ハリウッド女優が乳房を切除した家族性乳がんとBRCA遺伝子|トピックスファロー

  • 在宅ワークのライター募集
2,265 views
2013年5月28日
ハリウッド女優が乳房を切除した家族性乳がんとBRCA遺伝子

アンジェリーナ・ジェリーが健康な乳房を、『乳がんの予防』として切除した事で有名になった遺伝が原因の『家族性乳がん』。欧米では乳がんが遺伝する事は有名ですが日本ではあまり知られていません。そこで家族性乳がんとその原因を調べました。

WEBライター
  

アンジェリーナ・ジェリー、遺伝子変異が見つかり乳房切除

2013年5月14日。ニューヨーク・タイムズによれば、ハリウッド女優のアンジェリーナ・ジョリーさんが、乳がんの発生リスクを高める遺伝子の変異が見つかった為、乳房の乳腺を両方ともに切除した事を告白しました。
これにより、87%と言われていた乳がんの発症確率が、5%にまで下がったと言われています。

また、2012年11月には、イギリスのロックミュージシャンであるオジー・オズボーンさんの妻シャロン・オズボーンさんも、同じ理由により乳房を切除しています。

遺伝する乳がんと卵巣がん『HBOC』

遺伝するがんの事を『家族性乳がん』、もしくは『遺伝性乳がん』と呼ばれ、これに遺伝性の卵巣がんを含めた症状が『HBOC(Hereditary Breast and Ovarian Cancer Syndrome)』です。

がん抑制遺伝子『BRCA1・BRCA2』が家族性乳がんの原因

家族性乳がん(HBOC)の原因とされているのは、BRCA1とBRCA2と呼ばれる遺伝子。
本来この二つの遺伝子の役割は、細胞が変異するのを防ぐ事。
つまり、がんを作らない為に存在する遺伝子です。

しかし、この遺伝子が一度変異を起こすと、細胞の悪性転換を助長させ、がんの発生確率を大幅に引き上げる事が分かっています。

BRCA1・BRCA2は50%の確率で遺伝する

これら二つの変異遺伝子が、親から子へ遺伝する確率は50%。
性別は関係なく、母親から娘はもちろん、父親から息子へも50%の確率で遺伝します。

BRCA1・BRCA2の乳がん発生確率は最大84%

乳がん全体で、遺伝的要因(家族性乳がん)が原因で発症したのは約27%。
つまり全体の7割以上は、遺伝子に関わりなく乳がんを発症している事になります。

しかし、変異遺伝子を持っている人が乳がんにかかる確率は45%~84%。
さらに、10年以内に両乳房が乳がんになる可能性は34.6%~43.4%。
また、卵巣がんの発症率も11%~62%と非常に高い確率となっています。

このデータは、多くの場合、遺伝子変異とは関係なく乳がんは発症するという事を示しています。
しかし変異遺伝子を持っていた場合は、高確率で乳がんを発症するという事の裏付けといえるでしょう。
さらに若い年齢で乳がんが発症する事も、家族性乳がんの特徴です。

乳がん予防切除

乳がんの大半は母乳をつくる乳腺に発生します。
そこで予防の為に乳腺を取り除くのが、アンジェリーナ・ジェリーも行った『乳がん予防切除』。
切除後はインプラントによって乳房を整形する必要があり、手術代に加え、乳房の復元にも多額の費用が必要となります。

家族性乳がんのリスクを見分ける方法

次の様な事に心当たりがある場合、家族性乳がん(HBOC)の疑いが高いと言えるでしょう。

  1. 親・子供・兄弟の中に、3人以上の乳がん患者がいる。
  2. 親・子供・兄弟の中に、2名以上の乳がん患者がおり、そのうち1人が「40歳未満で発症した」「両側とも乳がんになった」「他のがんと合併した」「乳がんが発症した男性がいる」の、いずれかに当てはまる。

日本で遺伝子検査を受けるには

日本で遺伝子検査を行っている病院は多くありません。
しかしがんセンターや大学病院には、遺伝が原因となる病気に詳しい医師による遺伝カウンセリングを行っている機関も増えています。

日本では遺伝子検査も予防摘出も全て自費

日本では遺伝子検査も、健康な乳房を切除する事も『治療』とは認められず保険の適用はありません。
検査費用だけでも20万円~40万円程度。さらに予防切除、乳房の再建手術を含めると数百万円の費用が必要になるでしょう。

また、遺伝子検査を行った結果、変異が見つかった場合。今度は、乳がんの発生リスクを意識しながら生活する事になります。
いつ発症するか分からない乳がんの影におびえ続けるか、両方の乳房を失うかという板挟みの状態は大変なストレスとなるでしょう。

欧米では珍しくない方法だからと言って、日本でも広く取り入れるべきとは思いません。
しかし、発がんするリスクを大きく下げる事の恩恵が大きいのは事実です。

乳がんは自己検診ができる数少ないがん

乳がんは、自分で見つける事の出来る数少ないがん。
早期発見と治療を行なえば、治る確率は90%を超えています
もしも親族で乳がんになった人がいるのであれば、まずは念入りな自己検診から始めてみてはいかがでしょうか。

著者:伊藤義雄

WEBライター
アイコン
書きたいものがありすぎて書かせてもらっているライターです。趣味は鉄道旅行、写真を撮ることもあるが実際に乗車して車両の個性を体験したいタイプ。尊敬する人は宮脇俊三さん。目標は全国鉄道制覇