家相の本当の意味とは?
夢のマイホームには、子供の頃からの憧れや将来の家族設計などあふれんばかりの思いが詰め込まれている物です。
しかし、そのマイホームへの思いは建蔽率や建坪面積、建築費用などの現実的な制限によって阻まれて実現できないこともしばしば。
そういったマイホームの夢の制限になるものの一つが家相なのです。
家相の良くない家は不幸を呼ぶ?
家相とは、家の間取りや方角、形状などを元にして縁起が良いか悪いかを判断する占いの一種です。
家相の良くない家は、家人が不幸や天災に見舞われやすく衰退を招く原因になり、家相の良い家は繁栄をもたらす…というのが主旨です。
良い家相・悪い家相には様々ありますが、「欠け張りのある家は良くない」「鬼門(北東)・裏鬼門(南西)に水回りや玄関を置くのは不吉」といった内容がよく知られています。
実際の話に、「鬼門・裏鬼門に便所や風呂場を配置するな」といった施工主の要求を無視して家を建てた大工が裁判で訴えられて負けた、というケースがあります。このように、家相は家を建てる際に重視される条件の一つとなっているのです。
家相の良い家=住みやすい家?
「家相の良い家」というと、ホームドラマに出てきそうな日当たりが良く住み心地のよさそうな暖かそうな家をイメージする物です。
逆に「家相の悪い家」というと、ジメジメした雰囲気で昼でも暗そうな、住んでいるだけで病気になってしまいそうな感じの家がイメージされてしまいます。
このように家相の良し悪しは家の住み心地に直結しているようなイメージを抱きがちですが、実際には住み心地の良し悪しは家相よりも部屋や家具の配置などに影響されるところが大きいものです。
家相に拘らなくても不幸にはならない?
つまるところ家相学は風水や占術を根拠にして経験などから編み出された、住宅建築のための学問といえます。
昔は、科学の代わりに魔術や占いが学問の受け皿として機能していたため、建築の知識や経験則が家相学に組み込まれていても不思議ではなかったのです。
しかし建築学が一つの学問として独り立ちし、建築技術自体も昔とは比べ物にならないほど発展した現代では家相に拘って家を建てることが必ずしも正しいことではなくなってきているのかも知れません。
家相学は信用しなくても問題ない?
では、家相学は迷信などではなく現代でも信じるに値する立派な学問なのでしょうか?
家相学には主に三つの流派がありますが、それぞれの流派ごとに方位の取り方や家相の判断法が異なるため、ある流派で吉相と出た家相が別の流派では凶相と出ることを指摘する人もいます。
また、幕末期の偉人である佐久間象山も「家相学は中国の気候風土に基づいた思想だから、気候風土が中国とは異なる日本には合わないだろう」と説いています。
新築住宅の設計に家相学を取り入れなくても問題はなく、むしろ、周囲や専門家による家相の悪さの指摘によるプラシーボ効果的な運勢の悪化が問題になるという意見もあります。
最後に
ここまで家相についての指摘をして来ましたが、科学ではまだ解明しきれていない事象が存在することもまた事実です。逆に、魔術や占いを妄信しすぎると足を掬われることがあるのもまた事実です。
結局のところ、家相を信じるかどうかは、皆さん次第かと思います。