新たなる関門か、大学受験にTOEFLスコアが必要になりそう!?
大学受験は、学生にとって大きな人生の分岐点になる大事なイベントです。中には中学・高校からのエレベーター式進学で受験とは無縁という人もいるでしょうが、多くの学生は大学受験に臨むことになるものです。
大学受験と言っても、国立のようにセンター試験での足切りを突破した上でないと受験できない大学もあれば、英国数の三教科の内二教科を選択するような大学もあり、その難易度は決して平坦ではないといえます。
その為か、一口に大学生と言っても大学によっては知識量や意識に大きな差が出てきてしまうのもまた事実で、「将来性のある人材の育成」という教育の理念から遠ざかっていることは否めないのです。
大学入試にTOEFLスコア導入の議論
2013年4月に自民党の教育再生実行本部が出した提言には、「TOEFLでの一定以上の成績を大学の受験資格・卒業要件に納める」という内容が持ち込まれ、各所に波紋を広げています。
提言の段階なので確定事項ではないのですが、経済三団体の一つである経済同友会も同様の提言を行っており、実現する可能性は決してゼロではないのです。
自民党案ではTOEFLスコアが120点中45点以上、同友会案では年複数回受験を行えるようにするといった特色が盛り込まれています。
TOEFL導入はどのような利点を生むか
大学入試の条件にTOEFLを導入する事の利点として、大学受験が重視する「聞く・読む・訳す・文法」を実践的な「読む・聴く・書く・喋る」にシフトさせ、実用的英語力を身に付けさせることが出来るようになる、という事が言えます。
センター試験や大学受験では文法や語彙・リスニングなどのような、暗記で乗り切れるような内容に比重が置かれていることは否定できません。また、大学在学中に留学する事がある場合などを考えればある程度の英語力が要求されるのは当然かもしれません。
TOEFL導入のハードルとは
しかし、利点がある一方でTOEFL導入にはデメリットが幾つもある事が指摘されているのもまた事実です。自民党案での120点中45点以上というTOEFLスコアは、英検に換算すれば2級程度ですがTOEFLは問題で使われる語彙数が1万語と、英検よりも遥かに難易度が高いのです。英検は学校の授業に合わせた語彙数が設定されていますが、TOEFLは100点が取れる人も20点しか取れない人も要求される語彙数が同じになるのが難点と言えます。
また、TOEFLは本来海外留学生向けの英語力を判定する検定であるため、必ずしも学校の勉強で付けた実力を計る目安になるわけではありません。
それに大学受験は英語一教科で行うわけではないので、英語だけ難易度を引き上げるのは他の教科をおろそかにすることにも繋がりかねません。
実現の可能性はあっても実現できないかも?
このように、TOEFLスコアの大学試験への導入はメリットもあるけれども対象となる学生の負担増を招く為、あまり現実的とは言えないアイデアと言わざるを得ません。
提案する側は実行するわけではないから斬新なアイデアを自由に出せますが、アイデアを実行する側は金銭的・人員的負担を負わなければならないため、賛成する人は少なくなるものです。つまり、肝心の高校・大学・受験生からの突き上げを食って尻すぼみに終わる可能性が高いのです。
TOEFLの大学受験導入は、より説得力のある材料を提案者が準備出来るかどうかが実現のカギとなるでしょう。