円高でも最高益を更新する盆栽
農林水産省の発表によれば、国内における盆栽の流通はここ10年の間で半減する程、落ち込んでいると言われています。
その一方で、海外における盆栽の人気は右肩上がりを続け、輸出額を見ると、2001年には6億4千万円だった市場が、2006年には23億円。
2011年には1ドル75円の超円高で輸出業全体が落ち込む中、過去最高となる67億円に到達。
さらに翌2012年には81億円と急成長を続けています。
更なる成長が見込めるEU市場
ヨーロッパには、古くからガーデニングの文化があり盆栽を受け入れやすい環境にありました。
特にイタリアの「BONSAI」人気は高く、日本には無い盆栽の専門校や盆栽ミュージアムがあるほど。
また、盆栽文化のパイオニアとして、日本政府は2012年にイタリアのルイージ・クレスピ氏へ旭日双光章を送っています。
これほど日本の盆栽が文化として根ざしていたEUですが、2008年にカエデを枯らす害虫の1種「ゴミマダラカマキリ」が見つかった事により、厳しい輸出規制が設けられていました。
しかしその輸出規制も2013年の秋には解除される可能性が高く、本格的な輸出に向けて動き出しています。
盆栽は、定年退職したお爺ちゃんの趣味という域を超え、世界を市場とした巨大なビジネスとなりつつあります。
40年前から続く日本園芸協会の資格『盆栽士』
盆栽の資格もいくつかありますが、その中で最も歴史が長いのが、40年間続いている日本園芸協会の盆栽技能講座でしょう。
この盆栽技能講座は全12回の講座からなり、『盆栽士』の資格を取得する事が出来ます。
盆栽士の受講内容
まずは盆栽の基本となる『木とその特徴』『歴史』『木の正面の取り方』から始まり、仕立ての技術として『剪定とその時期』『剪定後の管理』、『芽摘み』『葉刈り』と続けていきます。
その後は、『接ぎ』(盆栽に別な木の枝や芽をつなげる技法)を学び、そこから『管理』『培養』『繁殖』。
さらには『市場の動向』や『販売戦略』といった、ビジネススキルまでもが講習内容に含まれています。
しかも、実習に使用する盆栽は手持ちの物を使う事ができ、その木をテーマにした専用の実技課題を作り、専門家と共に行っていきます。
テキストに加え、自分専用の盆栽を使用した専門家との質疑応答、さらには盆栽業界のビジネスモデルの学習と、非常に実践的な内容なのは間違いありません。
もう一つのクールジャパンを発信する盆栽士
日本の文化を海外に売り込むクールジャパンと言えば、アニメやゲーム、コスプレ、ファッションばかりが注目されています。
しかし、その一方では浮世絵を始めとした、日本庭園や着物といった日本の伝統的な芸術を求める声も、決してアニメに負けてはいません。
今でこそ人気の落ち込んでいる盆栽ですが、G-SHOCKの様に海外で人気に火が付き、遅れて日本でも人気になる事は十分に考えられます。
盆栽士はこれから趣味で盆栽を始めようと考えている人、盆栽にビジネスチャンスの可能性をみる人にとっては、盆栽の知識や見分を広める入門編として最適の資格と言えるでしょう。