福岡のご当地グルメについてのギモン
福岡の名物といえば、水炊き、もつ鍋、明太子、おきゅうとなどなど数々ありますが、
その中でダントツの人気を誇っているのが「博多ラーメン」です。
博多ラーメンが他のラーメンと異なる点は、お店で注文する際に麺の硬さを指定できるということ。
一番硬い「粉落とし」から始まり、一番軟らかい「バリヤワ」まで8段階ほどある硬さの中で、最もよく注文されているのが「バリカタ」。
バリカタは「凄く硬い」という意味で、店によって多少の硬さは異なりますが、ゆで時間の短い硬めの麺が多く注文されるようです。
結論として、福岡県民は「硬めの麺が好きな県民」ということに落ち着きそうですが…。
ところが、そんな見方を覆す福岡のご当地グルメがあったのです。
それが福岡のソウルフード「ごぼ天うどん」。
宋の時代に、中国に留学した僧侶がうどんの製法を博多に持ち帰ったことから、「うどん発祥の地」とされる福岡。
そのうどんの特徴は、なんと麺にコシがないということなのです。
日本の三大うどんの長崎の「五島うどん」、秋田の「稲庭うどん」、香川の「讃岐うどん」では、コシの強さやノド越しの滑らかさが評されるのに対し、コシのなさを臆面もなく前面に出すとは、これはいったい如何なることでしょうか。
ラーメンは硬い麺が好きなのに、軟らかいうどんが好き、そんな福岡県民の矛盾を解き明かすべく調べてみたら、共通した背景が浮かび上がってきました。
博多ラーメンの麺はなぜ硬いのか?
博多ラーメンといえば、乳白色のトロっとした豚骨スープとストレートの極細麺が特徴。
スープのとろみは豚骨のゼラチン質で、お肌にとっても良さそうです。
具材は一般的に、ねぎのみ、またはねぎとチャーシューですが、紅ショウガやキクラゲ、ゆで卵などお店によってさまざま。
さて、博多ラーメンと言えば「替え玉」。
「替え玉」と呼ばれる麺のお替りは、他のラーメンにはないシステムです。
博多ラーメンの麺が固めなのは、一説によるとこの「替え玉」に由来しているとか。
麺が極細で伸びやすいのと、せっかちな福岡っ子気質から、硬めに茹でた麺が主流になったようです。
ごぼ天うどんの麺が軟らかい理由
昆布・鰹節・トビウオ・鯖節・うるめ、いりこなどのダシを薄口醤油で整えたつゆは、何度食べても飽きない味で、シンプルなごぼう天の旨みを引き出す絶妙なバランスが○です。
歯がなくてもかみ切れるほどの麺の軟らかさと、歯ごたえのあるごぼ天のギャップも最高です。
福岡のうどんが軟らかい理由には、いくつかの説があります。
「もともと中国から伝わったうどんが軟らかかった」
「シンプルなダシの味に合うよう」
などの説の中でも有力なのが、
「せっかちな博多っ子を待たせないように、あらかじめ茹で置きしておいた」
という説。
また、日本の三大うどんが手延べ式であるのに対して、福岡のうどんは手打ち式のため、独特の角のある麺になることも理由のひとつかも知れません。
結論:どっちも「福岡っ子気質」のたまもの
バリかたラーメン、柔らかうどん、相反するはずの二つの麺から浮かびあがったのは、両者共通のキーワード、せっかちな「福岡っ子気質」です。
麺の硬さ云々よりも、「せっかちな福岡っ子は、とにかく早く食べたい!」というのが背景にあるようですが、せっかちだけど美味しさに対するこだわりを忘れないあたり、さすが福岡っ子と言ったところでしょう。