国民生活センターへのインプラントに関する相談は増加している
国民生活センターによれば、インプラントに関する相談は2006~2011年の5年間で343件と、増加の傾向にあるとしています。
しかも、その中の70%もの人が50万円以上の高額な契約であったとしています。
口の中の健康は、食事や会話、見た目にも影響しますので、高い治療費を払ってでも…という人は多いと思います。
しかし、高いお金を払っても、トラブルになる可能性があるということを知っておかなくてはいけません。
治療後の身体症状に関する相談
国民生活センターには、インプラント治療後の口の中の痛み・腫れ・化膿・麻痺・インプラントの破損などの相談が寄せられているようです。
インプラントの術後の痛みや腫れなどの症状は、埋め込む歯の本数にもよりますが、3日~1週間で治まるとされています。
しかし、寄せられている相談内容は、症状が数ヶ月続いているというものから、数年間症状に悩まされているというものまでさまざまです。
強い痛みが続くことや、症状が治まる目処が立たないことなどで、体だけでなく心まで参ってしまうということも多いようです。
説明が不十分であったことに対する相談
治療を開始するに当たり、治療の方法や内容、リスクについての説明が不十分であると感じている人も少なくないようです。
中には、「相談しに行ったつもりが、いきなり治療を開始された」という相談も…。
インプラントに関するトラブルはどうして起こる?
インプラントのトラブルが増加している背景に、歯科医の技量・知識の不足が指摘されています。実際に歯科医として活躍している人の多くは、大学ではインプラントについて学んでいないようです。
インプラントメーカーが実施する数日間の講習を受けただけで、インプラント治療を行なっている歯科医もいると言われています。(最近は、大学のカリキュラムにもインプラント治療は含まれています。)
インプラント治療は難しく、治療を行なうに当たり、骨の厚さや骨粗しょう症、金属アレルギー、歯周病の進行などさまざまなことを考慮する必要があります。
また、インプラント治療は、外科的なスキルも必要となります。口腔外科を専門とする歯科医以外では、外科的な手腕が不十分である場合もあるのです。
国民生活センターは、歯科医師や医療機関によってインプラントの治療水準に違いがある可能性を示唆しています。患者の医師・歯科医院選びも重要になってくると言えるでしょう。
インプラントは自由診療
インプラントは保険診療ではなく自由診療です。そのため、歯科医や医療機関が治療費を決めることができ、収益につなげられるとされています。
このことは、技術や知識が不十分な歯科医がインプラント治療を行なってしまう原因の一つだと言えるでしょう。
トラブルを防ぐためにできること
国民生活センターでは、消費者へのアドバイスとして次のようなことを挙げています。
- 情報収集を十分に行なう
- 自分からリスクに関する説明を医師に求める
- 術後も定期的に検診を受ける
- 治療による危害を受けた場合には、セカンドオピニオンを得る
また、トラブルがあった場合には、医療安全支援センターや歯科医師会、保健所、国民生活センターへの情報提供も必要でしょう。