ユニバーサルデザインってどんなデザイン?
ユニバーサルデザインという言葉を聞いたことはあるけれど、具体的にどういう意味かはわからないという人は多いかもしれませんが、実は、さまざまに形で私たちの身近な場所でも取り入れられているのです。
例えば、シャンプーのボトルにだけ凸凹の印が付いていることで、シャワーを浴びている最中でも、ボトルを触っただけでシャンプーと分かります。また、駅や人が集まる施設などで、トイレの場所を絵で表すことで、日本語が分からない外国人でも一目でトイレがどこにあるのかが分かるのです。 このように、言語や文化、年齢、性別、障害、能力などに関係なく、誰でも使うことができる製品や施設などのデザインのことをユニバーサルデザインといいます。 ユニバーサルデザインはもともと、米国のノースカロライナ州立大学ユニバーサルデザインセンターの所長でもあり、自らも障害を持つ建築家ロナルド・メイス氏らによって提唱されたもので、以下のような7つの原則があります。
1.誰でも公平に使うことができる
例:一般の人や、荷物を持っている人、目の不自由な人など、誰でも利用する自動ドア
2.使い勝手が柔軟
例:左右のどちらの手でも使うことができるハサミ
3.シンプルで直観的に使い方が分かる
例:パソコンや携帯電話の電源スイッチ
4.必要な情報が分かりやすく手に入る
例:トイレや非常口、ゴミの分別などを絵で表したピクトグラム
5.うっかりミスをしても安全である
例:人が挟まれるとドアが開く工夫がされた自動ドアやエレベーター
6.体に負担が少なく、楽に使うことができる
例:商品が取り出しやすい自動販売機
7.近づいたり、使用するための大きさやスペースが十分に確保されている
例:妊婦や赤ちゃん連れ、車いすなどに対応した多目的トイレ
住宅に取り入れられるユニバーサルデザインとは
高齢者や障害を持った人に限定されるのではなく、すべての人にとって使いやすいと感じるユニバーサルデザインは、どのように住宅に取り入れられているのでしょう。
ここでは簡単な例をご紹介します。
出入口へのスロープの設置
玄関などの段差のスロープというと車いすを連想される人は多いかもしれませんが、それだけではありません。 出入口にスロープを設置することで、小さなお子さんがいるご家庭ではベビーカーのまま玄関に入ることができるほか、ヨチヨチ自力で歩いて登ったり、三輪車や自転車を押して中に入ることもできます。 もちろん、階段の昇り降りがつらい高齢者でも使いやすいことから、階段とスロープの両方を設置されるご家庭が増えています。
安全を考慮したバスルーム
家庭内で起こる事故の中でも、入浴中に事故に遭うケースが意外と多いってご存知ですか? 浴槽で溺れるほか、入浴が引き金になって脳卒中や心筋梗塞を起こす、滑って転倒するなど、事故の原因はさまざまあるのです。そして、このような事故を防ぐためにも、安全性を考慮したバスルーム作りを心がける必要があります。
小さななお子さんや高齢者でもつかみ易い手すりを、浴槽や浴室を出入りする場所に付ける、湯船と洗い場の温度差をなくすために、浴室に暖房器具を設置する、洗い場の床を滑りにくくするなどの工夫によって、事故を未然に防ぐことができます。
電気のスイッチをワイドにする
最近、壁に設置する電気のスイッチの中でも、ユニバーサルデザインを意識したタイプが増えています。その中でも便利なのが、JIS規格で決められているプレートの大きさギリギリまで、スイッチを大きくしたワイドタイプのスイッチです。
お子さんやお年寄りなどの、弱い力でもスイッチを押すことができるほか、スイッチ面が大きいことから、両手が使えない場合、肘でスイッチを軽く押すだけで電気が点くのです。 また、常時点灯している小さないランプを内蔵しているワイドタイプのスイッチの場合、暗がりでもスイッチのある場所が一目で分かるため、真っ暗な中でスイッチを探す必要もありません。
センサーで点灯する灯り
夜に帰宅した際、真っ暗な中でなかなか玄関の鍵が見つからずに苦労した、という経験はありませんか? そんな時に便利なのが、人が近づくとセンサーが感知して灯りを点けるタイプの玄関灯です。 両手に荷物を持っていても、手を使わずに点けることができるほか、不審者が近づくと勝手に点灯するため、防犯にも役立ちます。 そのほかに、トイレに設置することで灯りの消し忘れがなくなるほか、夜中にトイレに行くのが怖いというお子さんのために、廊下などに設置するという使い方もあります。