放っておいてはいけない目のたるみ
目のたるみは、美容の大敵といわれていますが、視野が狭くなるだけではなく、頭痛や肩こり、手足の冷え、不眠などの深刻な症状を引き起こすとされています。
目のたるみは、自律神経のひとつである交感神経に影響を与えています。
まぶたを持ち上げるミュラー筋は、目が開いている時に働き、目が閉じている時に休みます。
交感神経はミュラー筋に連動して、ミュラー筋が働いている時にON状態、ミュラー筋が休んでいる時にOFF状態になります。
目のたるみでまぶたが下がって見えにくくなると、さらにまぶたを大きく開けようとします。
ミュラー筋は、目を開けておく働きをさらに強めようとするため、交感神経はON状態を通り越して、緊張状態になってしまいます。
交感神経が常に緊張状態になることで、頭痛や肩こり、手足の冷え、不眠などがおこります。
目のたるみの病気「眼瞼下垂症」
瞳孔の中心から上まぶたの縁までの距離が3.5mm未満となった場合に「眼瞼下垂症(がんけんかすいしょう)」と診断されます。まぶたを開けるのが難しくなって、視野が狭くなります。
眼瞼下垂症には、先天性と後天性のものがあります。
先天性眼瞼下垂症
生まれつきまぶたをあげる機能が弱い先天性の場合、ふともものなどの腱膜をまぶたに移植する手術が行われます。
後天性眼瞼下垂症
後天的な要因でおこる後天性のうち、神経原性(神経の障害)や筋原性(筋肉の病気)の場合は、状態に応じて手術が行われます。
また、腱膜性の場合は、瞼板(まぶたの中にある板)と上眼瞼挙筋(まぶたを上げる筋肉)をつないでいるすじ(腱膜)がはずれることでおこります。上眼瞼挙筋で瞼板を動かすことができないため、ミュラー筋への負担が大きくなります。
「腱膜性」眼瞼下垂症の原因と治療
加齢や花粉症、コンタクトレンズの長期間使用などでまぶたがこすれることが原因とされています。
男性の場合、50歳前後から増えはじめます。
女性の場合は、筋力が弱く、アイメイクによってリスクが高まるため、早い人では30代半ばから症状が出はじめて、更年期でピークをむかえます。
治療方法として、はずれてしまった腱膜を瞼板にとめなおす手術が行われます。
まぶたが開けにくい場合、まぶたが痙攣をする病気「眼瞼痙攣」を伴っていることがあるため、痙攣している筋肉を切除することで、症状を軽くする手術も行われることがあります。
眼瞼下垂症の予防法
眼瞼下垂症の予防には、目をこすらない、ミュラー筋を休めるなどがあります。
目をこすらない
花粉症、アイメイクのクレンジングなどの際、目をこすらないことが大切です。
また、コンタクトレンズの長時間の使用は避けて必要があります。
ミュラー筋を休ませる
ミュラー筋は、目線を上げた時に強く働き、目線を下げるとゆるみます。
テレビやパソコンの画面を見る際に目線を下げることでも、ミュラー筋を休めることができます。