悟で「半額」で提供したのに、「美味しかったです」と帰り際にお客様だって満足そうに言っていたのに…。
ズバリ、お客様は「半額」だから来店したのです。
お店の人気パスタでさえ、一度「半額」にしてしまうと「半額値」以上の価値(味など)を与え、「通常料金でも食べたい」という満足感を与えなければ、「半額で食べられたパスタ」という枠を越えることは困難なのです。
「750円で食べられたのに1500円なんて高い・・・」という心理になってしまいます。
人気パスタも「半額」にしてしまった時点で価値が下がってしまうのです。
雑誌の売り上げ戦略に学ぶ 「下げる」より「付ける」
「宝島社」では出版不況時代といわれている中、2007年:138億円 ⇒ 2010年:327億円と4年間で237%も売り上げを伸ばしています。
この売上げアップに大きく貢献したのが「付録」です。
雑誌の中身が特別に大きく変わったわけではなく、ファッション、メイク、ライフスタイル等、女性雑誌の王道である特集を繰り返しても販売部数が伸びないことの対策の1つとして「付録」を付けました。
もし単に「半額」を打ち出していたらどうでしょうか?
「今月号は半額です」と大々的に広告費を掛けてPRすれば「半額の号」は一時的に売れる可能性はあります。
しかし、通常価格に戻ってしまう翌月号は売り上げが見込めるでしょうか?
従来どおりでは伸び悩んできた訳ですから思い切ってターゲットを変えたり、特集の切り口を他社にも無いものを作り出し、つまり中身を変えなければ急激に売れ出すというのは困難でしょう。
また、中身を変えても莫大な広告費を掛けてPRしなければ即売上げアップとは行かないものです。
もちろん、宝島社の雑誌は中身も工夫しています。
「一生女の子宣言」というキャッチコピーを掲げて月100万部以上という脅威的な売上げ部数を叩き出す看板的な雑誌、「Sweet」はあえてターゲットの「年代」を絞り込んでいません。
「何歳であろうと女の子であり続けたい」と願う女性が年代を問わずに手に取りやすいようなターゲティングの工夫もされています。
そこへ更に「付録(付加価値)」を付け足すことで大当たりしたのです。
また、宝島社ではその号の内容によって価格を変動させる「適正価格」を設けています。
◆内容に見合った価格で提供する
これは安売りとは大きく違います。
自信のあるメニューに付加価値をつける
もうひとつ参考にしたいのが宝島社の付録は「本物志向の付録」にこだわっている事です。
例えば自家製のドルチェやドリンクを人気メニューにプラスする。
この場合は「一工夫加えたものでコストを抑えられる商品を付ける」のが鉄則です
。
「ソフトドリンク1杯つけます」ではどこでも実践しているサービスであり、「特別なお得感」がありません。
ドリンクに限定した場合、「どんなドリンクを付けるのか」に掛かっています。
そしてコスト。
雑誌の場合は売上げがアップするとブランドからタイアップを受けることが出来て、広告収入も増え、質の良い「付録」を用意することが可能になりますが、「レストラン」ではそうは行きません。
コストを重要視しないと結局は自分の首を絞めることになりかねないでしょう。
表紙となる旬のメニューで飽きさせない工夫
雑誌を売るためにもう1つ大きな役割を果たすのが「表紙」です。
その「表紙」を誰が飾るかによって売り上げが大きく左右されます。
お店のメニューもいつも変わりばえのしない商品ばかりでは飽きられてしまいます。
月替わりや週替わりなど「その時の看板となるメニュー」を変えて打ち出すことも集客アップに効果的でしょう。
集客のために広告を打つ前に抑えておきたいこと
- 看板となる自慢のメニューに一工夫を加えたオリジナリティのある付加価値をプラスする
- 安売りではなく内容に見合った適正価格で提供する
- 新しいターゲットも取り込みやすいように旬のメニューを定期的に打ち出しだす