乳がんは他人事ではありません
乳がんを発症してしまった場合、言うまでもなく病院で治療を受けなければいけません。
難しいですが、自分の大切な命を守るためと考えて、しっかり現実を受け止めましょう。発見と治療が早ければ早いほど、命が助かる確率が上がることは確実です。
乳がんの治療方法は、病態によって異なります。つまりステージに応じた治療が必要ということです。
ステージとは病期のことであり、癌の進行度を表すものです。自分がどのステージに該当するのかを知り、どんな心構えを持てばよいのか考えることはとても大切です。
乳がんのステージや治療法は、罹患者でない方には一見関係のないことかもしれません。
しかし、乳がんは女性なら誰もがかかる可能性を持っている病気です。ですから他人事と思わずに、いざという時のための知識として覚えておくことをお勧めします。
ステージを決める要素は3つ
乳がんのステージは以下のように、腫瘍の大きさ、リンパ節への転移の有無、遠隔転移(骨・肺・肝臓・脳などの臓器への転移のこと)の有無の3つの要素から決められています。
腫瘍の大きさ
- Tis…
- 非浸潤がん(早期乳がん)
- T0…
- 原発腫瘍を認めない
- T1…
- 腫瘍の大きさが 2㎝未満
- T2…
- 腫瘍の大きさが 2~5㎝
- T3…
- 腫瘍の大きさが 5㎝以上
- T4…
- 胸壁もしくは皮膚に浸潤している(腫瘍の大きさは関係なし)
リンパ節への転移の有無
- N0…
- リンパ節への転移なし
- N1…
- 腋窩リンパ節への転移あり(腫瘍の可動性あり)
- N2…
- 腋窩リンパ節への転移あり(腫瘍の可動性なし)
- N3…
- 腋窩リンパ節か、胸骨付近のリンパ節への転移あり。またはどちらにも転移あり。
※腋窩とは、脇の下のことです。
遠隔転移の有無
- M0…
- 遠隔転移なし
- M1…
- 遠隔転移あり
乳がんのステージ
Tis | T0 | T1 | T2 | T3 | T4 | |
---|---|---|---|---|---|---|
N0 | 0期 | Ⅰ期 | ⅡA期 | ⅡB期 | ⅢB期 | |
N1 | ⅡA期 | ⅡB期 | ⅡA期 | ⅢB期 | ||
N2 | ⅢA期 | ⅢB期 | ||||
N3 | ⅢC期 | |||||
M1 | Ⅳ期 |
ステージによって異なる治療方法
乳がんの治療方法には、大きく分けて、外科手術と放射線療法と薬物療法の3つがあります。治療方針はステージによって決められますが、医師の判断によるところも大きいです。
0期
外科手術と放射線療法を組み合わせて行います。もう片方の乳房の再発防止のために薬物療法を行う場合もあります。
Ⅰ期、ⅡA期、ⅡB期、ⅢA期
腫瘍の大きさに応じた外科手術が行われます。外科手術の種類には、以下のようなものがあります。
- 腫瘍のみを切除する腫瘍核出術
- 腫瘍と乳房の一部を切除する乳房部分切除術
- 腫瘍の発生側の乳房を全て切除する単純乳房切除術
- 乳房と腋窩リンパ節(さらに胸筋の一部)を切除する胸筋温存乳房切除術
再発の可能性が高ければ、外科手術のあとに薬物療法を行います。癌の規模によっては放射線療法が行われることもあります。
ⅢB期、ⅢC期
腫瘍を小さくする目的で、放射線療法や薬物療法を行います。これにより外科手術ができる状態になることもありますが、実行するか否かについては慎重な検討が必要です。
Ⅳ期
基本的には薬物療法ですが、転移による症状緩和のため、放射線療法や外科手術が行われる場合もあります。