双極性障害(躁鬱病)とは??
双極性障害は、躁鬱病とも呼ばれる気分障害です。統合失調症とともに二大精神疾患とも言われています。
かつて「躁鬱病」と呼ばれていたことからもわかるように、「躁」の状態と「鬱」の状態を繰り返す病気です。この相反する二つの面を持つことから、現在では「双極性障害」と呼ばれています。
うつ病と間違われやすいですが、うつ病はうつの症状のみ、躁鬱病はうつと躁の症状があり、異なる病気です。
双極性障害には2つの種類があります。
双極性障害はⅰ型とⅱ型に分類され、少し症状に違いがあります。
双極ⅰ型障害
ⅰ型は、躁の状態と鬱の状態の違いが大きい・躁の状態がわかりやすいというのが特徴です。
躁の状態の時は、次のような症状があり、社会的地位や人間関係にまで支障をきたすようなトラブルを起こすこともあります。
- 気が大きくなる・何でもできると考えるようになる
(自分が一番偉いと思い、周囲の迷惑を考えないような行動をとることも。) - お金の使い方が荒くなる
(急に無謀な投資をしたり、サラ金で借金までして買い物を続けたり、数百万円単位でクレジットカードを使いまくるということも。) - 気分が高揚してすごくしゃべる(しゃべりまくる)
(家族が眠ることもできないくらい、しゃべり続けることも。) - 集中力がなくなる・気が散りやすくなる
(エネルギッシュにさまざまなことに取り組むが、気が散りやすく最後まで取り組めない) - 眠らなくても平気になる
(徹夜しても元気に過ごせる)
など
重症になると、妄想や幻聴などの症状が現れることもあります。
一方、鬱の状態になると、躁の状態とは全く異なり、気分が落ち込んだり、ゆううつになったりして、人と会うことさえもイヤになります。
好きなことへの興味もわかず、布団から出られなくなってしまうことも…。
ⅰ型は、躁の状態と鬱の状態が極端に違っているため、比較的発見されやすいとされています。
また、躁の状態と鬱の状態が同時に現れる「混合状態」がみられる場合もあります。混合状態はⅰ型特有の症状であるため、混合状態がみられた場合には、ⅰ型と診断されます。
双極ⅱ型障害
ⅱ型の特徴は、躁の状態がⅰ型に比べて軽いのが特徴ですが、混合状態にはならないという点もⅰ型とは異なります。単に症状が軽いからⅱ型と診断されるというわけではありません。
躁の状態がⅰ型に比べて軽症であることから、ⅱ型の躁状態を「軽躁状態」と言ったりします。
軽躁状態では、周囲から「今日はテンションが高い」「調子が良い」と思われる程度の軽い症状であり、躁状態を見過ごしてしまうことも多いです。
そのため、うつの症状が目立ち、うつ病だと勘違いしてしまうこともあります。
ⅱ型もⅰ型と同様に、うつ状態の時は気分が沈んでやる気が起きなくなったりします。部屋に引きこもってしまったり、眠れなくなったり、食欲が低下したり…といった症状が起こります。
ⅱ型は、うつ病と勘違いされやすいですが、うつ病のとは治療方法が異なります。誤ってうつ病として治療を始めたことで、症状が悪化してしまうこともあるので、軽躁状態を見逃さないことが大切だと言えます。
双極性障害の原因
双極性障害の原因ははっきりとわかっていません。
ストレスがきっかけで発症することがありますが、ストレスが原因で発症するというわけではありません。双極性障害は、うつ病のような心の病気ではないのです。
うつ病は、まじめな人や責任感の強い人がなりやすいとされていますが、双極性障害はどんな性格の人でも発症します。
双極性障害は適切な治療の継続が必須!
双極性障害は、社会的信頼を失うほどのトラブルを起こす場合もありますが、適切な治療を行うことで症状を軽減することができます。上手に病気と付き合い、社会生活を送るためには適切な治療を続けることが必要なのです。
気分安定薬や非定型抗精神病薬が、再発予防に用いられますが、気分安定薬にリチウム・ラモトリギン・バルプロ酸・カルバマゼピンなどがあり、非定型抗精神病薬にはアリピプラゾール・オランザピン・リスペリドンなどがあります。
再発を繰り返すことによって、職場や家族との関係などに悪影響を及ぼす可能性がありますから、適切な治療を行い、再発を予防したり、(主に躁状態での)周囲への影響を少しでも小さくしたりすることが大切でしょう。
正しい診断を受けなければ適切な治療ができません
先にも紹介しましたが、双極性障害(特にⅱ型)は、うつ病と診断されることも少なくありません。抗うつ薬の使用で症状が悪化することもあるので、医師に症状を正しく伝え、正しい診断を受けることがとても重要なのです。
薬の副作用
双極性障害の治療に使われる薬には、副作用があるものも多いです。副作用が出ると、服用したくなくなってしまうかもしれませんが、服用を中止すると再発リスクを高めてしまいます。
問題のある副作用もありますが、特に問題がなく、うまく付き合っていかなければいけない副作用もあります。気になる場合は、医師に相談すると良いでしょう。